TENZANBOKKA78

アウトドアライフを中心に近況や、時には「天山歩荷」の頃の懐かしい思い出を、写真とともに気ままに綴っています。

長崎探訪2 「じゃがたらお春」の碑

2020年03月29日 | 吉井勇
じゃがたらお春の碑 (碑には「志やがたらお春」と刻まれている)


「イタリア人の父と日本人の母の間に生まれた『じゃがたらお春』は鎖国令によって寛永16年(1639) ジャガタラ(現在のインドネシアの首都ジャカルタ )に追放された 。そのお春の境遇に心打たれて詠んだのが次の歌である 。

  長崎の鶯は鳴くいまもなほじゃがたら文のお春あはれと

歌碑は昭和27年 、聖福寺境内に歌人の上野初太郎氏が建立した 。五月の除幕式には吉井勇も 参加し、献歌を詠じた。

  長崎に来る旅人の目にながく残れよと思ふ碑にむかひて」

(ミライon図書館「長崎県の郷土資料『長崎ゆかりの文学』」より引用)



吉井勇の歌は、石碑の裏面に刻まれていた。



この歌の他に、じゃがたら文を題材にした吉井の歌二首が「夜の心」長崎紀行に収められている。

  これやこのじゃがたら文にあらねども今日も悲しき消息を書く

  じゃがたらのお春の文のかなしさに似し文来ぬとはかながるひと



多良岳を詠んだ吉井勇の歌がきっかけで、吉井勇に興味をもつようになった。歌集や研究書を読むにつれ、吉井の足跡を訪ねたいとの思いが強くなっている。
その手始めに、長崎県内にある吉井の歌碑を訪ねることにした。
歌碑は、吉井の歌のごくごく一部だが、それには、吉井の思い、歌碑を建てた人の思い、地域の思いが深く刻まれている。

ワクワクしながら、次の目的地である稲佐山に向かう。 - 続く -
コメント (1)

長崎探訪1 聖福寺

2020年03月29日 | 吉井勇
先週のこと、3連休の中日に長崎市内を探訪した。
多良岳のマンサクも頭をよぎったが、長崎への思いが勝った。
目的地は、聖福寺、稲佐山、浦上水源地3か所だった。

聖福寺は街中にある。車を近くの長崎市歴史文化博物館に停めて歩いていくことにした。
その歴史文化博物館だが、中は閑散としていた。

ホール


売店


新型コロナの影響だろう。

そこから歩いて5分の所に聖福寺はあった。


最近では、さだまさしの映画「解夏」のロケ地として話題になったが、幕末には坂本龍馬も訪れた史跡でもある。

境内の土塀が趣深い。


こちらは不用品を積んで築いたアート風(失礼!「芸術品」だそうだ)






これは屋根に使われていたものの再利用か?


聖福寺大雄宝殿


堂の扉には桃が彫られている。


この隣にある鐘楼の入り口にも桃が。


アップ


桃を扉にレリーフしているのは、桃を縁起の良い果物としている中国文化の影響によるものだろう。

これは…


木彫りの巨大な魚(「魚板」)は、これを木の棒(下の写真矢印)でたたいて食事の時間を知らせるものだそうだ。


その「魚板」を詠み込んだ吉井勇の短歌 「もの思へば魚板の音もうらがなし海西法窟のはるのゆふぐれ」
(吉井勇「夜の心」長崎紀行より)

弥勒菩薩?(黄檗宗では布袋様は弥勒菩薩の化身とされるそうだ)




石門


そして


これぞこれ!
今回の長崎探訪の目的の一つ、「じゃがたらお春」の石碑。



- 続く -
コメント