『パリで一緒に』(64)(1983.8.27.昼のロードショー)
舞台はパリ祭真っただ中のパリ。映画のシナリオライター(ウィリアム・ホールデン)に雇われたタイピスト(オードリー・ヘプバーン)が、次々と彼の口述するストーリーのヒロインになるという劇中劇が展開する。監督はリチャード・クワイン。
こうした、しゃれていて映画に関する楽屋落ちにも満ちたストーリーは、映画好きにとってはたまらなく魅力的なものに映る。例えば、フランソワ・トリュフォーの『アメリカの夜』(73)がそうだったし、日本の『蒲田行進曲』(82)などもこのカテゴリーに入るだろう。
加えて、この映画は、本編と劇中劇のタイトルが別々に出てきて、ホールデンとヘプバーンが、コメディタッチのものも含めて一人で何役もこなし、マレーネ・ディートリッヒやトニー・カーティス、ピーター・セラーズがほんのチョイ役で登場し、フランク・シナトラやビング・クロスビーの歌声が聴こえてきて…。
いやはや、ここまでやられると、本編そっちのけで、いくつ楽屋落ちやパロディを見付けられるかなどと考えてしまうのだから、映画好きとは何とやっかいな人種なのだろうと思わされた。
この映画の基は、ジュリアン・デュビビエとアンリ・ジャンソンの『アンリエットの巴里祭』(52)だという。粋でしゃれたものを得意とするフランス映画なら、このハリウッド版よりもっと面白いかもしれない。ぜひ見て見なくては。
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