夢見るタンポポおばさん

富士山麓の風景、花の写真。エッセイ。

甃のうへ 三好達治

2011-04-07 22:14:38 | 日記・エッセイ・コラム

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甃のうへ

三好達治

あはれ花びらながれ

をみなごに花びらながれ

をみなごしめやかに語らひあゆみ

うららかの跫音空にながれ

をりふしに瞳をあげて

翳りなきみ寺の春をすぎゆくなり

み寺の甍みどりにうるほひ

庇々に

風鐸のすがたしづかなれば

ひとりなる

我が身の影をあゆまする甃のうへ

たくさんある、春を歌った詩の中で一番口ずさみたくなる詩です。

朗読の勉強にもピッタリの音の美しさ。

春になったら、絶対に皆さんに紹介したいと思っていました。

私たち日本人の持っている繊細な美意識。

しずかさ。うららかさ。ゆるやかさ。しっとりとした落ち着き。

自己を見つめる心。

美しい情景の中に日本の伝統と審美的情操が歌われています。

同じように、甘美な韻律美で愛唱されている達治の詩に雪があります。

太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。

次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。

三好達治は、言葉の音楽性を追究した詩人です。