田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『墓石と決闘』

2019-11-19 09:07:38 | 映画いろいろ

『墓石と決闘』(67)(1973.1.14.日曜洋画劇場)

 『OK牧場の決闘』の後日談を描く。いきなり決闘から入る冒頭のスタイルが斬新で、ジョン・スタージェスが最後の輝きを見せた一作として記憶される。主人公ワイアット・アープにジェームズ・ガーナー、ドク・ホリデイにジェイソン・ロバーズ、アイク・クラントンにロバート・ライアンという渋い配役。無名時代のジョン・ボイトが端役で出ている。

 スタージェスは自作『OK牧場の決斗』(57)に不満があったため、この映画は、より史実に忠実に描いており、ニューシネマ風なところもある。まあ、そうは言っても、この映画はまだ史実と伝説(フィクション)の狭間を描いているが、これがローレンス・カスダン監督、ケビン・コスナー主演の、よりリアルな『ワイアット・アープ』(94)まで行くと、ちょっと見るのがつらくなる。

 ラストのアープとホリデイの別れのシーンが特にいいが、この時期のロバーズは、この映画のほかにもセルジオ・レオーネの『ウエスタン』(68)と、サム・ペキンパーの『砂漠の流れ者』(70)で忘れ難い名演を見せた。

   

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『八月の六日間』(北村薫)

2019-11-18 10:04:56 | ブックレビュー
 
 出版社で雑誌の副編集長をしている「わたし」を主人公にしたライトな山岳小説。氏の小説は「時と人 三部作」と呼ばれる『スキップ』『ターン』『リセット』をはじめ、女性を主人公にして書かれたものが多いが、今回もその一つ。ただし、今回の主人公の考え方には最後まで共感できなかった。
 
 ただ、山に登らずに、登山経験のある編集者に取材したり、資料やDVDを参考にして書いたというのだから、作家の想像力や筆力には恐れ入るばかり。中に、イングリッド・バーグマン主演の『さよならをもう一度』(61)に関する一節があった。
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『絶海の嵐』

2019-11-18 09:32:02 | 1950年代小型パンフレット
 上野の古本市でまた珍しいパンフレットを見付けてしまった。セシル・B・デミル監督、レイ・ミランド、ジョン・ウェイン、ポーレット・ゴダード、スーザン・ヘイワード共演のテクニカラー海洋映画『絶海の嵐』(42・日本公開52)である。
 
   
 1840年代のカリブ海を舞台に、貨物船を攻撃する敵との壮絶な闘いを描いたこの映画は、ラストでミランドと共に海に潜ったウェインが巨大なイカの犠牲になるのだが、ゴダードをめぐる三角関係も含めて、日本の『ゴジラ』(54)の人物設定とラストシーンに多大な影響を与えたのではないかと推察する。
 
 以前、大林宣彦監督にジョン・ウェインについてのインタビューをした際に、この映画と『怒涛の果て』(48)について、熱く語ってくださったことを懐かしく思い出した。
 
 
 
 また、10年ほど前、先日亡くなった和田誠さんの、映画のラストシーンだけを描きおろした油絵を集めた個展「ラストシーン」を訪れた際、妻が『怒涛の果て』を大層気に入ったのだが、高価で手が出なかった。和田さんの訃報を聞いてから、「あの時、無理してでも買っておけばよかった」としきりに後悔を口にする。
 
パンフレット(52・アメリカ映画宣伝社)の主な内容は
解説/梗概/海底の死闘/デミルの六十六本目の作品/主演者メモ、ジョン・ウェイン、レイ・ミランド、ポーレット・ゴダード、スーザン・ヘイワード、老練な助演者ロバート・プレストン、レイモンド・マッシー/色彩映画に初めて現れるチャールストン公園の美観
 
   
 
 
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『フォードVSフェラーリ』

2019-11-16 08:03:58 | 新作映画を見てみた
 
 1959年、ル・マン24時間耐久レースで優勝したキャロル・シェルビー(マット・デイモン)。だが心臓を悪くした彼は、車のデザイナー兼セールスマンに転身する。彼のチームには優れたレーサーだがくせ者の英国人ケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)もいた。そんな中、フォードモーターズ社は、シェルビーを起用して、ル・マンでイタリアのフェラーリに勝つことを企てる。
 
 実話を基に、60年代のカーレース界の裏側を、シェルビーとマイルズの不思議な友情、マイルズの家族愛、フォードの企業論理、フェラーリへの対抗心などを軸にして描く。監督はジェームズ・マンゴールド。
 
 2時間半余りの大作。つまらなくはないが、全体的には薄っぺらい印象を受けた。米宇宙開発史を描いた『ライトスタッフ』(83)を小粒にしたような感じがする。ヘンリー・フォード2世役のトレイシー・レッツがもうけ役。ある意味、今は否定されがちな男たちのドラマだが、アメリカ人は本当に車やレースが好きなんだなあと思わせる映画でもある。
 
 ル・マンを描いた映画では、劇中にも名前が登場するスティーブ・マックィーンの『栄光のル・マン』(71)、米車業界の裏側を描いた映画ではフランシス・フォード・コッポラ監督の『タッカー』(88)、最近では『ジョン・デロリアン』もある。
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『アナと雪の女王』

2019-11-15 08:41:51 | 映画いろいろ
 
 22日から『アナと雪の女王2』が公開になる。今日の新聞はテレビ放送される『アナと雪の女王』(13)の広告でいっぱいだった。早いものであの大ヒットからもう5年もたったのか…。
 
【映画コラム】ディズニー創立90周年記念『アナと雪の女王』と『ウォルト・ディズニーの約束』
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/532791
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「2019年10月の映画」転載

2019-11-14 08:49:32 | 映画の森

「KyodoWeekly」10月28日号から「10月の映画」 共同通信のニュースサイトに転載
https://www.kyodo.co.jp/national-culture/2019-11-13_2364327/

 

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【インタビュー】『アースクエイクバード』ウォッシュ・ウエストモアランド監督

2019-11-13 10:41:28 | インタビュー

「“東京ノワール”と呼べるような、新たなノワールが構築できると思いました」
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/interview/1204854

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『社長道中記』

2019-11-13 08:48:35 | 映画いろいろ
『社長道中記』(61)
『文化の泉 シネマアベニュー Vol.7 みんな輝いていた60年代!』(14)から。
 
クリック拡大
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『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』のすし屋(五香)

2019-11-12 09:22:28 | 男はつらいよ
 久しぶりに京成バラ園を訪れた。以前発見した、ヘンリー・フォンダ、ケーリー・グラント、グレース・ケリー、カトリーヌ・ドヌーブに続いて、今回はセクシー・レクシーという名の付いたバラを発見した。これはレックス・ハリスンのニックネームだ。バラより名札の方が気になったりして。
 
黄色いバラはヘンリー・フォンダ!?
 
 ところで、バラ園には松戸から新京成に乗って向かったのだが、途中、五香(ごこう)駅に停車した際、妻が「確か、ここのすし屋が寅さんの映画に出てきた」という。すし屋が印象的な寅さん映画と言えば、浅丘ルリ子演じるリリーがラストですし職人(毒蝮三太夫)と所帯を持つ『男はつらいよ 寅次郎忘れな草』(73)だ。調べてみると、寅(渥美清)の代わりにさくら(倍賞千恵子)が訪ねたのは確かに五香駅近くのすし屋だった。
 
 
 
 幸せそうなリリーを見て、兄のことを思い一瞬寂しそうな表情を浮かべるさくら。ところが、その頃寅は世話になった北海道の牧場を訪れて、明るく楽しく旧交を温めている。そして広々とした大地に高らかに流れるテーマ曲。決して暗く終わらないこのシリーズの真骨頂とも言える名場面だ。そういえば、あの映画には、リリーが母親を訪ねるシーンで五反田の新開地も出てきたなあ。
 
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【ほぼ週刊映画コラム】『ターミネーター:ニュー・フェイト』

2019-11-11 17:57:06 | ほぼ週刊映画コラム

エンタメOVOに連載中の

『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
本当にこれで終わりなのか?
『ターミネーター:ニュー・フェイト』


詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/feature-interview/column/week-movie-c/1205377

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