8月9日(月)
今日は、神奈川県立青少年センターで行われた、全国中学校演劇指導者研究大会に参加してきた。
午前中は、神奈川県、栃木県、東京都の代表3校による創作劇の発表会があり、午後は本日の講師であり、劇作家の横内謙介氏の講演があった。
さすが代表校の3校はどの学校も素晴らしく、レベルの高い作品、舞台だった。
特に、神奈川県代表の中学校の原爆を題材にした現代劇には泣かされた。
演技も細部にわたって神経の行き渡った自然な動きやセリフだった。
戦争の悲惨さを前面に出さなくても、信念を持った人の生き方や、それを理解し支える人たちの人間関係によって描かれる「命の尊さ」は、とてもリアルで説得力があった。
横内謙介氏の講演の中で、つかこうへい氏と井上ひさし氏について、彼らとの出会い、彼らから受けた影響、そして、彼らが残し、私たちに託していったものについての話がとても興味深かった。
井上ひさし氏が、最後まで太平洋戦争についての天皇責任を追及しながらも、天皇について、その時の国内外の情勢について、とことん調べ上げていること。
なぜ、あの戦争がおこり、なぜ、あんな結果になってしまったのか、それはどういう影響をもたらし、そこから我々は何を学び、考え、行動していかねばならないのか。
戦争反対を叫ぶだけではなく、戦争が起きる背景や、良くも悪くもそれにかかわる人間たちの人間ドラマを描くことで、あの戦争を次代に語り継いでいこうという姿勢には本当に頭が下がった。
中学生たちにとっても、今日は生涯忘れられない1日になったことだろう。
私も、ほぼ同世代の横内氏が、私と同じ年頃に同じことを考え、同じようなものに影響を受けていたことに、とても共感と親近感を持った。
そして、彼が初舞台を踏んだステージで、後輩たちに贈るメッセージの熱さに、その時代を担う卵たちを指導している先生方へのエールに、とても感動した。
*(桜)* *(紅葉)* *(桜)* *(紅葉)* *(桜)*(桜木町紅葉坂にある県立青少年センター)
研究大会が終わったのは16:00だった。
今日は8月9日、長崎原爆の日だ。
迷った末、私は、今日の18:30から埼玉県ふじみ野市の幼稚園で催される、堀絢子さんの一人芝居『朝ちゃん』を見に行くことにした。(実は1週間前にも観にいったのだ)
堀さんには今朝、神奈川県に行くので今日の講演は見に行けないことを電話でわびてはいたのだが。
駅からタクシーで駆けつけ、開演時間に間に合った。
会場には、幼稚園児やその弟妹を抱えた親子連れが多かった。
園長先生が、開演に先立ち、地域に向けて平和事業に取り組んできた経緯と、今回の公演の主旨を語っていらっしゃった。
本当に、この作品は、戦争なんて何の事だかわからない幼い子やそのお母さんにも、ぜひ親子で見てほしい作品だ。
実際に、劇が進行する中で、「怖いよ~」とお母さんにしがみつきながらも、振り向き振りむき舞台をチラ見しながらも、耳はしっかり堀さんの声を聞いている男の子や、
「お母さん、ウジ虫ってなあに」
と母親に聞いている女の子の声が聞こえてきた。
みんな真剣に舞台の堀さんを見ていた。
幼稚園の小さな舞台。いつもは楽しいお遊戯会の舞台になっているであろうその小さなステージは、堀さんの渾身の演技によって、恐ろしいキノコ雲の下の凄惨な場所に変わっていた。
堀さん演じる秋ちゃんが、瀕死の朝ちゃんを捜しまわっている時の表情は、現実には何もないそのステージの上に、黒こげの死体や火ぶくれになって呻いている人たちが転がっていて、堀さんはその人たちをを本当に見ていたり、よけて歩いているようだった。
朝ちゃんを発見して、朝ちゃんのお母さんを呼びに行くシーンでは、ただの平台なのに、本当にまだくすぶって熱をもって火の粉が見える熱い板を踏んづけて、リアルに熱がっているように見えるのだ。
傷ついた朝ちゃんを乗せて運ぶリヤカーも、朝ちゃんに飲ませようと水を汲もうとした姿態の浮いた水槽も、現実にはないのに、堀さんのパントマイムのような仕草で、まるでそこに実在しているように思えるのだ。
そして、前回も感動したが、助け起こされて水を飲もうとしている瀕死の朝ちゃんの演技を、腹筋で斜めに体を傾けた体制を保ったまま、セリフを言い、水を飲む演技をするのだ。そのすぐ後にはすっと立ち上がり、兄役になったり、母役になったり、親友役になったり・・・。動作のどこにも「どっこいしょ」とか「よっこいしょ」なんて無駄な動きがないのだ。
堀さんはこの一人4役を完璧に演じ分けるために、朝晩、500回(千の半分で500=反戦)の腹筋を欠かさないそうなのだ。
まさに役者魂。プロの仕事だ。いや、それ以上の信念のなせる技だ。
67歳とは思えない身のこなしと、身長150センチない小柄な体から発光するように熱い情熱を感じる。
講演後、袖幕にいらっしゃった堀さんにあいさつに行ったところ、2週連続で見に来たことを大変喜んでくださった。
猛暑にも、ハードスケジュールにも負けず、念願の500回目指して、ますますお元気で活躍されることを心より祈り、そして応援しています。
その後、園長先生ともお話をさせていただいたら、ありがたいことに、園の先生が駅まで私を車で送ってくださったのだ。素敵な出会いがまた生まれたことに心から喜んで感謝している。
早朝に千葉を出発し、東京を通り過ぎて横浜桜木町へ。そこからまた東京を通り過ぎて埼玉県ふじみ野市へ。帰りも東京を通り過ぎ、千葉に帰るという、自分でもこの行動範囲の広さとフットワークの軽さには驚いている。
体は疲れたけれど、頭の中は書きたい脚本と、2学期からの演劇部の活動と、9月に出演する朗読劇『この子たちの夏』のことでグルグルして沸騰しそうだった。
今日は、久しぶりに小雨が降って涼しかったが、私にとっては猛暑より熱い一日だった。
今日は、神奈川県立青少年センターで行われた、全国中学校演劇指導者研究大会に参加してきた。
午前中は、神奈川県、栃木県、東京都の代表3校による創作劇の発表会があり、午後は本日の講師であり、劇作家の横内謙介氏の講演があった。
さすが代表校の3校はどの学校も素晴らしく、レベルの高い作品、舞台だった。
特に、神奈川県代表の中学校の原爆を題材にした現代劇には泣かされた。
演技も細部にわたって神経の行き渡った自然な動きやセリフだった。
戦争の悲惨さを前面に出さなくても、信念を持った人の生き方や、それを理解し支える人たちの人間関係によって描かれる「命の尊さ」は、とてもリアルで説得力があった。
横内謙介氏の講演の中で、つかこうへい氏と井上ひさし氏について、彼らとの出会い、彼らから受けた影響、そして、彼らが残し、私たちに託していったものについての話がとても興味深かった。
井上ひさし氏が、最後まで太平洋戦争についての天皇責任を追及しながらも、天皇について、その時の国内外の情勢について、とことん調べ上げていること。
なぜ、あの戦争がおこり、なぜ、あんな結果になってしまったのか、それはどういう影響をもたらし、そこから我々は何を学び、考え、行動していかねばならないのか。
戦争反対を叫ぶだけではなく、戦争が起きる背景や、良くも悪くもそれにかかわる人間たちの人間ドラマを描くことで、あの戦争を次代に語り継いでいこうという姿勢には本当に頭が下がった。
中学生たちにとっても、今日は生涯忘れられない1日になったことだろう。
私も、ほぼ同世代の横内氏が、私と同じ年頃に同じことを考え、同じようなものに影響を受けていたことに、とても共感と親近感を持った。
そして、彼が初舞台を踏んだステージで、後輩たちに贈るメッセージの熱さに、その時代を担う卵たちを指導している先生方へのエールに、とても感動した。
*(桜)* *(紅葉)* *(桜)* *(紅葉)* *(桜)*(桜木町紅葉坂にある県立青少年センター)
研究大会が終わったのは16:00だった。
今日は8月9日、長崎原爆の日だ。
迷った末、私は、今日の18:30から埼玉県ふじみ野市の幼稚園で催される、堀絢子さんの一人芝居『朝ちゃん』を見に行くことにした。(実は1週間前にも観にいったのだ)
堀さんには今朝、神奈川県に行くので今日の講演は見に行けないことを電話でわびてはいたのだが。
駅からタクシーで駆けつけ、開演時間に間に合った。
会場には、幼稚園児やその弟妹を抱えた親子連れが多かった。
園長先生が、開演に先立ち、地域に向けて平和事業に取り組んできた経緯と、今回の公演の主旨を語っていらっしゃった。
本当に、この作品は、戦争なんて何の事だかわからない幼い子やそのお母さんにも、ぜひ親子で見てほしい作品だ。
実際に、劇が進行する中で、「怖いよ~」とお母さんにしがみつきながらも、振り向き振りむき舞台をチラ見しながらも、耳はしっかり堀さんの声を聞いている男の子や、
「お母さん、ウジ虫ってなあに」
と母親に聞いている女の子の声が聞こえてきた。
みんな真剣に舞台の堀さんを見ていた。
幼稚園の小さな舞台。いつもは楽しいお遊戯会の舞台になっているであろうその小さなステージは、堀さんの渾身の演技によって、恐ろしいキノコ雲の下の凄惨な場所に変わっていた。
堀さん演じる秋ちゃんが、瀕死の朝ちゃんを捜しまわっている時の表情は、現実には何もないそのステージの上に、黒こげの死体や火ぶくれになって呻いている人たちが転がっていて、堀さんはその人たちをを本当に見ていたり、よけて歩いているようだった。
朝ちゃんを発見して、朝ちゃんのお母さんを呼びに行くシーンでは、ただの平台なのに、本当にまだくすぶって熱をもって火の粉が見える熱い板を踏んづけて、リアルに熱がっているように見えるのだ。
傷ついた朝ちゃんを乗せて運ぶリヤカーも、朝ちゃんに飲ませようと水を汲もうとした姿態の浮いた水槽も、現実にはないのに、堀さんのパントマイムのような仕草で、まるでそこに実在しているように思えるのだ。
そして、前回も感動したが、助け起こされて水を飲もうとしている瀕死の朝ちゃんの演技を、腹筋で斜めに体を傾けた体制を保ったまま、セリフを言い、水を飲む演技をするのだ。そのすぐ後にはすっと立ち上がり、兄役になったり、母役になったり、親友役になったり・・・。動作のどこにも「どっこいしょ」とか「よっこいしょ」なんて無駄な動きがないのだ。
堀さんはこの一人4役を完璧に演じ分けるために、朝晩、500回(千の半分で500=反戦)の腹筋を欠かさないそうなのだ。
まさに役者魂。プロの仕事だ。いや、それ以上の信念のなせる技だ。
67歳とは思えない身のこなしと、身長150センチない小柄な体から発光するように熱い情熱を感じる。
講演後、袖幕にいらっしゃった堀さんにあいさつに行ったところ、2週連続で見に来たことを大変喜んでくださった。
猛暑にも、ハードスケジュールにも負けず、念願の500回目指して、ますますお元気で活躍されることを心より祈り、そして応援しています。
その後、園長先生ともお話をさせていただいたら、ありがたいことに、園の先生が駅まで私を車で送ってくださったのだ。素敵な出会いがまた生まれたことに心から喜んで感謝している。
早朝に千葉を出発し、東京を通り過ぎて横浜桜木町へ。そこからまた東京を通り過ぎて埼玉県ふじみ野市へ。帰りも東京を通り過ぎ、千葉に帰るという、自分でもこの行動範囲の広さとフットワークの軽さには驚いている。
体は疲れたけれど、頭の中は書きたい脚本と、2学期からの演劇部の活動と、9月に出演する朗読劇『この子たちの夏』のことでグルグルして沸騰しそうだった。
今日は、久しぶりに小雨が降って涼しかったが、私にとっては猛暑より熱い一日だった。