NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。前日は、O・ヘンリーの「善女のパン」の舞台劇の挿入があったが、今回は、オープニングで、いきなり「眠狂四郎」かと思いきや、戦前から活躍するモモケンこと桃山剣之介(尾上菊之助)主演の時代劇で、最後に斬られるのは松重豊だった。このモデルは福本清三か。モモケンは架空の人物だが、かつて安子(上白石萌音)と稔(松村北斗)が最後に一緒に見たのも彼の映画だった。
続けて、2代目ヒロインのるい(深津絵里)が、弁護士の卵の片桐(風間俊介)との初デートで、黒澤明監督の『椿三十郎』(62)を見に行く様子が描かれた。ということは、時代は昭和37年ということか。
るいの額の傷のこともあるから、市川右太衛門の『旗本退屈男』ではしゃれにならないが、そもそも『椿三十郎』はデートムービーには向かないと思うのだが…。
一緒に並ぶ看板は『巴里のイギリス人』と『逆襲!宇宙海賊船』と『あさがお』。モデルになった映画は、多分『巴里のアメリカ人』(51)と『地球防衛軍』(57)か『宇宙大戦争』(59)はたまた『スーパー・ジャイアンツ』あたりと『ひまわり』(70)だと思われる。
これは映画黄金時代の華やかさを表現したかったということなのだろう。何だか時代考証がバラバラだが、これはこれでいろいろと想像をしながら楽しめる。