田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

黒澤明VS勝新太郎

2019-11-20 10:31:17 | 映画いろいろ
 
 昨日のNHK「アナザーストーリーズ」は、「天才激突! 黒澤明VS勝新太郎」と題して、『影武者』(80)での勝の降板をめぐる出来事を追っていた。
 
 以前は、もし『影武者』が、当初の予定通りに、監督黒澤明、脚本橋本忍、撮影宮川一夫、音楽佐藤勝、主演勝新太郎、若山富三郎で撮られていたら…とよく夢想したものだが、橋本の著書『複眼の映像 私と黒澤明』を読んだ時に、さまざまな要因から、それは初めから実現不可能だったことがよく分かり切なくなった覚えがある。
 
 今回のドキュメントを見てもその思いは同じで、残念ではあるが、どうしても相容れない関係があることを、改めて知らされた気がした。
 
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悲運のプロデューサー、サミュエル・ブロンストン 『ローマ帝国の滅亡』『サーカスの世界』

2019-11-20 09:32:53 | 映画いろいろ
(2007.10.2.)
『ローマ帝国の滅亡』(64)

  
 

 アンソニー・マン監督の遺作だが、これはプロデューサー、サミュエル・ブロンストンの趣味が大きく出た映画だろう。
 
 リドリー・スコット監督の『グラディエーター』(00)との類似点が多く、この映画の屈折したダメ皇帝役のクリストファー・プラマーが、『グラディエーター』のホアキン・フェニックスとそっくりな点などに先見の明も見られるのだが、アレック・ギネス、ジェームズ・メイスンら、イギリスのスターたちを揃えながら、結局はイタリア人のソフィア・ローレン一人がいいとこ取りをしているという、バランスの悪さを感じさせる映画という印象が残る。
 
 史劇ブームに乗り遅れた徒花という感じがして、皮肉にも、ローマではなく“史劇映画の滅亡”を暗示していたかのようにも見える。
 
『サーカスの世界』(64)

  
 

 ヘンリー・ハサウェイ監督の、この映画のプロデューサーはまたもサミュエル・ブロンストン。彼はスペインのマドリッドのスタジオで『エル・シド』(61)『北京の55日』(63)、そして『ローマ帝国の滅亡』(64)などのスペクタクル史劇大作をプロデュースしたものの、後に破産したという悲運の人。
 
 この映画でも『エル・シド』と『ローマ帝国の滅亡』のソフィア・ローレン同様、イタリア女優のクラウディア・カルディナーレを起用するという“イタリアかぶれ”ぶりを披露している。
 
 サーカスで行われるワイルド・ウエスト(西部劇)・ショー、船の沈没、ヨーロッパ巡業、恋愛模様、大火災(もちろん本物のサーカス芸人も多数登場して妙技を披露する)と、よく考えたらめちゃくちゃな話なのだが、観客をいかにお腹いっぱいにさせるかに腐心した大サービス作という言い方もできる。
 
 そして団長役のデューク=ジョン・ウェインのまさに一人舞台が展開される。映画公開当時、すでに46歳で容色の衰えたリタ・ヘイワースが意外な健闘を見せるのも、見どころの一つだ。
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