田中雄二の「映画の王様」

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『峠 最後のサムライ』

2022-05-21 07:10:56 | 新作映画を見てみた

『峠 最後のサムライ』(2021.5.1.オンライン試写)

役所広司がどんどん三船敏郎化している

 幕末の動乱にあって、旧幕府側、新政府側のどちらに属することなく、中立と独立を目指した越後長岡藩牧野家の家老・河井継之助(役所広司)の闘いを描く。

 司馬遼太郎の『峠』を小泉堯史監督が映画化。河井の“最後の1年”に話を絞って描いている。いわゆる官軍との北越戦争での河井の姿勢については、己の理想のために藩を巻き込んだとする、批判的な意見もあるようだが、先見の明やグローバルな視点を持ちながら敗れていった悲劇の人とする向きもある。

 この映画は、サブタイトルからも分かるように、後者の視点から描いているが、意外とサラリと描いているため、感動は薄いという印象を抱かされた。

 河井については、大河ドラマ「花神」(77)で高橋英樹が演じた役の印象が強い。今回の役所も力演しているが、何だか気張り過ぎて、三船敏郎と同じ役をやった『聯合艦隊司令長官 山本五十六』(11)『日本のいちばん長い日』(15)にも増して、三船敏郎化しているような気もした。

*コロナ禍で公開は来年に延期となった。→6月17日公開


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