『わが母の記』(11)(2012.1.10.松竹試写室)
昭和34年、小説家の伊上(役所広司)は父を亡くし、母・八重(樹木希林)の面倒をみるようになる。きょうだいの中で一人だけ両親と離れて育てられたことから“母に捨てられた”という思いを抱いてきた伊上だったが、妻と3人の娘、家族に支えられ、母と向き合っていく…。
原作は井上靖の自伝的小説。樹木が老いて記憶を失いつつも息子への思いだけは消えない母を演じて高く評価された。
作家は自分や家族ことすら小説のネタにする。これは作家の性なのか。母に対して素直になれない息子を演じる役所がいい。原田眞人監督が、小津安二郎が描いたような家族像を意識して、再現しようしている感じがした。