鈍感力 (集英社文庫) | |
渡辺 淳一 | |
集英社 |
鈍感力。この言葉をテレビとかでよく聞いていたのが、10数年前。
そんな緩い記憶。前書きをみて流行語大賞をとった言葉。
鈍感。単純に聞くと良いイメージはない。鈍く響かないような
印象を持ってしまが、本書はそういう部分を逆に肯定し、シビア
なこの時代生き抜くのに、必要な技術、特性であると促す。
筆者は、元医者なので、人間の元来持つ緩やかな、のんびりした
性格が、自律神経に余裕をもたらし、血液の循環を伸びやかに
するように、働きかける。そんな効果がある。
人間の心情は、自分を卑下したり、もうだめだ発言すると同時
に、いざ状況が好転すると、手のひらをすぐ返す。
全く都合のいい話である。そんな状況下、鋭敏になりすぎたり
せず、ゆったりと構えられるような図太さがあるくらいの方が
大成する。そんなことが書いてある。
共感できる部分が多い。昨今企業活動、教育の現場でも、シビアな
いやらしさを感じることが多い。日本の国民性もあってそう言う
潮流に迎合する面があり、自らもそう言うところがある。
そう言うところと対向にある言葉でぶれないと言う言葉も
最近持て囃され、注目を浴びることがある。
ぶれないほど、凛として周りに影響を及ぼさなくても良いので、
シビアな環境でも、なんとなく鈍感で、変わらない強かさ
そんなものに個人的には惚れ惚れするのである。