田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『コンクリート・カウボーイ: 本当の僕は』

2021-12-18 17:14:21 | 新作映画を見てみた

『コンクリート・カウボーイ: 本当の僕は』(Netflix)

 デトロイトで母と暮していた問題児のコール(ケイレブ・マクラフリン)は、夏の間、疎遠だった父のハープ(イドリス・エルバ)とフィラデルフィアの黒人カウボーイコミュニティで暮らすことになる。初めは馬の世話に心血を注ぐ父に反発するコールだったが、やがて固いきずなで結ばれた周囲の人々の中で成長していく。

 『マ・レイニーのブラックボトム』『ザ・ハーダー・ゼイ・フォール: 報復の荒野』(これにもエルバが出ていた)などと並ぶ、Netflixが製作した黒人主体の“ブラックムービー”の1本。製作は『大統領の執事の涙』(13)のリー・ダニエルズ。監督のリッキー・スタウブはこれがデビュー作。 

 実際に、フィラデルフィアの街中で馬の飼育や調教をしている黒人カーボーイたちの姿を描き、本人たちも登場する。父と子の和解の話としてはありきたりだが、知られざる黒人カウボーイの歴史が語られるところは興味深かった。

 劇場公開の映画としては、題材が渋過ぎ、人種的な主張も強過ぎて、興行的には不利だと思われるが、配信ならその点もクリアできる。配信会社が製作する映画の価値はこんな形でも示されるわけだ。そう考えると、こういう映画は、かつてのテレビムービー的な役割を果たしているのかもしれないと感じた。 

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『世界で一番美しい少年』

2021-12-18 16:10:00 | 新作映画を見てみた

『世界で一番美しい少年』(2021.12.16.オンライン試写)

 ルキノ・ビスコンティ監督の『ベニスに死す』(71)で主人公アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)を破滅に導く美少年タジオを演じたビョルン・アンドレセンの、現在と過去を追ったドキュメンタリー。

 ビスコンティに見いだされ、「世界で一番美しい少年」と称賛されたアンドレセンは、日本でも評判となり、来日時は日本語で歌を吹き込み、CMにも出演。『ベルサイユのばら』など、少女漫画のキャラクターの基になるなど、日本のカルチャーにも大きな影響を及ぼした。

 それから50年近い年月が流れ、アリ・アスター監督作『ミッドサマー』(19)の老人役でスクリーンに登場し、そのあまりの変貌ぶりが話題になったのは記憶に新しい。

 この映画は、老いさらばえた彼が、東京、パリ、ベニスを再訪し、自らの栄光と転落の軌跡をたどっていく様子を追っていくのだが、アイドルの成れの果てという一言では片づけられない空しさややるせなさを感じさせられた。

 『ベニスに死す』のカメラテストの様子を見ていると、ビスコンティと出会ってしまったことが運命だったとするならば、それは随分と残酷なものだった、という言い方もできる。

 今ならセクハラで訴えられるような出来事だが、それを経て完成した映画は、名作と呼ばれるものになったのだから、複雑な思いにかられた。

 高度経済成長期、1960年代後半から70年代初頭の日本では、このアンドレセンのほかにも、レイモンド・ラブロックやマーク・レスターらが、外国人アイドルとしてCMなどに出演していたが、彼らは今どうしているのだろうと思った。

『恋人たちの曲 悲愴』『ベニスに死す』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/5377502f106c782f58e4e35bc3a75da9

【ほぼ週刊映画コラム】新型コロナウイルスの感染拡大の今こそ見たい映画
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3e16b156f7ea8b6feab091e49edefc30

 

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