田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『八月の六日間』(北村薫)

2019-11-18 10:04:56 | ブックレビュー
 
 出版社で雑誌の副編集長をしている「わたし」を主人公にしたライトな山岳小説。氏の小説は「時と人 三部作」と呼ばれる『スキップ』『ターン』『リセット』をはじめ、女性を主人公にして書かれたものが多いが、今回もその一つ。ただし、今回の主人公の考え方には最後まで共感できなかった。
 
 ただ、山に登らずに、登山経験のある編集者に取材したり、資料やDVDを参考にして書いたというのだから、作家の想像力や筆力には恐れ入るばかり。中に、イングリッド・バーグマン主演の『さよならをもう一度』(61)に関する一節があった。
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『絶海の嵐』

2019-11-18 09:32:02 | 1950年代小型パンフレット
 上野の古本市でまた珍しいパンフレットを見付けてしまった。セシル・B・デミル監督、レイ・ミランド、ジョン・ウェイン、ポーレット・ゴダード、スーザン・ヘイワード共演のテクニカラー海洋映画『絶海の嵐』(42・日本公開52)である。
 
   
 1840年代のカリブ海を舞台に、貨物船を攻撃する敵との壮絶な闘いを描いたこの映画は、ラストでミランドと共に海に潜ったウェインが巨大なイカの犠牲になるのだが、ゴダードをめぐる三角関係も含めて、日本の『ゴジラ』(54)の人物設定とラストシーンに多大な影響を与えたのではないかと推察する。
 
 以前、大林宣彦監督にジョン・ウェインについてのインタビューをした際に、この映画と『怒涛の果て』(48)について、熱く語ってくださったことを懐かしく思い出した。
 
 
 
 また、10年ほど前、先日亡くなった和田誠さんの、映画のラストシーンだけを描きおろした油絵を集めた個展「ラストシーン」を訪れた際、妻が『怒涛の果て』を大層気に入ったのだが、高価で手が出なかった。和田さんの訃報を聞いてから、「あの時、無理してでも買っておけばよかった」としきりに後悔を口にする。
 
パンフレット(52・アメリカ映画宣伝社)の主な内容は
解説/梗概/海底の死闘/デミルの六十六本目の作品/主演者メモ、ジョン・ウェイン、レイ・ミランド、ポーレット・ゴダード、スーザン・ヘイワード、老練な助演者ロバート・プレストン、レイモンド・マッシー/色彩映画に初めて現れるチャールストン公園の美観
 
   
 
 
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