夢見るタンポポおばさん

富士山麓の風景、花の写真。エッセイ。

安と言う字に寄せて

2015-12-15 21:21:40 | 日記・エッセイ・コラム

      安

 今年の漢字は『安』が選ばれたそうです。

12月15日の富士山。

三段の笠雲が懸かっています。富士市は街中どこからでも大きな富士山が見えます。市の南側に駿河湾。富士山は北側に壁のようにそそり立っているのです。

 

         高い。安い

   消費者の立場としては、

普通物の値段は高いよりは安い方が良いと思います。

買う方は

大根が高いよりは安い方が嬉しい。

ところが、安すぎると豊作貧乏と言って生産者は大赤字。

手間賃どころか、出荷用の段ボール代も出ませんので、生産者は畑で廃棄処理してしまいます。

ですからただ安ければ良いと言う訳ではありません。

 

 団地等でГこれ幾らだったと思う?」等と人に訊く人がいます。

高かったのを自慢しているのかと思ったら、安かったのを自慢していたりします。

 ものの価値とは判らないものですね…

 

12月12日の富士山

   重たい笠雲が懸かって、低く見えますね…

 

 

 

人名に『安』の付く人と『高』の付く人がいます。

私の身内にも、

安江と高代がいます。

値段の問題では無くて、心持ちの問題なのでしょう。

安らかな心。

高貴な心。

 

安江は私の母の俗名。

戒名は安養貞成大姉。

安養はあんにょう

安養浄土は極楽浄土

 

 

                          危険。不安定。不安。

大正12年生まれの母は戦争経験者。

青春時代は、物の無い時代。

高いも安いも切符が無いと物が買えない時代。

安全どころか危険な世情。

やっとなんとか戦後を迎えると早々と夫は、安養浄土へ旅立ってしまいます。

43才で一日で未亡人になった母は、安定した収入どころか不安定な収入。

経済的にも不安な毎日だったと思います。

 

                           安心。安全。安定。

晩年の数年間は、戦争の無い平和な日常。

安寧秩序が保たれた社会。

安心して暮らせる世の中。

安定した職業に就いた子供たちと穏やかな時を過ごすことが出来たのは、何よりだったと思います。

本当に安寧の時を過ごすことが出来たのは、クモ膜下出血で闘病中の18日間だけだったような気がしていますが、

野良で泥まみれになって倒れてそのまま逝かずに、病院のベッドの上で亡くなったのが救いです。

 

              安らかに眠って下さいね…安江お母さん