明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(90) 気仙沼からの便り・・・その9

2011年05月02日 17時00分00秒 | 明日に向けて5月1日~31日
守田です。(20110502 17:00)

気仙沼のアビスさんからの便りが届きましたので、お知らせします。
今回は、高知から届けられたお茶を配りながら、みんなが周りで
太鼓をたたき、カリンバを奏で、踊りだす、夢のような光景が
描かれています。こういうの本当にいいなあ・・・。

ということで?実は僕も、気仙沼に行くことにしました!
また詳しくご報告しますが、京都のある方が、気仙沼に4駆自動車を
1台、寄付して下さることになったので、僕が乗って行くことにしたのです。
どうせならということで?原発に関するお話もしてきます。

敦賀からフェリーで秋田に向かいますが、可能なら、秋田・北上・気仙沼・
石巻・仙台あたりで交流の場を持ってくるつもりです。(アビスさんが動いて
くれています)


・・・前置きが長くなってしまいました。
アビスさんからの素敵なメッセージをお読み下さい。

*************************

気仙沼のアビスさんより

5月2日午後2時07分

4月29日に引き続き、5月1日、
岩手県陸前高田市気仙町福伏の
(‘ふっぷし’と、読みます。たぶん語源はアイヌ語なのでしょう。)
避難所に、行ってきました。

在日アメリカ人のクリスチャンと結成した、
多国籍軍の遠征で、大船渡市綾里に行った帰りに、
寄った事がきっかけとなり、また寄らせていただきました。

4月29日は、秋田から、毎週のように支援物資を
車に満載にして来てくれるスノボーショップSNOW GARDENを、
経営している、Yanaty。

宮城県大崎市からも何度も来てくれている
ReggaeBand INDEADの、Matchi。

ここ何日も手伝ってくれている、
限り無く福島に近い栃木の那須に住んでいて、
カリンバを作っているコウスケさん。

秋田から支援活動をしたいと電話をくれてやって来た、
まつり仲間のシイちゃん。

彼女は、インドから帰ってきてすぐ、
被災地の事が気になって長野県美麻村経由で飛んできた、
インド舞踊のアミちゃんと、
今回始めて会った、サキちゃん、(彼女もダンサーで、
秋田では野菜作りに精を出しているそうです。)と、
三人でやって来てくれました。

それから、十数年ぶりにあった中学の同級生の亜古ちゃん。

総勢8人で福伏の避難所に押しかけてしまいました。

ここ福伏の避難所は、避難所と言っても国道沿いにある商店です。
震災から50日経ったのに、ここには水道は、まだ通っていません。
電気も避難所に限り、一日のうち数時間だけ、
東北電力の仮説発電機からの電気が届いているそうです。
自衛隊の給水車が来るのが日課だそうです。

「隣の集落までは電気が回復したみたいだから、
ここももうすぐ開通すると思うよ。」と、ここのまとめ役をしている
小松さんが、教えてくれました。
近所で被災されなかった家も、電気水道がまだなので、
避難所の炊き出しで食事なさっているそうです。
小松さんともこれがご縁で、マイミクになって頂きました。
まつりゅうと言う名前です。

いつものようにダンボールを駐車場に並べさせてもらい、
皆さんから送ってもらった支援物資を 
被災され避難所いる皆さんや
近所の皆さんに選んでいただきました。

今回、高知のお茶農家の方から支援を集ってくれている、
この支援がご縁でマイミクになっていただいた、
くりけいさんの送ってくれたお茶が、
飛ぶように無くなっていきました。

広く皆さんにいきわたればと思いっていましたが、
家を流された方々が喜んでくれているのを見ると、
つい、「隣の家の人の分も持っていって。」と、
大盤振舞いしてしまいました。

いつも思うのですが、物資が必要で困っている人に届けたいと、
考えてはいますが、
この現状ではどこの誰がどれだけ不足しているのかなどと言うことを、
事前に把握することは至難の業です。
それで最近は、被災された方と出会ったタイミングが
すべてになっています。
今日出会えた方に喜んでいただけたら、、、。
それ以上のことを考えたりもしますが、
俺のキャパオーバになりそうなので、ここまでができる範囲かな。

皆さんが物資を選んでいる間、横でタイコを叩きました。
すると、コースケさんがカリンバを引き始め、
Matchiもタイコをたたき出し、
アミちゃんが踊ってくれました。
それにつられる様にサキちゃんも踊りだしました。

まつり状態が、ここに出現です。

災害特区は、すべて受け入れてくれます。
外見で物を判断していた、この前までの異常な日常。
身内や知人を失い、家を流された人たちは、
辛さ悲しさを共有することで、地位、立場、権力に惑わされない
感性で見てくれているような気がします。

経済至上主義的思考に蝕まれた生活の中にあっても、
絶対に侵食されない、DNAに刻み込まれた日本人の血。

災害時の危機的状態に、それは自然に発動する。
白人が驚く、災害時の日本人の対応。
災害特区は、グローバル経済どっぷりの日本に在ってでも、
アジアに帰る。

雨が大地に行き渡るように、
この星の恩恵は分かち合うもの。
日本人としての血が呼びかける。
助けることが当り前な事。

まつりの風に乗せて、
今の日本の現状をどう見るかと言う視点と、
次の時代のビジョンを、共有出来る様に願いを込めて、
楽しんでいる様を、皆さんに見てもらいたい。

今出来る、次の世代にしてやれる事。

帰りに、小松さんに、「5月1日に関東からミュージシャンが来て、
コンサートがあるから、また遊びに来て。」と、誘われました。

**************************

先に述べた京都から気仙沼への車の配送経費は、可能な限り、
山水人に集まった義援金によって賄っていきたいと考えています。

ご協力が可能な方は、下記に「車配送費として」と書いて
カンパしていただけると助かります。
なお余ったお金はそのまま山水人からの気仙沼への支援に
使わせていただきます。


◎義援金の振込先

★郵便局からのお振込み…
【ゆうちょ銀行】口座名/ヤマウト
 記号一番号/14460-3267501

★他の金融機関からのお振込み…
【ゆうちょ銀行】口座名/ヤマウト
(店名)四四八(ヨンヨンハチ)
(店番)448 [普通預金]口座番号/0326750


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明日に向けて(89) 福島県郡山市の県中浄化センターから、高濃度のセシウムが・・・。

2011年05月02日 15時00分00秒 | 明日に向けて5月1日~31日
守田です。(20110502 15:00)

「明日に向けて(87)(88)」の中で、僕は、内閣官房参与の小佐古敏荘さんの
辞任劇の背景に、福島県、のみならず東日本の深刻な放射線被害の実態が
隠されているのではないかという推論を行いました。

これはまったくあたって欲しくない推論です。とくに福島の方たちのことを考えると、
口にしたくない洞察でもあり、葛藤がありますが、僕にはこれは、避けて通れない
考察であると思え、続けるべき義務を感じています。

そのように何とも重たい気持ちで考えているときに、次のような記事が
飛び込んできました。
「福島県郡山市にある下水処理施設の下水汚泥と、汚泥を燃やしてできる
砂状の「溶融スラグ」から高濃度の放射性セシウムが検出された」というものです。
この記事を分析したいと思います。

記事の核心部はこう告げています。

「施設は郡山市日和田町高倉の県中浄化センター。県によると、4月30日に
調査したところ、汚泥から1キロあたり2万6400ベクレル、スラグから同33万
4千ベクレルの放射性セシウムが検出された。スラグの数値は、福島第一原発
事故の前の約1400倍だった。
 県は、地表面の放射性物質が雨などによって流れ込み、下水処理の過程で
濃縮されたとみている。
 県によると、汚泥は1日80トン発生し、70トンは施設内の溶融炉で燃やすこと
でスラグ2トンになる。残り10トンはセメントの材料としてセメント会社に送るという。
 原発事故後、計約500トンの汚泥がセメント会社に搬出されたといい、県が
追跡調査をしている。スラグは施設内でビニールシートをかぶせて保管している」


溶融スラグ(ようゆうスラグ)とは、廃棄物や下水汚泥の焼却灰等を1300℃
以上の高温で溶融したものを冷却し、固化させたもののことです。最近では、
建設・土木資材としての「積極的な活用」が進められていると言います。

記事を正確に読み取って行くと、これまで500トンの汚泥がすでにセメント会社に
送られてしまっているのですから、その7倍の汚泥がスラグになっていることになる。
つまり3500トンが燃やされ、スラグになった。量は70分の2になるので、100トンが
発生している勘定になります。

スラグの放射能濃度は、1キログラム33万4千ベクレルですから、100トンでは、
33万ベクレル×1000×100=330億ベクレルになります。
福島原発から海洋投棄された「低レベル放射能汚染水」の放射能量は
1500億ベクレルだったとされていますから、実にその5分の1がここにあることに
なる。それがビニールシートをかけて保管されているというのです。

なんということでしょう。

しかし他方でこうした計算も成り立ちます。
スラグにする前の汚泥は3500トンあった。このときの放射能度は1キロあたり
2万6400ベクレルであったと書いてある。そうなると総量は
2万6400ベクレル×1000×3500=924億ベクレルあったことになる。

したがって
924億-330億=594億ベクレルがなくなっている計算になる。
これはどこへ行ったのでしょうか。

そこでセシウムの沸点を調べてみると、金属の中では最も低い部類に
あたる641度であることが分かります。
スラグは1300度以上に熱して作られているから、実は多くが気化して
しまったはずです。つまり594億ベクレルは、再び大気中に拡散して
しまった可能性が高い。

これにセメント会社に搬出された500トン×26400×1000=132億ベクレルを
足し合わせると、合計726億ベクレルのセシウムが、どこかに出て行って
しまった可能性があります。

肝心なことは、これが福島原発サイトからの直接の漏えいとして起こって
いるのではなく、郡山市の一施設で起こったことだということです。
そこから海洋投棄された「低レベル放射能汚染水」の3分の2ほどの
放射能が出てきたのです。

それでは他の施設、他の場所、他の地域はどうなのか。
ちなみにこの県中浄化センターは、福島原発から真西に50キロほど離れた
場所に位置しており、これまで公表された汚染マップでは、とくに汚染の
激しい地域としては指摘されていない場所にあります。

そこからこれほどの放射能が検出されている。
頭がクラクラします。

しかもこれはセシウムのみの値です。
他の核種はないのだろうか。測らなくて良いのだろうか。
またどうしてこれほど重大なニュースが、一面トップにならないのだろうか。

ますます不安が募るばかりです・・・。

*****************************

下水処理施設の汚泥から高濃度の放射性物質 福島・郡山

2011年5月2日3時1分 朝日新聞
 福島県郡山市にある下水処理施設の下水汚泥と、汚泥を燃やしてできる
砂状の「溶融スラグ」から高濃度の放射性セシウムが検出された。県が1日
発表した。施設周辺の大気からは、市内の別の地点より高い放射線量が
計測された。県は、汚泥の焼却時に放射性物質が拡散するかどうかに
ついて「調査中」としている。

 下水汚泥が高濃度の放射性物質を含む場合、その処理に関する国の指針や
マニュアルはない。このため、下水処理施設を所管する国土交通省は2日、
どのように処理していくか、原子力安全・保安院と対応を緊急に協議する方針。
また東日本の自治体に対し、汚泥中の放射性物質濃度を計測するよう求める
見通しだ。

 施設は郡山市日和田町高倉の県中浄化センター。県によると、4月30日に
調査したところ、汚泥から1キロあたり2万6400ベクレル、スラグから同33万
4千ベクレルの放射性セシウムが検出された。スラグの数値は、福島第一原発
事故の前の約1400倍だった。

 県は、地表面の放射性物質が雨などによって流れ込み、下水処理の過程で
濃縮されたとみている。

 県によると、汚泥は1日80トン発生し、70トンは施設内の溶融炉で燃やすこと
でスラグ2トンになる。残り10トンはセメントの材料としてセメント会社に送るという。

 原発事故後、計約500トンの汚泥がセメント会社に搬出されたといい、県が
追跡調査をしている。スラグは施設内でビニールシートをかぶせて保管している。

 県はセンターの作業員に放射線量計を持たせるとともに、セメント会社への
搬出を当面の間休止。県内の別の22施設についても同様の調査をするという。

 県が1日にセンターの敷地周辺で測定した放射線量は毎時1.8~3.4マイクロ
シーベルトと、約10キロ離れた郡山合同庁舎付近の約1.6マイクロシーベルト
より高かった。

 現行の下水道法は、汚泥は積極的に再利用するよう全国の自治体に求めて
いる。国交省によると、全国で発生する汚泥の8割は建材などに再利用され、
残り2割ほどが埋め立て廃棄されているという。(矢崎慶一、北川慧一)
http://www.asahi.com/national/update/0501/TKY201105010383.html

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明日に向けて(88)福島で、原発で何が起こっているのか。小佐古さん辞任劇を読む・・・2

2011年05月02日 10時00分00秒 | 明日に向けて5月1日~31日
守田です。(20110502 10:00)

続編を書きます。
(87)で僕は、内閣官房参与だった小佐古さん辞任劇の背景にはいろいろなことが
あるのではないかと書きました。

一つにはSPEEDIなど、住民被ばくに関する重大なデータを政府が隠し持っており、
その点に小佐古さんが与しえないと考えたのではないかと思われること。
第二に、これは小佐古さんとその周りにいる学者グループの排除として行われて
いるのではないかということ、この2点です。

ここではこの後者の方を考察してみたいと思いますが、その前に踏まえておかねば
ならないのは、そもそもこれまで小佐古さんという方がどのような役割を担って
きた方なのかということです。その点を調べると、実はこの方、被ばく者の訴訟で、
常に国側の証人として立ち現われ、政府の擁護に終始して、被ばく者の前に
立ちふさがってきた方だということが分かりました。

被ばくの恐ろしさを常に解き明かしてきた名古屋大学名誉教授の澤田昭二さんは
小佐古さんの内閣参与就任時、かなりきつい口調で彼を批判しています。

「昨夜官房長官が小佐古敏荘東大教授を内閣官房参与に任命して助言を受ける
ことにしましたが、彼は原爆症認定訴訟の大阪地裁の国側の証人を務めましたが、
電力会社の宣伝マンとして原発は安全だという講演をして廻るだけで、毎年
何百万円も厚労省から原爆放射線の研究の代表者として科学研究費補助金を
受け取りながら、そのテーマに関する研究は一切していないこと、研究費を
配分した共同研究者からは研究成果の報告を一切受取っていないことが
弁護団の追及であきらかになり、同じ日の午前中に私が行った証言と矛盾
するので裁判官から質問を受けることになってもまともな証言ができないという
無責任男であることが明らかになった人物です」
http://homepage3.nifty.com/run2das/sawadakinkyu2011.html

さらに次のような記事も出ています。
「枝野幸男官房長官は1日午後の記者会見で、福島第1原発事故の政府対応を
批判して内閣官房参与を辞任した小佐古敏荘東大大学院教授から、「牛乳や
飲料水の安全基準値について、放射性ヨウ素の場合3000ベクレル(1キロ
当たり)でいい」と3月下旬に提言を受けたことを明らかにした。」
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011050100164

要するに、「小佐古氏は、飲料水の基準値をさらに10倍も緩めようとした
人物なのだ」と暴露しているわけです。こうなるともう「泥仕合」の感じがしますが、
それほどに実は小佐古さんは、いわゆる「御用学者」であり、放射線被ばくに対して
甘い基準を作ってきた人だということも見えてきます。

となると、ますますこうした方が、反旗を翻したのには、何か特別な理由が
あったはずだと感じられる。「学者的良心」以外の何かがあるということです。
それで4月以降の流れ、だんだん現状に靄がかかっていった流れをみていくと
次のようなことが見えてくる。


事故が起こった当初、3月11日からの3週間弱、マスコミは「御用学者」に
占領され、何の抵抗もなく従っていました。非常に高濃度の放射能、
チェルノブイリ事故の10分の1とも言われる量が出ているそのときに、
テレビも新聞も、大丈夫、大丈夫、安全、安全と言い続けた。

人々に対して危機を告げる論調は皆無で、このときに実は各地で
高濃度の放射能による被ばくが続いていたのでした。
今、思い起こしても、本当に何とも強い憤りを感じざるを得ない
数週間でした。

しかし3月末ぐらいから、明らかに報道のトーンが変わりだしました。
僕自身、4月2日に配信した「明日に向けて(14)」で「新聞が原発の危機を
報じ始めた・・・」というタイトルで記事を書いています。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/c5beab3040254af9e80e14557969ed80

このとき僕は以下のような記事を紹介しました。
「福島第一原子力発電所の事故を受け、日本の原子力研究を担ってきた
専門家が1日、「状況はかなり深刻で、広範な放射能汚染の可能性を排除
できない。国内の知識・経験を総動員する必要がある」として、原子力災害
対策特別措置法に基づいて、国と自治体、産業界、研究機関が一体となって
緊急事態に対処することを求める提言を発表した。
田中俊一・元日本原子力学会長をはじめ、松浦祥次郎・元原子力安全
委員長、石野栞(しおり)・東京大名誉教授ら16人」

正直、このとき、僕はここに少し希望を感じました。
明らかに原子力安全委員会に連なる系列の人々から、良心的な声が
出てきたと思えたからです。このもとに日本の優秀な技術者の力を
総結集すれば、事態は何とか大破綻にいたらずに終えることができる
のではないかとも思えました。

しかしその後にだんだん事態は違う方向に転換を始めていく。
その一つが、4月4日から始められた「低レベル放射能汚染水」の海洋投棄
でした。その前まで政府は、タンカーやバージ、メガフロートなどで汚染水を
受け止めることを示唆していた。しかしなぜか急に、海洋投棄が進められて
しまった。

実はことのとき日本がアメリカ政府とだけ打ち合わせをしていたことが
後から記事になりました。韓国やロシアが相次いで抗議をした海洋投棄が
アメリカの示唆によって行われた可能性が高いのです。

さらに4月6日には、1号機に水素爆発の可能性ありと語られだし、窒素
封入が開始されました。2号機、3号機にも同じ処置をしていくと語られましたが、
これもアメリカの強い示唆によってはじめられたと報道されていた。
またこのころ、アメリカ軍から、今後の「お友達作戦」は、原発事故への対処を
中心にしていくという声明が出された。

その後、4月12日に、政府は事故評価をレベル7に上げることを表明しましたが、
このときも、保安院と原子力安全委員会は、見解が分かれました。
保安院が37万テラベクレルとしたことに対して、安全委員会は、63万テラ
ベクレルと、26万テラベクレルも高い値を出したのです。
ここでも政府内の大きな食い違いが出ていた。どちらかが大きく間違っている
数値でした。奇妙なことに誰もその点を追求しませんでした。

さらにもっと政府と原子力安全委員会の食い違いが鮮明になったのは、
東電による4月17日のロードマップの発表でした。このときなんと
安全委員会は、翌日に、工程表は実現困難という声明を出している。
反対に言えば、事故の収束の見積もりから、安全委員会が外されて
しまった可能性が高いのです。

さらに福島市内の学校での許容線量についても、安全委員会は4月13日に
10ミリシーベルトまでと提言すると発表したのに、19日に文科省から
出されたのは20ミリシーベルトという値でした。

つまりこの流れを見てみると、4月1日の、元原子力学会会長や、元原子力
安全委員会長などによる、危機の訴え以降、明らかに原子力安全委員会は
政府による提言力を失っていっている。事故収束の工程の策定からも、
学校の運営に関する判断からも、外されてしまったように見えるのです。

重大な問題は、では誰が、今の日本政府に提言を行っているのかという
ことです。あるいは誰が日本政府を動かしているのか。ここに僕は何とも
言えない不気味さを感じます。

同時に、このように安全委員会が遠ざけられる階梯と、情報が「公開」の
名のもとに、リアリティを欠き始め、事態が見えなくなりだしたことと機を一に
しているように感じられてなりません。情報がコントロールされだしたのでは
ないか。

初期のように安全だけを強調しつつ、あちこちから情報が漏れ出してしまう
状態ではなく、解釈の余地そのものをせばめ、核心に迫れないように
されているのではないか。だから靄がかかったように感じるのではないで
しょうか。

そう考えると、東電・保安院・安全委員会と別々に行われていた会見が
一本化されたことの意味も見えてくる気がします。それまではそれぞれが
独自に記者会見を行っていたため、三者の食い違いなどからぽろぽろと
見えてくるものもあった。しかし一本化ではそれが見えなくなる。
要するに、情報の発信元からすれば、管理がしやすくなったのです。


一方で、この時期に猛烈に動き出したのが、「放射能は怖くないキャンペーン」
でした。当初よりこの傾向はありましたが、例えば4月14日に「放射線ストレス
キャンペーン」が読売新聞の紙面に載り、翌日15日に、首相官邸ホームページ
に「チェルノブイリ事故との比較」という、チェルノブイリ事故を極限的に
過小評価した文章が載りました。
(参照、明日に向けて(46)放射線ストレスキャンペーンを批判する。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0b5560f226e3a0eedd3177c7f548361f
明日に向けて(51)「チェルノブイリ事故との比較」を首相官邸が公表。
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2808ee6f009999c2d4f68c59b056f8b4)

こうして今日の記事をみたとき、一時期、新聞をさかんに賑やかしていた
どこどこで数百万倍の放射能が出た・・・という記事がめっきり減ったことが
分かります。あまり変わりのない冷却作業を続けていて、変わりなく、
放射能が出ているはずなのに。それが見えてこない。


まとめます。
小佐古さんの辞任劇には、政府内で、アメリカへの依存が高まるとともに、
危機を危機として訴え出した、原子力安全委員会など、学者集団、これまで
「御用学者」と言われてきた方々の、排除の進行を反映しているのではないか。

そしてその中で、小佐古さんもまた事故の本当の姿のなにがしかを知って
危機感を深めるとともに、政府内に居場所がなくなり、辞任による抗議以外に
選択できなくなったのではないか。そのようなことが疑われます。
とくにあの涙の背後に、深刻な汚染の実態が隠されているように思えて
なりません。

しかるに、マスコミもまたぜんぜんこうしたことを追求しようとしない。
ここには、再び、三度、何かによって、報道が制圧されている可能性も
垣間見えてきます。

・・・私たち市民サイドによる、専門家に任せない現実の分析とデータの解析、
事実の把握と、その発信は、ますます重要になってきていると僕には思えます。

あいかわらず強い靄がかかっているけれど、何かが少し見えてきている。
その何かを暴くために、分析・解析と、発信を続けます。

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明日に向けて(87)福島で、原発で何が起こっているのか。小佐古さん辞任劇を読む・・・1

2011年05月02日 03時00分00秒 | 明日に向けて5月1日~31日
守田です。(20110502 03:00)

すでにお知らせしたように、4月29日に、内閣官房参与だった小佐古敏荘さんが
政府に抗議して辞任しました。新聞ではその理由の一部しか明らかにされ
ませんでしたが、その後、辞意表明の全文がネットにアップされたので読み込んで
みました。

するとこれに対して行われた菅首相や、枝野官房長官の反論が、実は、
小佐古さんが唱えていることへの応接になっておらず、辞意表明の核心部分には
こたえていないことが分かりました。小佐古さんは、SPEEDIのデータの国民への
開示や、法の順守などを求めているからです。

さらにここにはこの辞任劇そのものよりも、重大な事実が盛り込まれています。
「全ての情報を公開する」と述べている政府が、その実、重要な情報、とくに
東日本の被ばく情報を未だに隠し持っていること、政府が法令を順守して
ないこと、原発サイトでの労働上限に500ミリシーベルトが採用されようとしている
こと、それらが「放射線審議会」でのこれまでの討議をまったく無視して
なされようとしてることなどなどです。

これらの点を踏まえつつ、この辞任の背景をいろいろ考察してみました。そう
しているうちに、どうも背景に何かがあるように思えてきました。これは単なる1人
の人物の「学者的良心」から発してたことではなく、もっと構造的なものが背後に
あるのではと思えるのです。

特に僕は、現在の福島原発の状況を分析しようとして、靄のかかったような
状態、情報が非常につかみにくいものを感じていますが、この事態とこの辞任劇は
どこかでつながっているように思えます。こうした視点に立って、以下、二回に
わたって、「小佐古さん辞任劇」を解析してみたいと思います。


まず小佐古さんの辞任表明を分析していきたいと思います。
小佐古さんは、主に2点を主張しています。
1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい
2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい
以上です。

1の中で、小佐古さんは、政府がSPEEDIのデータを公表しなかったこと、
同時に今なお公表してないことを批判している。

「初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、
とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の
近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の
全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の
日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから
数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、
福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の
甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。」

というのですが、ここには政府が未だ重要情報を隠し持っていることが明確に
示されています。小佐古さんの辞任の問題よりも、こちらの方が重大で深刻な
ことです。政府は未だに被ばく状況を隠していることがここに明示されている。

また小佐古さんは次のように述べています。
「放射線審議会での決定事項をふまえないこの行政上の手続き無視は、
根本からただす必要があります。500mSvより低いからいい等の理由から
極めて短時間にメールで審議、強引にものを決めるやり方には大きな疑問を
感じます。重ねて、この種の何年も議論になった重要事項をその決定事項
とは違う趣旨で、「妥当」と判断するのもおかしいと思います。放射線審議会
での決定事項をまったく無視したこの決定方法は、誰がそのような方法を
とりそのように決定したのかを含めて、明らかにされるべきでありましょう。
この点、強く進言いたします。」

ようするに、現場労働での上限の250ミリシーベルトへの引き上げや、500ミリ
へのさらなる引き上げの検討などが、「放射線審議会」の討議を無視して
行われていること、その点で法的正統性が無視されていることを、小佐古さん
は問題にしている。

ちなみに放射線審議会とは何かと言うと、文科省に設置されたもので
「「放射線障害防止の技術的基準に関する法律(昭和33年5月21日法律第
162号)」に基づき、放射線障害の防止に関する技術的基準の斉一を図ることを
目的として、文部科学省に設置されている諮問機関。関係行政機関の長は、
放射線障害の防止に関する技術的基準を定めるときは、放射線審議会に
諮問しなければならない」(文科省)とされています。

これが無視されていると言う。ということは、ここからは、放射線審議会を構成
する学者グループが、この間、政府から無視されているのではないかという
ことも、垣間見えてきます。

その上で、2の国際常識とヒューマニズムのところで、小佐古さんは次のように
述べている。
「警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日あるいはせいぜい1,2週間くらい)
に運用すべき数値をこの時期に使用するのは、全くの間違いであります。
警戒期であることを周知の上、特別な措置をとれば、数カ月間は最大、年間
10mSvの使用も不可能ではないが、通常は避けるべきと考えます。年間
20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の原子力発電所の放射線
業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を乳児、幼児、小学生に
求めることは、学問上の見地からのみならず、私のヒューマニズムから
しても受け入れがたいものです」。

注目すべきは10ミリシーベルトの使用も不可能ではないが、20ミリシーベルト
ではいけないと言っている点です。
これは実は、4月13日に原子力安全委員会が文科省に対して行った提言に
沿う内容なのです。これとて放射線管理区域を大きく上回るもので、
ヒューマニズムの観点から許容できないと思うのですが、ともあれ、ここには
10ミリシーベルトなのか、20ミリシーベルトなのかという論争があったことが
見えてくる。そしてその論争において、原子力安全委員会と小佐古さんは
敗れたと思われるのです。

つまり大きく見ていくならば、ここには政府が、大きな被ばく情報を未だに
隠していること、小佐古さんが、それに与しえないと考えたことが現れています。
それを前提に推論すると、おそらくそこに、大変な情報があるのではないか。
かなりひどい汚染実態があり、小佐古さんは、その点で「学者としての生命に
かかわる」といううめき声を出したのではないか。そうしか思えない。

なぜなら20ミリシーベルトで、「学者としての生命にかかわる」のならば、10ミリ
シーベルトではかかわらなかったのかという素朴な疑問が沸くからです。
しかし小佐古さんは、会見で涙まで流していた。自分の孫をそんなところに
晒したくないと、顔をくしゃくしゃにゆがめていた。単に、20ミリシーベルトが
許容できないというだけでなく、何か、そうまで思いつめねばならないことを、
小佐古さんが、知っているのではないか。だから離脱したのではないかと
思えてなりません。

同時に、これは原子力安全委員会が政府の中で、脇においやられていることの
端的な表現なのではないか。おそらく、小佐古さんは、この決定を1人でした
のではなく、学者仲間と話し合って決めているのではないかと思えます。
「私がここにいる意味はない」とも語っていましたが、それは小佐古さんを
取り巻く学者グループが排除されていることを意味しているのではないか。
どうもそのように思えます。

・・・そしてそのように考えると、この間の原発の現状に、靄がかかったような
状態になっていく過程が少し見えてくるように思えます。ただしこれほど重大情報が
ここにありながら、これを何らおいかけないマスコミにもため息がでますが。
あるいはマスコミも再び事故初期のようにコントロールされているのでしょうか。

これらの点は、次回(88)で考察したいと思います。

****************************

内閣官房参与の辞任にあたって(辞意表明)

平成23年4月29日 内閣官房参与 小佐古敏荘

 平成23年3月16日、私、小佐古敏荘は内閣官房参与に任ぜられ、原子力
災害の収束に向けての活動を当日から開始いたしました。そして災害後、
一ヶ月半以上が経過し、事態収束に向けての各種対策が講じられております
ので、4月30日付けで参与としての活動も一段落させて頂きたいと考え、
本日、総理へ退任の報告を行ってきたところです。

 なお、この間の内閣官房参与としての活動は、報告書「福島第一発電所
事故に対する対策について」にまとめました。これらは総理他、関係の皆様方
にお届け致しました。

 私の任務は「総理に情報提供や助言」を行うことでありました。政府の行って
いる活動と重複することを避けるため、原子力災害対策本部、原子力安全
委員会、原子力安全・保安院、文部科学省他の活動を逐次レビューし、
それらの活動の足りざる部分、不適当と考えられる部分があれば、それに
対して情報を提供し、さらに提言という形で助言を行って参りました。

 特に、原子力災害対策は「原子力プラントに係わる部分」、「環境、放射線、
住民に係わる部分」に分かれますので、私、小佐古は、主として「環境、放射線、
住民に係わる部分」といった『放射線防護』を中心とした部分を中心にカバー
して参りました。

 ただ、プラントの状況と環境・住民への影響は相互に関連しあっておりますので、
原子炉システム工学および原子力安全工学の専門家とも連携しながら活動を
続けて参りました。

 さらに、全体は官邸の判断、政治家の判断とも関連するので、福山哲郎内閣
官房副長官、細野豪志総理補佐官、総理から直命を受けている空本誠喜
衆議院議員とも連携して参りました。

 この間、特に対応が急を要する問題が多くあり、またプラント収束および環境
影響・住民広報についての必要な対策が十分には講じられていなかったことから、
3月16日、原子力災害対策本部および対策統合本部の支援のための「助言
チーム(座長:空本誠喜衆議院議員)」を立ち上げていただきました。まとめた
「提言」は、逐次迅速に、官邸および対策本部に提出しました。それらの一部は
現実の対策として実現されました。

 ただ、まだ対策が講じられていない提言もあります。とりわけ、次に述べる、
「法と正義に則り行われるべきこと」、「国際常識とヒューマニズムに則りやって
いただくべきこと」の点では考えていることがいくつもあります。今後、政府の
対策の内のいくつかのものについては、迅速な見直しおよび正しい対策の
実施がなされるよう望むところです。


1.原子力災害の対策は「法と正義」に則ってやっていただきたい
 この1ヶ月半、様々な「提言」をしてまいりましたが、その中でも、とりわけ
思いますのは、「原子力災害対策も他の災害対策と同様に、原子力災害対策に
関連する法律や原子力防災指針、原子力防災マニュアルにその手順、対策が
定められており、それに則って進めるのが基本だ」ということです。

 しかしながら、今回の原子力災害に対して、官邸および行政機関は、そのことを
軽視して、その場かぎりで「臨機応変な対応」を行い、事態収束を遅らせている
ように見えます。
 
 とりわけ原子力安全委員会は、原子力災害対策において、技術的な指導
・助言の中核をなすべき組織ですが、法に基づく手順遂行、放射線防護の
基本に基づく判断に随分欠けた所があるように見受けました。例えば、住民の
放射線被ばく線量(既に被ばくしたもの、これから被曝すると予測されるもの)は、
緊急時迅速放射能予測ネットワークシステム(SPEEDI)によりなされるべき
ものでありますが、それが法令等に定められている手順どおりに運用されて
いない。法令、指針等には放射能放出の線源項の決定が困難であることを
前提にした定めがあるが、この手順はとられず、その計算結果は使用できる
環境下にありながらきちんと活用されなかった。また、公衆の被ばくの状況も
SPEEDIにより迅速に評価できるようになっているが、その結果も迅速に
公表されていない。

 初期のプリュームのサブマージョンに基づく甲状腺の被ばくによる等価線量、
とりわけ小児の甲状腺の等価線量については、その数値を20、30km圏の
近傍のみならず、福島県全域、茨城県、栃木県、群馬県、他の関東、東北の
全域にわたって、隠さず迅速に公開すべきである。さらに、文部科学省所管の
日本原子力研究開発機構によるWSPEEDIシステム(数10kmから
数1000kmの広域をカバーできるシステム)のデータを隠さず開示し、
福島県、茨城県、栃木県、群馬県のみならず、関東、東北全域の、公衆の
甲状腺等価線量、並びに実効線量を隠さず国民に開示すべきである。

 また、文部科学省においても、放射線規制室および放射線審議会における
判断と指示には法手順を軽視しているのではと思わせるものがあります。
例えば、放射線業務従事者の緊急時被ばくの「限度」ですが、この件は既に
放射線審議会で国際放射線防護委員会(ICRP)2007年勧告の国内法令
取り入れの議論が、数年間にわたり行われ、審議終了事項として本年
1月末に「放射線審議会基本部会中間報告書」として取りまとめられ、
500mSvあるいは1Svとすることが勧告されています。

法の手順としては、この件につき見解を求められれば、そう答えるべきで
あるが、立地指針等にしか現れない40-50年前の考え方に基づく、250m
Svの数値使用が妥当かとの経済産業大臣、文部科学大臣等の諮問に
対する放射線審議会の答申として、「それで妥当」としている。ところが、
福島現地での厳しい状況を反映して、今になり500mSvを限度へとの、
再引き上げの議論も始まっている状況である。

まさに「モグラたたき」的、場当たり的な政策決定のプロセスで官邸と
行政機関がとっているように見える。放射線審議会での決定事項を
ふまえないこの行政上の手続き無視は、根本からただす必要があります。
500mSvより低いからいい等の理由から極めて短時間にメールで審議、
強引にものを決めるやり方には大きな疑問を感じます。重ねて、この種の
何年も議論になった重要事項をその決定事項とは違う趣旨で、「妥当」と
判断するのもおかしいと思います。放射線審議会での決定事項をまったく
無視したこの決定方法は、誰がそのような方法をとりそのように決定したのかを
含めて、明らかにされるべきでありましょう。この点、強く進言いたします。

2.「国際常識とヒューマニズム」に則ってやっていただきたい
 緊急時には様々な特例を設けざるを得ないし、そうすることができるわけ
ですが、それにも国際的な常識があります。それを行政側の都合だけで
国際的にも非常識な数値で強引に決めていくのはよろしくないし、そのような
決定は国際的にも非難されることになります。

 今回、福島県の小学校等の校庭利用の線量基準が年間20mSvの被曝を
基礎として導出、誘導され、毎時3.8μSvと決定され、文部科学省から
通達が出されている。これらの学校では、通常の授業を行おうとしているわけで、
その状態は、通常の放射線防護基準に近いもの(年間1mSv,特殊な例でも
年間5mSv)で運用すべきで、警戒期ではあるにしても、緊急時(2,3日
あるいはせいぜい1,2週間くらい)に運用すべき数値をこの時期に使用する
のは、全くの間違いであります。警戒期であることを周知の上、特別な措置を
とれば、数カ月間は最大、年間10mSvの使用も不可能ではないが、通常は
避けるべきと考えます。年間20mSv近い被ばくをする人は、約8万4千人の
原子力発電所の放射線業務従事者でも、極めて少ないのです。この数値を
乳児、幼児、小学生に求めることは、学問上の見地からのみならず、私の
ヒューマニズムからしても受け入れがたいものです。年間10mSvの数値も、
ウラン鉱山の残土処分場の中の覆土上でも中々見ることのできない数値で
(せいぜい年間数mSvです)、この数値の使用は慎重であるべきであります。

 小学校等の校庭の利用基準に対して、この年間20mSvの数値の使用には
強く抗議するとともに、再度の見直しを求めます。

 また、今回の福島の原子力災害に関して国際原子力機関(IAEA)の
調査団が訪日し、4回の調査報告会等が行われているが、そのまとめの
報告会開催の情報は、外務省から官邸に連絡が入っていなかった。
まさにこれは、国際関係軽視、IAEA軽視ではなかったかと思います。
また核物質計量管理、核査察や核物質防護の観点からもIAEAと今回の
事故に際して早期から、連携強化を図る必要があるが、これについて、
その時点では官邸および行政機関は気付いておらず、原子力外交の
機能不全ともいえる。国際常識ある原子力安全行政の復活を強く求める
ものである。以上
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/80519.html
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