夢見るタンポポおばさん

富士山麓の風景、花の写真。エッセイ。

草に寝て 立原道造

2011-06-29 21:23:17 | 日記・エッセイ・コラム

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草に寝て・・・・・・

六月の或る日曜日に

立原道造

    それは  花にへりどられた 高原の

    林のなかの草地であった 小鳥らの

    たのしい唄をくりかへす  美しい声が

     まどろんだ耳のそばに きこえてゐた

   私たちは 山のあちらに

   青く  光ってゐる空を

   淡く  ながれてゆく雲を

   ながめてゐた  言葉すくなく

   

            しあはせは  どこにある?

   山のあちらの  あの青い空に  そして

   その下の  ちひさな  見知らない村に

   私たちの  心は  あたたかだった

  山は  優しく  陽にてらされてゐた

  希望と夢と  小鳥と花と  私たちの友だちだった

草に寝て・・・・・・

六月の或る日曜日に

立原道造

四十数年前初めてこの詩に出会った時の衝撃は強烈だった!

東大建築科卒業。

三好達治の四行詩に影響されて、詩を書きはじめる。

昭和14年2月13日、中原中也賞第一回受賞が決定。

3月29日没。享年24歳。

戦前の男の書いた詩。

しかも文学専攻ではない。

美しい言葉。旋律。

青い空と花と小鳥。ありふれたそれらの単語が、立原の手に掛かると、魔法をかけられたように、おとぎ話の世界になって、一瞬にして、美しい追分の景色が目に浮かんで来る。

愛を語る恋人たちの幸福まで行間に漂っている。

日本の六月と言えば、梅雨。

そこを敢えて青い空の下、草原の二人。

小鳥と花、雲。

六月の或る日曜日と付け加えました。

立原道造の才能が良く解ります。

私のハンドルネーム『夢見るタンポポおばさん』は、立原道造の詩

夢みたものはより頂いています。