田中雄二の「映画の王様」

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『ブルックリンでオペラを』

2024-02-15 08:35:43 | 新作映画を見てみた

『ブルックリンでオペラを』(2024.2.3.オンライン試写)

 ニューヨーク、ブルックリンに暮らす精神科医のパトリシア(アン・ハサウェイ)と、現代オペラの作曲家スティーブン(ピーター・ディンクレイジ)夫妻。人生最大のスランプに陥ったスティーブンは、愛犬との散歩先のバーで、風変わりな船長のカトリーナ(マリサ・トメイ)と出会う。カトリーナに誘われて船に乗り込んだスティーブンが体験したある出来事によって、夫婦の人生が劇的に変化していく。

 ハサウェイがプロデューサーを兼任したロマンティックコメディ。監督は『50歳の恋愛白書』(09)『マギーズ・プラン 幸せのあとしまつ』(15)のレベッカ・ミラー。

 スランプのオペラ作家と潔癖症の精神科医の夫婦、前夫との間に産まれた黒い肌の息子、恋愛依存症の船長、移民の家政婦とその娘、コスプレイヤーでレイシストの義父といった風変わりな人たちを登場させ、愛の形が相手によってどう変わるのかを描いていく。

 ドラマと劇中オペラ、作曲家と女船長の関係と若いカップルの関係を重ねて描く手法がユニーク。ミラー監督によれば、往年のスクリューボールコメディやビリー・ワイルダーの映画を意識したのだという。

 ディンクレイジの存在が現実離れ感を醸し出し、話が進むに連れて印象が変化するカトリーナをトメイが好演している。「She Came to Me」という原題が示すように、実は主役はカトリーナと言っても過言ではない。

 また、「誰の人生もきっとオペラみたいに劇的だ」(スティーブン)、「ロマンスに弱いの。人の話でもね」(カトリーナ)などのセリフも面白いし、挿入歌「KEEP ON THE SUNNYSIDE=陽気にゆこう」とラストに流れるブルース・スプリングスティーンによる主題歌「ADDICTED ROMANCE=ロマンス依存症」もドラマの内容と重なって効果的。ウエルメイドなヒューマンコメディという印象を受けた。


 

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