日本映画専門チャンネルでやっていた「古畑任三郎」第一シリーズ(94)を見始めたら、以前見ていたのに、途中でやめられなくなった。今さらながら面白い。
田村正和は、初めは古畑を演じることに逡巡していたようだが、これが代表作の一つになったのだから、今泉役の西村雅彦も含めて、改めて、俳優業は水物だと思わされたし、俳優たちが三谷脚本のドラマに出たがるのも分かる気がした。
このドラマシリーズは、「刑事コロンボ」から想を得ている。だから、「このシリーズは、最初に犯人や犯行の経緯をばらしてしまう、いわゆる倒叙法を用いているから、後はコロンボがどう犯人を追い詰めていくかが見どころとなる。しかも、犯人は必ず最後にはコロンボとの腹の探り合いに敗れる。だから、どんなに巧みに完全犯罪を試みても、結局は「殺人は割に合わない」というところに落着する」という、以前書いた文の「コロンボ」の部分を「古畑」に代えても成り立つ。
そして、これも「コロンボ」同様に、犯人役にそれなりの俳優を配して、古畑=田村との丁々発止のやり取りを見せる。「コロンボ」の影を感じさせながら、ラストの退場シーンなどに、舞台劇を思わせるあたりが三谷幸喜の真骨頂だ。
今回のラインアップは、
「動く死体」犯人は歌舞伎俳優(堺正章)
「笑える死体」精神科医(古手川祐子)
「殺しのファックス」推理作家(笑福亭鶴瓶)
「汚れた英雄」将棋棋士(坂東八十助)
「ピアノ・レッスン」ピアニスト(木の実ナナ)
「殺人リハーサル」時代劇俳優(小林稔侍)
「殺人特急」外科医(鹿賀丈史)
「殺人公開放送」超能力者(石黒賢)
「矛盾だらけの死体」政治家秘書(小堺一機)
「さよなら、DJ」ラジオディスクジョッキー(桃井かおり)
「最後のあいさつ」警視(菅原文太)
「古畑任三郎ファイナル・フェアな殺人者」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e2be5c38d6929c58e817cec74829f87
「刑事コロンボ 殺人処方箋」「構想の死角」
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/f90b6e6acb4d17511e098cb619965c43