田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

2021-12-26 07:02:40 | 新作映画を見てみた

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021.12.20.ソニー・ピクチャーズ試写室)

故郷に戻れない

 前作『~ファー・フロム・ホーム』(19)のラストから始まる、ホームシリーズ三部作の完結編。監督ジョン・ワッツ、脚本クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ。

 「スパイダーマンの正体はピーター・パーカー」。ミステリオ(ジェイク・ギレンホール)によって正体を明かされてしまったピーター(トム・ホランド)は、自分がスパイダーマンだという事実を人々の記憶から消すことを、ドクター・ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)に頼み込む。

 だが、呪文の途中で口出しをしたために、この世界に、『スパイダーマン』(02)のグリーン・ゴブリン(ウィレム・デフォー)、『スパイダーマン2』(04)のドクター・オクトパス(アルフレッド・モリーナ)、『アメイジング・スパイダーマン』(12)のサンドマン(トーマス・ヘイデン・チャーチ)とリザード(リス・エバンス)、『アメイジング・スパイダーマン2』(14)のエレクトロ(ジェイミー・フォックス)、という別の世界の強敵たちを呼び寄せてしまう。ピーターは、彼らを元の世界に戻そうと試みるが…。

 そのほか、あっと驚くゲストも登場し、本来は別作品のキャラクターが入り乱れて、日本のウルトラ兄弟や仮面ライダー、戦隊ヒーローもののような展開を見せる。

 その結果、未熟な高校生ピーター=ホランドの成長と恋愛はもとより、この三部作、というよりスパイダーマンシリーズ全体を総括するような流れになった。とはいえ、ラストはちょっと切ないのだが…。

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『ウエスト・サイド・ストーリー』

2021-12-25 09:32:23 | 新作映画を見てみた

『ウエスト・サイド・ストーリー』(2021.12.23.TOHOシネマズ日比谷.完成披露試写)

 見る前は、あの名作をスピルバーグがどう料理したのかという興味と、果たしてリメークする必要があったのかという疑問が相半ばして、妙に落ち着かなかった。

 ところが、20世紀フォックスのファンファーレに続いて、おなじみのプロローグが流れ始めると、いよいよ始まるぞという気分になって、これはこれとして、前作(61年版と称するようだ)とは別物として楽しもうという気になった。

 そして、音楽の入れ方、振り付け、色遣い、カメラワークなどにさまざまな工夫が見られ、61年版とは違ったものにしようというスタッフ、キャストの気概が伝わってきた。

 今回の主な配役は、トニー(アンセル・エルゴート)、マリア(レイチェル・ゼグラー)、ベルナルド(デビッド・アルバレス)、リフ(マイク・ファイスト)、アニータ(アリアナ・デボーズ)、チノ(ジョシュ・アンドレス)…。それほど有名ではない彼らを起用することによって、移民の問題がより鮮明に浮かび上がるところがある。

 61年版のトニー(リチャード・ベイマー)とマリア(ナタリー・ウッド)の歌は吹き替えだったが、今回は恐らくほとんど吹き替えなしで、本人が歌っているのではないかと思われる。

 『ベイビー・ドライバー』(17)公開の際に、エルゴートにインタビューしたが、「始めはダンサーとして活動していた」と語っていたので、ついにそれが生かされた大役をものにしたと思い、他人事ながら「よかったね」と一声掛けたい気分になった。

 トニーが働くドラッグストアの店主は、61年版では中年男性のドク(ネッド・グラス)だったが、今回は白人と結婚したプエルトリコ出身の女性に変えている。これを61年版のアニータ役のリタ・モレノが演じているのが見どころの一つで、彼女と今回のアニータ役のデボーズが絡むところは、ほろりとさせられるが、全体としては、いささか彼女が目立ち過ぎるところがあると感じた。

 何にせよ、レナード・バーンスタインの音楽の素晴らしさを再確認させられた思いがする。今回は特に「アメリカ」と「マンボ」、そして「マリア」から「トゥナイト」への流れがよかったが、決闘前のシーンで、ジェット団、シャーク団、アニータ、トニー、マリアの感情が交錯する五重奏の「トゥナイト」と「クール」は、残念ながら今一つだった。

 さて、“映画クレイジー”スピルバーグとしては、単純に一度はミュージカルを撮ってみたかったということもあったのだろう。

 ただ、『レディ・プレイヤー1』(18)の公開時にインタビューした際、「今は人が人を信用しなくなっている。そして今のアメリカは思想的にも半分に分かれ、信頼や信用がなくなってきている。それが怖いし、このままではいけないと思う」と語っていたから、この題材なら、そうした問題も入れ込めると考えたところもあったのではないか。

 終映後、これはこれで決して悪い出来ではないのだが、何かもやもやしたものが残ったのは否めない。61年版を見ていないという若者と話したが、まっさらな気持ちで見られるという意味では、その方が幸せなのではないかと思ったし、それ故に、手あかの付いた自分たちとは違い、1本の映画として正当な評価が下せるのではないかとも思った。

【インタビュー】『ベイビー・ドライバー』アンセル・エルゴート
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0b9f5eafe953a153033b33693b34ca2d

【インタビュー】『レディ・プレイヤー1』スティーブン・スピルバーグ監督
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/0252d427482eb27bb9e501c5b7b8acce

『ウエスト・サイド物語』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/cc16d5603be54b5a22e6e792b79285c3

『ウエスト・サイド物語』エトセトラ
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/6326256a3ccdd4e6e95d36b04eb1ac58

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『サンダーバード55/GOGO』

2021-12-25 06:31:24 | 新作映画を見てみた

『サンダーバード55/GOGO』(2021.12.3.オンライン試写)

 1960年代に、製作ジェリー&シルビア・アンダーソン、音楽バリー・グレイによって、イギリスで製作された特撮人形劇「サンダーバード」の新作エピソード3話を劇場で上映。

 当時ラジオドラマとして書かれた三つのエピソードを、イギリスの熱狂的ファンによるクラウドファンディングを経て、オリジナルの撮影手法を完全に再現して映像化した。

 トレイシー家とペネロープの出会いから、国際救助隊(インターナショナル・レスキュー)の本格始動までを描いた「サンダーバード登場」、雪男に襲われた人々を救助するためエベレストへ向かったペネロープたちが宿敵フッドの罠により絶体絶命の危機に陥る「雪男の恐怖」、連続強盗犯に狙われたペネロープを救うべく奔走する国際救助隊の戦いを描く「大豪邸、襲撃」の3話を基に構成。

 人形やメカをよくぞここまで再現したとは思ったが、オリジナルに忠実に、しかもラジオドラマを再現したことで、今とのテンポの違いや、セリフの間のズレがあらわになるところがあった。

 オリジナルの日本語版では、ペネロープの声は黒柳徹子が担当したが、今回はドラマ「トットてれび」で黒柳を演じた満島ひかりが引き継いだ。運転手兼執事のパーカーとのやり取りは、ちょっとくどい気もするが、まあまあ面白い。

『サンダーバード』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/c99db3cbb1e8116192ff23ca7622c754

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「金曜ロードショー」『ホーム・アローン』

2021-12-24 09:49:33 | ブラウン管の映画館

『ホーム・アローン』(90)(1991.7.24.日比谷スカラ座)

 あの『ダイ・ハード』(88)が、少々毛色の変わった現代版の”アクション・クリスマス・キャロル"だったとすれば"だったとすれば、この映画は、昔ながらのクリスマスの奇跡を扱った正統派映画の流れを汲んでいる。

 とはいえ、いまさらサンタクロースの存在や、クリスマスの奇跡を真正面から描いても、受け入れ難いところがあるので、そこに少々ひねりを加えて、改めて現代流にしたところにこの映画の鋭さがある。

 何しろ、主人公は小生意気な子どもである。しかも家族に置いてきぼりにされた彼が、泥棒たち(ジョー・ペシ、ダニエル・スターン)をやっつけ、孤独な老人(ロバーツ・ブロッサム)の心を癒やし、自分も子どもから少年へと成長するのだから、トータルとしては、これを奇跡と呼ばずして何と呼ぼう、という話になっている。この盛り込み方が実にうまいのだ。

 この映画の実質的なクリエーターであるジョン・ヒューズは、ここのところコミカルな家族ものをずっと作ってきているが、その多くが日本未公開だったり、ビデオでしか見られないものもあって、いまひとつ評価が定まらないところがあった。

 だが、ついにこれまでの蓄積を一気に開花させたような大ホームランを放った。何しろ、真夏に真冬の話を見せられても、全く違和感がなかったのだから、これは単にクリスマスという特別な季節に乗っかったものではない。それこそが、普遍的なテーマを持った出来のいい映画の証でもある。

 劇中に、クリスマス映画の代表作である『素晴らしき哉、人生!』(46)『34丁目の奇蹟』(47)が、さり気なく映ったが、将来は、この映画がクリスマス映画の定番として登場するようになるだろう。

【今の一言】30年後の今、まさにその通りになった。

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「午後のロードショー」『パディントン』

2021-12-24 07:34:21 | ブラウン管の映画館

『パディントン』(14)

見ながら幸せな気分になってくる
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/63c053c94cf839072dfbda6d463d1c66

『パディントン2』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/121190557111511570689a4894012462

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【独占ニュース】『キングスマン:ファースト・エージェント』

2021-12-24 07:08:57 | 仕事いろいろ

撮影の中で育まれた”父子の絆” レイフ・ファインズ&ハリス・ディキンソンが撮影秘話を明かす
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1307696&preview=true

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【インタビュー】『キングスマン:ファースト・エージェント』日本版声優・小澤征悦

2021-12-23 13:02:59 | インタビュー

 1914年、世界大戦をひそかに裏で操る闇の狂団に、英国貴族のオックスフォード公(レイフ・ファインズ)と息子のコンラッド(ハリス・ディキンソン)が立ち向かう。スタイリッシュな英国紳士が過激なアクションを繰り広げる人気スパイアクションのシリーズ最新作『キングスマン:ファースト・エージェント』が12月24日から公開される。主人公のオックスフォード公の日本版声優を務めた小澤征悦に、初挑戦となった吹き替えや、映画について聞いた。

「ご家族で見られる場合は、吹き替え版の方が楽しめるのではないかと思いました」
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1307393&preview=true

『キングスマン:ファースト・エージェント』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/670dd9ec8f72983266ac902b94c9da00

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『SCREEN(スクリーン)』 2022年2月号「未体験ゾーンの映画たち2022」

2021-12-22 09:44:20 | SCREEN スクリーン

 『SCREEN(スクリーン)』 2022年2月号に、「未体験ゾーンの映画たち2022」全27作の紹介記事掲載。表紙は『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』

『SCREEN(スクリーン)』 2022年2月号
https://screenonline.jp/_ct/17505324

未体験ゾーンの映画たち2022
https://ttcg.jp/movie/0816900.html

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「BSシネマ」『吾輩はカモである』

2021-12-22 07:15:49 | ブラウン管の映画館

『吾輩はカモである』(33)(1986.8.25.)

 財政難に陥ったフリードニア国は、大富豪のティーズデール夫人(マーガレット・デュモンド)に資金援助を依頼、夫人は、お気に入りのファイアフライ(グルーチョ・マルクス)を首相にすることを条件に承諾する。一方、隣国の大使はフリードニアの乗っ取りを画策し、スパイを送り込むが…。

 グルーチョ、チコ、ハーポ、ゼッポのマルクス4兄弟が、ファシズムを痛烈に風刺した傑作コメディー。監督はレオ・マッケリー。ルネ・クレールの『最後の億萬長者』(34)とチャールズ・チャップリンの『独裁者』(40)の先駆的な作品だが、ナンセンスな笑いとアナーキーな風刺が効き過ぎたのか、もう一つピンとこなかった。

【蛇足】スチュアート・M・カミンスキーの小説『私立探偵トビー・ピータース』シリーズの中に、『吾輩はカモじゃない』(イラスト和田誠がある。

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「BSシネマ」『ロープ』

2021-12-22 07:03:53 | ブラウン管の映画館

『ロープ』(48)(1984.6.2.新宿ヴィレッジ2:併映『ハリーの災難』)

 舞台はマンションの一室。エリート思想を持った2人の男(ジョン・ドール、ファーリー・グレンジャー)が、自らの優秀さを証明するため完全犯罪をたくらみ、友人をロープで殺害し、チェストに死体を隠す。2人は、その部屋に被害者の親や婚約者を呼んでパーティーを催すが、大学教授(ジェームズ・スチュワート)が2人の異常な行動に気付く…。

 アルフレッド・ヒッチコック初のプロデュース作であり、初のカラー作品でもあるこの映画は、10分間撮影(テン・ミニッツ・テイク)を巧みにつなぎ、全編をワンシーンで撮ったように見せたばかりでなく、映画の本編と実際の時間が同時に進む、リアル・タイム形式で描いている。ただ、実験精神にあふれてはいるが、映画自体は上出来とはいかず、悪趣味が目立ち、後味の悪さが残った。

 たまたま併映が、同じく“死体遊び”を、こちらはブラックユーモアたっぷりに描いた『ハリーの災難』(55)だったこともあり、数年の間のヒッチコックの変化を知ることとなった。

 で、同じように、原作は舞台劇で、“箱の中の見えない死体”をコメディとして描いたのが、フランク・キャプラ監督の『毒薬と老嬢』(44)。こちらは見事に面白い。

「ヒッチコック・フェスティバル」から
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/3accc015be853b44bf5dd26904687f5a

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