田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』

2024-02-14 13:51:30 | 新作映画を見てみた

『PLAY! 勝つとか負けるとかは、どーでもよくて』(2024.2.7.オンライン試写)

 徳島県の高等専門学校に通う郡司翔太(奥平大兼)は、「全国高校eスポーツ大会メンバー大募集」という校内に貼り出された勧誘ポスターに興味を持ち、ポスターを作った1学年先輩の田中達郎(鈴鹿央士)に連絡を取る。

 達郎は1チーム3人編成のeスポーツ大会「ロケットリーグ」出場のため、翔太に加えて、Vtuberに夢中の小西亘(小倉史也)にも声を掛け、半ば強引に出場チームを結成。最初は全く息が合わない3人だったが、次第にeスポーツの魅力にハマっていき、東京で開催される決勝戦を目指すこととなる。

 日本の劇映画で初めて「eスポーツ」を本格的に取り上げた作品で、実在の男子学生をモデルにeスポーツの全国大会を目指す学生たちを描いた青春ドラマ。

 人気ゲーム『サクラ大戦シリーズ』で知られるマルチクリエーターの広井王子が企画・プロデュースし、監督は『ロボコン』(03)『のぼる小寺さん』(20)などの古厩智之。共演は山下リオ、花瀬琴音、三浦誠己ら。

 eスポーツというといかにも目新しく感じるが、スポーツはもちろん、eスポーツを競技かるた(『ちはやふる』シリーズ)やチアガール(『チア☆ダン~』)などに置き換えれば、それらと同種の高校生たちの青春群像劇として見ることができるし、熱中できる何かを見つけられた若者たちの喜びの姿が素直に伝わってくる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『レミは生きている』(平野威馬雄)

2024-02-14 07:28:19 | ブックレビュー

(1993.12.17.)

 折よく再版されたこの本を読むと、人種差別は日本にも歴然と根強く存在すると、改めて感じさせられた。この人がなぜ日本の伝統文化や才人たちのことを好んで書いたのか。その答えは、自身のハーフという生い立ちによる屈折からだったのだ。つまり、自分は“純粋日本人”を名乗る差別集団よりも遥かに日本人であり、日本を理解していることを誇示するための、切ない反乱だったことが、この本に切々と描かれている。

 例えば、山田洋次の『学校』(93)でも描かれたように、アジア人を差別し、欧米人にはへつらう嫌らしさはいまだに残っている。結局、フィリップ・カウフマンの『ライジング・サン』(93)を、差別だ蔑視だと言い切れない苦さの根も、日本人のこうした意識の痛いところの一端をつかれたからなのかもしれない。

【今の一言】平野威馬雄のほとんどの本の装丁は、娘婿の和田誠が手掛けている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『貴人のティータイム』『平賀源内の生涯』『くまぐす外伝』『ファーブルの生涯』(平野威馬雄)

2024-02-14 07:07:41 | ブックレビュー

 

(1993.12.2.)

 平野威馬雄の本を探しているのだが、なかなか見つからない。そんな中、『貴人のティータイム』なる対談本を発見。これを読むとフランス文学者、翻訳家、詩人、作家、UFOやお化けの研究家といったさまざまな顔がありながら、かつてはコカイン中毒者であり、混血児としての屈折した生い立ちの持ち主でもあることも分かる。彼は今はやりのマルチタレントの先駆けだったのだ。存在が大き過ぎる。この本をイントロとして平野威馬雄の世界に入ってしまったことは果たしてよかったのか…。

 ちくま文庫で平野威馬雄の著書を3冊発見。平賀源内、南方熊楠、アンリ・ファーブルの評伝だ。彼らもある意味マルチタレント。枠外の人なれば枠外の人を知るといったところか。まずは『平賀源内の生涯』を読了。平易な文章が好ましく、その昔の源内が主役のドラマ「天下御免」を思い出し、改めて源内という人物の奥深さを知らされた思いがした。この後、大冊『くまぐす外伝』『ファーブルの生涯』を読む予定。まだ見つからないUFOやお化けの本も読んでみたい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする