『初恋のきた道』(99)(2004.7.25.)
評判は耳にしながら、なかなか見るチャンスに恵まれず、遅まきながらやっと見た。
前半は、確かにところどころにいいショットはあるのだが、いかんせん、ヒロイン、チャン・ツィイーを追い駆けるカメラワーク(スローモーション過多)があまりにもしつこくて辟易してくる。
加えて、ストーリーも“純愛もの”として喧伝されているようだが、見方を変えると、これは一種のストーカーものと見えないこともない。何か異様な女の一念を見せられているようで、少々怖くなってくる。
さらに、監督チャン・イーモウの“泣かせの押し売り”的な作為が見え見えで、これもいただけない。
親子関係、郷愁を誘う貧しい村の描写、教師と生徒…。泣かせのツボをこれだけ詰め込みながら、そのどれもが上辺だけで薄い感じは否めない。
その半面、チャン・ツィイーに対する思い入れだけが突出しているので、甚だバランスが悪く感じられるのだ。
だから、自分はこの映画を、美しい純愛とも、美談とも、受け取ることができなかった。