『ジョン・レノン 失われた週末』(2024.4.16.オンライン試写)
1973年秋から75年初頭にかけての18か月間、ジョン・レノンは、妻のオノ・ヨーコと別居し、夫妻の個人秘書でプロダクションアシスタントを務めていた中国系アメリカ人のメイ・パンと共に日々を過ごしていた。
“失われた週末”と呼ばれる、ジョンのプライベートな日々の真相を追ったこの映画では、メイ本人の証言を中心に、メイの目から見た素顔のジョンが描かれ、「愛と平和の人」ではない、多面的で赤裸々なジョンの姿が浮かび上がってくる。
ジョンとヨーコ、そしてメイとの不思議な三角関係の真相はもはややぶの中だが、興味深いのは、この時期、酒と薬漬けだったと言われたジョンが、最初の妻シンシアとの間に産まれた長男のジュリアンと再会し、アルバム『マインド・ゲームス』『心の壁、愛の橋』『ロックン・ロール』を立て続けに制作。デビッド・ボウイやエルトン・ジョンらとのコラボレーションや、ポール・マッカートニーとの再会など、“失われた週末”という呼び名とは裏腹に、積極的に人と会ってコラボし、ソロキャリアの中で最も多作で商業的にも成功したからだ。
この矛盾を、インタビューでメイ本人に尋ねたところ、「ジョンは酒浸りなんかじゃなかった。その誤解を解きたかったからこの映画を作った」と答えた。そして「この時期のジョンの活動には自分が深く関わっていた」とも。なるほどそういうことか。つまりこの映画は、ジョンのミストレスとしての誇りの話だったのだ。
主な登場人物は、ジュリアン・レノン、フィル・スペクター、ジム・ケルトナー、アリス・クーパー、ハリー・ニルソン、バーニー・トーピン、キース・ムーン、ミッキー・ドレンツ、スティービー・ワンダー、ミック・ジャガー、デビッド・ボウイ、エルトン・ジョン、リンゴ・スター、そしてポールとリンダ・マッカートニー…。
果たしてヨーコはこの映画を見たのだろうか、というちょっと意地悪な思いが浮かんだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます