1959年、ル・マン24時間耐久レースで優勝したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。だが心臓を悪くした彼は、車のデザイナー兼セールスマンに転身する。彼のチームには優れたレーサーだがくせ者の英国人ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)もいた。そんな中、フォードモーターズ社は、シェルビーを起用して、ル・マンでイタリアのフェラーリに勝つことを企てる。
実話を基に、60年代のカーレース界の裏側を、シェルビーとマイルズの不思議な友情、マイルズの家族愛、フォードの企業論理、フェラーリへの対抗心などを軸にして描く。監督はジェームズ・マンゴールド。
2時間半余りの大作。つまらなくはないが、全体的には薄っぺらい印象を受けた。米宇宙開発史を描いた『ライトスタッフ』(83)を小粒にしたような感じがする。ヘンリー・フォード2世役のトレイシー・レッツがもうけ役。ある意味、今は否定されがちな男たちのドラマだが、アメリカ人は本当に車やレースが好きなんだなあと思わせる映画でもある。
ル・マンを描いた映画では、劇中にも名前が登場するスティーブ・マックィーンの『栄光のル・マン』(71)、米車業界の裏側を描いた映画ではフランシス・フォード・コッポラ監督の『タッカー』(88)、最近では『ジョン・デロリアン』もある。