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鉄道業界的にはこれは大きなニュースでしょう。
10月27日の木曜日にJR東日本は東急車輛製造株式会社の鉄道車両製造事業の経営権取得について(注:PDF)という発表を行いました。これまで東京急行電鉄が株式を100%保有する子会社だった東急車輌を、JR東日本が買収することになったわけです。
東急車輌は鉄道車輌製造の会社としては後発ですが、アメリカのバッド社(現在はボンバルディアに吸収合併)からステンレスカー製造技術を買い取り、ボーイング社の有限要素法解析による軽量ステンレス車体の開発等、ステンレスカー製造技術では日本の鉄道会社でも最先端を行く会社です。事実、国鉄205系の製造のために、国鉄が東急車輌にステンレス車の製造技術を半ば強引に開示させるまでは、日本車輌も川崎重工も軽量ステンレスカーを作る技術は十分に無かったのですから。(この辺りは、鉄道ファンに1993年頃連載された「ある車両技術者の回想」に詳しい)
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東急の初期ステンレスカー。セミステンレスの6000系とオールステンレスカー元祖の7000系。弘南鉄道にて
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日本初のオールステンレスカー7000系は、地方鉄道に数多く譲渡された。これは水間鉄道の7000系
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東急初の20m級オールステンレスカー、8000系。ワンハンドルマスコンを初めて本格採用したことでも知られている
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有限要素法解析によって誕生した軽量ステンレスカー東急8090系
さて、実は私は学生時代に東急グループの店でバイトしており、その当時から東急車輌の経営状態がいまいちな話は聞いていました。それも今となっては15年近く前の話ですから、逆に良く持ったなあという感じもします。最近の東急車輌は、金沢八景にある自社工場では製造が間に合わない分をJR東日本新津車両製作所で製造していたことも有り、元々新津車両製作所の立ち上げに技術協力していたことからも、この流れは自然の物なんでしょう。
以下に東急車両の中で興味深いもの、新津製作所と関わりのある物を上げていきましょう。とても全部は紹介しきれないので、ほんの一部ですが。なお、川重製や日本車輌製の車両の写真が混ざっているかも知れませんが、あいにく列車の編成番号から製造会社を調べる術が手元に無いので、その辺りはご容赦ください。
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209系。JR東日本が東急車輌と川崎重工がそれぞれ持ち込んだ軽量ステンレスカーの案を採用して誕生した物。後にJR東日本自身も大船工場、新津車両製作所で製造を始め、言わば今回の出来事の発端となった車両であった
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E217系。新津車両製作所で本格的に製造した車両である
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E231系とE233系1000番台。今の首都圏におけるJR東日本の顔
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東急5000系。E231系やE233系の製造技術を流用して東急電鉄用に製造された車両。内装や側面窓に共通点が多い
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常磐線のE233系2000番台。同じ場所で小田急新4000形も製造されたが、両者は千代田線の中でしか会うことが無い
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小田急新4000形。E233系2000番台をベースにした車両
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相鉄11000系。E233系をベースにしており、東急車輌が発注を受けたが、一部は新津車両製作所で製造された
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南海電鉄は東急車輌が過去に吸収した帝国車輌からのつきあいで、関西の私鉄で東急車輌に発注する数少ない会社だ。写真は2000系
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2階建てのステンレスカー製造では東急車輌がほぼ独占。ブルーリボン賞も受賞したJR四国5100形
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路面電車の製造技術も持つ東急車輌。阪堺電気軌道のモ601形。この他にモ701形も東急車輌製
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東急世田谷線の300系。超低床電車ではないが、低床電車クラスの路面電車である
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一方で東急車輌は特急形車両も製造している。南海50000系「ラピート」のような特徴的な物もある
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JR東日本の特急形も3割ほどは東急車輌製だとか。写真はE751系
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新幹線もE2系、E3系等を製造。写真はE3系。かつて国鉄時代は0系も製造していた
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前回掲載したが、江ノ電の車両もまた東急車輌製。2連接の車両で、東急車輌は連接車の製造技術も持っている
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ハイブリッドカーも東急車輌。東急車輌は電車だけでは無く、かつては国鉄の気動車を大量に製造していたのだ
東急車輌がJR東日本傘下となることで、これで大手私鉄で鉄道車輌製造の子会社・関連会社を持つ会社は近畿日本鉄道(近畿車輛)と阪急阪神ホールディングス(アルナ車両。ただし現在のアルナ車両の製造対象は路面電車や小型車に限る)だけになります。改造に関しては、西武鉄道、京浜急行電鉄、京王電鉄、東京急行電鉄も子会社・関連会社を持ちますけど、製造レベルでは実質的に近鉄だけになりますね。一方で、JRではJR東海が日本車輌を子会社に下のに続き、JR東日本が自社製造以外に子会社を持つことになりそうですのでこちらは2社目と言うことになるのでしょう。
個人的には、東急が自社製造系じゃなくなると言うことで東急沿線住民としてちょっと複雑な思いですが、これからも東急車輌には頑張って欲しいですね。
10月27日の木曜日にJR東日本は東急車輛製造株式会社の鉄道車両製造事業の経営権取得について(注:PDF)という発表を行いました。これまで東京急行電鉄が株式を100%保有する子会社だった東急車輌を、JR東日本が買収することになったわけです。
東急車輌は鉄道車輌製造の会社としては後発ですが、アメリカのバッド社(現在はボンバルディアに吸収合併)からステンレスカー製造技術を買い取り、ボーイング社の有限要素法解析による軽量ステンレス車体の開発等、ステンレスカー製造技術では日本の鉄道会社でも最先端を行く会社です。事実、国鉄205系の製造のために、国鉄が東急車輌にステンレス車の製造技術を半ば強引に開示させるまでは、日本車輌も川崎重工も軽量ステンレスカーを作る技術は十分に無かったのですから。(この辺りは、鉄道ファンに1993年頃連載された「ある車両技術者の回想」に詳しい)
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東急の初期ステンレスカー。セミステンレスの6000系とオールステンレスカー元祖の7000系。弘南鉄道にて
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日本初のオールステンレスカー7000系は、地方鉄道に数多く譲渡された。これは水間鉄道の7000系
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東急初の20m級オールステンレスカー、8000系。ワンハンドルマスコンを初めて本格採用したことでも知られている
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有限要素法解析によって誕生した軽量ステンレスカー東急8090系
さて、実は私は学生時代に東急グループの店でバイトしており、その当時から東急車輌の経営状態がいまいちな話は聞いていました。それも今となっては15年近く前の話ですから、逆に良く持ったなあという感じもします。最近の東急車輌は、金沢八景にある自社工場では製造が間に合わない分をJR東日本新津車両製作所で製造していたことも有り、元々新津車両製作所の立ち上げに技術協力していたことからも、この流れは自然の物なんでしょう。
以下に東急車両の中で興味深いもの、新津製作所と関わりのある物を上げていきましょう。とても全部は紹介しきれないので、ほんの一部ですが。なお、川重製や日本車輌製の車両の写真が混ざっているかも知れませんが、あいにく列車の編成番号から製造会社を調べる術が手元に無いので、その辺りはご容赦ください。
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209系。JR東日本が東急車輌と川崎重工がそれぞれ持ち込んだ軽量ステンレスカーの案を採用して誕生した物。後にJR東日本自身も大船工場、新津車両製作所で製造を始め、言わば今回の出来事の発端となった車両であった
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E217系。新津車両製作所で本格的に製造した車両である
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E231系とE233系1000番台。今の首都圏におけるJR東日本の顔
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東急5000系。E231系やE233系の製造技術を流用して東急電鉄用に製造された車両。内装や側面窓に共通点が多い
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常磐線のE233系2000番台。同じ場所で小田急新4000形も製造されたが、両者は千代田線の中でしか会うことが無い
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小田急新4000形。E233系2000番台をベースにした車両
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相鉄11000系。E233系をベースにしており、東急車輌が発注を受けたが、一部は新津車両製作所で製造された
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南海電鉄は東急車輌が過去に吸収した帝国車輌からのつきあいで、関西の私鉄で東急車輌に発注する数少ない会社だ。写真は2000系
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2階建てのステンレスカー製造では東急車輌がほぼ独占。ブルーリボン賞も受賞したJR四国5100形
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路面電車の製造技術も持つ東急車輌。阪堺電気軌道のモ601形。この他にモ701形も東急車輌製
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東急世田谷線の300系。超低床電車ではないが、低床電車クラスの路面電車である
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一方で東急車輌は特急形車両も製造している。南海50000系「ラピート」のような特徴的な物もある
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JR東日本の特急形も3割ほどは東急車輌製だとか。写真はE751系
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新幹線もE2系、E3系等を製造。写真はE3系。かつて国鉄時代は0系も製造していた
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前回掲載したが、江ノ電の車両もまた東急車輌製。2連接の車両で、東急車輌は連接車の製造技術も持っている
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ハイブリッドカーも東急車輌。東急車輌は電車だけでは無く、かつては国鉄の気動車を大量に製造していたのだ
東急車輌がJR東日本傘下となることで、これで大手私鉄で鉄道車輌製造の子会社・関連会社を持つ会社は近畿日本鉄道(近畿車輛)と阪急阪神ホールディングス(アルナ車両。ただし現在のアルナ車両の製造対象は路面電車や小型車に限る)だけになります。改造に関しては、西武鉄道、京浜急行電鉄、京王電鉄、東京急行電鉄も子会社・関連会社を持ちますけど、製造レベルでは実質的に近鉄だけになりますね。一方で、JRではJR東海が日本車輌を子会社に下のに続き、JR東日本が自社製造以外に子会社を持つことになりそうですのでこちらは2社目と言うことになるのでしょう。
個人的には、東急が自社製造系じゃなくなると言うことで東急沿線住民としてちょっと複雑な思いですが、これからも東急車輌には頑張って欲しいですね。
驚きです。。
これから先も、時代のニーズに合った鉄道であり続けることが、何よりも大事だと思いますので、車両面でも一層、皆が喜んで乗りたくなる鉄道を目指して欲しいですね。
JR東日本になって、車輌製造技術がどのように変わるかは注目していきたいと思います。