『ステキな金縛り』(11)(2011.10.26.TOHOシネマズ六本木ヒルズ 東京国際映画祭)
三流弁護士のエミ(深津絵里)は、妻殺害の容疑をかけられた被告人のアリバイを証明するため、事件当夜に被告人が金縛りにあったという山奥の旅館を訪れ、落ち武者の幽霊・更科六兵衛(西田敏行)と出会う。エミは、六兵衛を証人として法廷に召喚させようとするが…。三谷幸喜監督の法廷コメディー。
意外性のある裁判劇としては、ビリー・ワイルダーの『情婦』(57)、策略の中で踏ん張る純粋な新米(深津)の姿はフランク・キャプラの『スミス都へ行く』(39)、それを助ける幽霊(天使)の存在は、同じくキャプラの『素晴らしき哉、人生!』(46)へのオマージュであろう。
趣味が似ている同世代の映画好きとしての視点で見れば、これはこれで楽しいのだが、またしても長過ぎ、盛り込み過ぎてテンポが悪い。やはりこの人のリズムは、映画向きではなく舞台向きなのでは、と感じさせられた。
雑多なキャストの中で、先輩弁護士役の阿部寛が好演を見せる。そして、西田はこういう役にこそ本領を発揮する。