![]() | グーグル・アマゾン化する社会 (光文社新書)森 健光文社このアイテムの詳細を見る |
グーグル・アマゾン化する社会を呼んだ。これはとても面白い。
この系統の本を4,5冊読んだけど、Web2.0、グーグル、アマゾンの
ことを一番冷静に解析している内容で、知識を増やすという観点では簡潔に
解かりやすく書いてある。
現状の社会現象として、ネット、政治、投資、商品と多様化の傾向にあるが
それぞれの業界では、自民党、ライブドア、グーグル、アマゾン等一極
集中化する傾向にある。Web2.0の世界ではロングテールという
キーワードで、売れ筋でない商品も市場展開の幅が広いため、ちりも
積もればでのビジネスが成立するというのがその流れである。
しかし懸念としては、ロングテールをひろえる企業もグーグル、アマゾン
等、先行で市場に参入し、巨大化した企業に絞られる傾向にある。
この辺の懸念を提起している。
アマゾンは、一般参加型のWeb2.0を象徴するような企業であり、その
売上の1/3はロングテール部分の死に筋商品であり、Webビジネスの可能性
を広めた企業である。リコメンド、アフィリエイトという技術をベースに
ユーザ参加型のビジネスモデルを構築している。集客を拡張するために
アフィリエイト等のAPIを公開しアマゾンとの関与を持たせ独自の
商圏を構築している。
グーグルは、アマゾン以上に技術力の高い企業であるが、その実態は
アドワーズ、アドセンスを核として、莫大な広告収入を上げている。
しかしながら、グーグルがもつサービス等は多くが無料で、アマゾンと
同様APIを提供する。グーグルアース、Gメール、グーグルスプレッド
シート等、サービスを無料で提供し、ユーザを拡大すると同時にその
ユーザ情報を半強制的に収集している。世界中のWebサーバーの
ページ情報を常に収集し更新し、ページフィルタリングを行い
ユーザの検索クエリーに対するサイトの優先順位も常に更新
される。世界中のサイトは、グーグルの検索エンジンでヒットし
上位に当たるようメタデータ等を整備する。このサイクルでますます
グーグルにサイト情報が集約される仕組みが半強制的に出来上がっている。
周到なビジネスモデルであるが、あまりにも情報が集まりすぎて
その権力も巨大に実質なっている。これも一極集中化の傾向である。
Webの世界は、多種多様な情報を自由に提供、収集できる場であるが
その情報がグーグル、アマゾン等に一極集中化する傾向になると
そこに半ば支配的な権力が発生し、個人的にはWebに対する
期待感が落ちると同時に背筋に寒さを覚えた。