『ホーム・アローン』(90)(1991.7.24.日比谷スカラ座)
あの『ダイ・ハード』(88)が、少々毛色の変わった現代版の”アクション・クリスマス・キャロル"だったとすれば"だったとすれば、この映画は、昔ながらのクリスマスの奇跡を扱った正統派映画の流れを汲んでいる。
とはいえ、いまさらサンタクロースの存在や、クリスマスの奇跡を真正面から描いても、受け入れ難いところがあるので、そこに少々ひねりを加えて、改めて現代流にしたところにこの映画の鋭さがある。
何しろ、主人公は小生意気な子どもである。しかも家族に置いてきぼりにされた彼が、泥棒たち(ジョー・ペシ、ダニエル・スターン)をやっつけ、孤独な老人(ロバーツ・ブロッサム)の心を癒やし、自分も子どもから少年へと成長するのだから、トータルとしては、これを奇跡と呼ばずして何と呼ぼう、という話になっている。この盛り込み方が実にうまいのだ。
この映画の実質的なクリエーターであるジョン・ヒューズは、ここのところコミカルな家族ものをずっと作ってきているが、その多くが日本未公開だったり、ビデオでしか見られないものもあって、いまひとつ評価が定まらないところがあった。
だが、ついにこれまでの蓄積を一気に開花させたような大ホームランを放った。何しろ、真夏に真冬の話を見せられても、全く違和感がなかったのだから、これは単にクリスマスという特別な季節に乗っかったものではない。それこそが、普遍的なテーマを持った出来のいい映画の証でもある。
劇中に、クリスマス映画の代表作である『素晴らしき哉、人生!』(46)と『34丁目の奇蹟』(47)が、さり気なく映ったが、将来は、この映画がクリスマス映画の定番として登場するようになるだろう。
【今の一言】30年後の今、まさにその通りになった。