田中雄二の「映画の王様」

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「ボストン美術館展 芸術×力」

2022-10-02 22:17:46 | 雄二旅日記

「ボストン美術館展 芸術×力」(2022.10.2.東京都美術館)

 

 遣唐使・吉備真備の活躍を描いた「吉備大臣入唐絵巻」と、平治の乱をテーマに、戦いの様子をダイナミックに描いた「平治物語絵巻 三条殿夜討巻」、そして修復された「孔雀図」(増山雪斎)が目玉。

 ただし、展示の仕方に脈略がなく、統一感もないので、散漫な印象を受けた。


 約40年前に、こんなスペシャルドラマを見た。

『ボストン美術館物語』(1983.3.12.)

 歴史の教科書に載っていた、例えば「平治物語絵巻」などを見るたびに、なぜボストン美術館所蔵となっているのか疑問に思ったものだが、多分、戦後のどさくさに紛れて、アメリカに持っていかれたのだろうと勝手に納得していた。

 ところが、このスペシャルドラマから、それは明治維新の際に行われた廃仏毀釈によるものだと知らされた。これは、維新後、欧米に追い付くために欧化政策を進め、天皇制を正当化するために神道を重んじるという、権力者たちが行った無理による結果の一つである。

 劇中、元駐日米大使のライシャワーが「日本は他国に比べれば、文化財を流出させない閉鎖性がある」と述べていたが、フランスから美術品を略奪するナチスドイツ軍を描いた『大列車作戦』(64)ではないが、その国が誇るべき文化財が、戦争や政治的な思惑によって居場所が左右されるのは、やはり困りものなのである。

 それにしても、進行役の滝田栄も言っていたが、ボストン美術館の日本コーナーには、ジェラシーを覚えずにはいられない。確かに、これらの美術品は、手塚治虫が『火の鳥』で描いたように、当時の権力者が作らせたり、所有したりしたものなのだが、それもまた、日本の歴史の一部なのだから、やはりアメリカではなく、日本にあるべきものなのではないかと感じた。

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