タックスへイヴン Tax Haven (幻冬舎文庫) | |
橘 玲 | |
幻冬舎 |
マネーロンダリング関連の小説は、読んだことが無かったので手に取ってみた。
裏金に絡む事件小説であった。
事件に巻き込まれる主人公側の視点で書かれており、期待した金融の裏工作を
描写した部分か少なく少々残念。
マネーロンダリングについては、銀行側のシステムも、その対策に多くのシステム
投資を行ってきたので、怪しい資金の流れは、仕組みとしても検知できるようには
なっていると思うが、その中にも当然抜け道は、あってそんなところを書いてある
とより面白かったのだが、ストーリーは、推理小説である。
裏金に群がる、政治家、銀行、仕立屋、国、そしてそれを微妙な立場で黙殺する
公安、狭間でジタバタする国税。事件性のあるストーリーにすると考えやすい
のか、2時間ドラマのサスペンスには、向いているフィクションであった。
主人公の人間性の表現は、人の深みにかけるどこにでもいるクールなクレバー
ギャングという感じ。読み手を引き込むインパクトに欠ける。
淡々と活字を追うには、適度に飽きないよう構成されている小説である。