FOXチャンネルが暮れから正月にかけて、「大草原の小さな家」(「Little House on the Prairie」)の全シリーズを連続放送した。19世紀末、西部開拓時代の米ミネソタのウォルナットグローブに住む、インガルス一家の日々を描いたファミリードラマである。
頼もしい父チャールズ(マイケル・ランドン)、心優しい母キャロライン(カレン・グラッスル)、大人びた長女メアリー(メリッサ・スー・アンダーソン)、お転婆な次女ローラ(メリッサ・ギルバート)に、町の人々などがからみ、心温まるエピソードが綴られていく。1970年代後半、我が高校時代にNHKで放送されていた頃は、仲良しのファミリームードや女々しい感じのストーリーが嫌で、デビッド・ローズ作曲のテーマ曲が鳴り始めるとチャンネルを変えた覚えがあるが、実はメリッサ・スー・アンダーソンのことは好きだった。
ところが、それから40年余を経た今、改めて見直すと、思いの他面白く、しかも何だか身にしみて、結構な本数を見てしまった。今回は途中から見始めたので、すでに放送は、80年代に作られた「シーズン6」(全く未見)に入っていたのだが、どちらかといえば暗い話が多かった。このドラマの舞台は西部開拓時代だから、いわゆる“時代劇”なのに、作られた80年代の世相や雰囲気を如実に反映しているところがあるのだ。
結婚後のローラが主役となった「シーズン9」や、3本のスペシャルになると、さらに悲しい話が続き、最後は、地上げに遭い、ウォルナットグローブの住民自らが町を破壊するという、後味の悪さと空しさが残る結末となった。一部で囁かれた、病を得たマイケル・ランドンがドラマを“私物化”した結果、というのは、どうやら都市伝説らしいのだが、では、一体なぜこんな終わり方になったのだろうか。