守田です(20171015 15:00)
天橋立の喫茶店からです。
本日はこれから舞鶴に移動して午後7時より日本共産党の演説会に参加し、山内健さんへの応援演説を行ないます。
昨夜も与謝野町での演説会に参加しましたが、僕の前に登壇された方の発言にいたく胸を打たれました。
海上自衛隊に30年間も務め、カンボジアへのPKO派遣などにも参加された元自衛官の川村純雄さんです。素晴しい発言でした。
山内候補や主催者の方達の発言を聞いていても、なんというか、「さすが京都北部だなあ」とも思いました。
この地域には舞鶴に海上自衛隊の大きな基地があります。当然、この町には自衛官、その家族、関係者も多い。だからこそ戦争への流れにとても敏感であることが伝わってきます。
川村さんは怒りを込めてこう語られました。
「このままでは自衛隊がとんでもないところに行かされてアメリカのための戦争に参加させられかねない。
現役も含めて多くの仲間たちがひどいと言っている。なんとしてもこの流れを止めたい。そのためには国会で共産党議員を増やすしかない」
もっとたくさん語っていただいたのにご紹介しきれなくて残念ですが、僕は心がざわめきたってどうしようもなくなり、発言を交代するときに川村さんと固い握手を交わしました。
そして用意した原稿に入る前に、川村さんの発言への共感を語り「自衛官を理不尽な戦争に駆り出してはいけない。自衛官の命を守るためにも安倍政権を交代させましょう」とまずは話しました。
発言を終えたあとも川村さんとお話しし「僕は自衛隊の災害救助隊への改編を訴えているのです」と語ったら、破顔一笑!「その通り!」と固い握手をしてくださいました。
僕がこう考えたことには実は演説会の直前に、麻生副総理が行なったとんでもない発言に触れていたからでもありました。
麻生さん、総選挙に向けた岐阜県内での演説でなんとこんなことを語っているのです。重要なので朝日新聞の記事より全文を引用します。
「昭和25(1950)年に朝鮮事変(朝鮮戦争)が起きた。岐阜は関係なかったかもしれんが、俺んとこは福岡。(太平洋戦争の終戦から)5年、6年、7年もたって、空襲警報があったし、敵機来襲もやってた。俺は子どもの時、そういうとこにいた。戦争に近かった。誰も起きると思わなくても、戦争はたった一人、当時は金日成。そういった人たちがやると言った結果、3年にわたって多くの兵が傷ついた。
何が起きるかわからない。起こってからじゃ遅い。しかも今回の場合は、大量の難民が来ることを覚悟しなきゃならない。難民をどこへ収容するか。その人たちは不法難民。武器を携帯してるかもしれない。テロになるかもしれない。その時に我々はきちんと対応できる政府を持っておかねばならん。(岐阜県羽島市での街頭演説で)」
「今回は大量の難民、覚悟しなきゃ」麻生副総理
朝日新聞 2017年10月14日16時33分
http://www.asahi.com/articles/ASKBG4JXFKBGOHGB009.html
これはものすごく重要な発言です。副総理が語っているのですからぜひすべての政党はこれが政府の認識なのかどうかを質す必要があります。
一番の問題は、麻生さんが朝鮮半島をめぐって戦争が起こりうる、それに備えておくべきだと断言していることです。
しかしもし本当に戦争が起こればものすごくたくさんの人が亡くなるのです。もちろんその中には日本人も含まれます。だからこそ政治の第一の任務は絶対に戦争が起こらないようにすべきことなのです。
戦争が起こったとしたら、政治の大失敗、外交の大失敗を意味します。にもかかわらずそんなことが起こりうることを平然と副総理が語るような政府を、これ以上、認められるわけがありません。
第二に戦争を想定しながら、一方で起こりうる事態をあまりに軽視していることです。典型的な「タカ派の平和ボケ」です。
そもそも戦争になったら米軍基地がたくさんある日本もまた標的になるのです。しかも朝鮮半島の目の前の福井県には原発が「銀座」と呼ばれるほどにひしめいていて高浜原発が稼働中です。
もし戦火が迫っているのなら稼動中の原発をすぐに停めるべきです。いやそれだけでは足りない。燃料プールから即刻、使用済み核燃料を降ろすべきなのです。
しかし現実には稼働している原発の燃料は数年経たなければプールから降ろせない。いやどこの原発の使用済み核燃料だって降ろして運び入れるところなど実はない。
いや危険なのは原発だけではありません。石油コンビナートやガスタンクなど、狙われたら危険な構造物が海岸線にひしめいているのが日本なのです。
だからこそ、日本は絶対に戦争を避けなければならないのです。戦争になったら守りきれないのです。麻生さんは戦争のリアリティがあまりに分かっていない。
そして第三に戦争で難民が発生したとしたら、道義的に言って助けるのが当然のことなのです。事実、ヨーロッパでは大変な苦労をしながらシリア難民を受け入れています。
ところが麻生さんは「その人たちは不法難民。武器を携帯してるかもしれない。テロになるかもしれない」などと何の根拠もなしに人々の不安ばかりをあおっている。これまたあまりにひどい。
そもそも「不法難民」とは何のことでしょうか。難民とは、命の危機など、止むに止まれぬ事情で祖国を飛び出し、逃げて来た人々のことを言うのです。それに合法も不法もあるわけがない。
もちろん日本への滞在資格など獲得する間もなくやってくるでしょう。しかし日本も加入している難民条約第31条では、これらの人々を違法としてはならないと明確に宣言されています。
なぜって命からがら逃げてくる人々に滞在資格を得る余裕などなくて当たり前だからです。だからそうした困窮した人々を「けして罰してはならない」というのが世界の常識なのです。
にもかかわらず、祖国から逃げてくる人々を国際条約の常識も知らずに「不法」と語り、「武器をもっているかもしれない、テロになるかもしれない」と語る麻生副総理には根本的に人権感覚が欠けています。
実はこの麻生発言は今回が初めてではありません。9月23日に宇都宮市でも同じようなことが語られています。
この時には麻生さんは「武装難民」という麻生さんしか使わない造語を用い、しかも「射殺か」と語って殺害にまで言及しました。相当に悪質です。こんな方の元では混乱時には無実の人々が殺されかねない。
これらから分かることは、麻生さんが戦争で苦しむ人々のことなどまったく考えていないということです。
そもそも大量の難民が発生するとするならば、すでにアメリカが朝鮮半島に攻め込んでいることになります。そしてそれは先にも述べたように日本政府の戦争回避策の失敗がもたらしたものなのです。
だから難民の発生は日本政府の外交政策の失敗の結果でもあり、自らも産み出したもの、大きな責任を背負っているものなのです。
繰り返しますが、東アジアでそんな悲劇を産み出してはいけないのです。しかし麻生副総理にはそうした決意も責任感も何も感じられない。だからこそこんな政府のままでは日本もまた戦場になりかねません。
私たちは、大量の難民の発生に備える政府ではなく、大量の難民など絶対に発生させない政府、アメリカに戦争をさせない政府をこそ選ばなくてはなりません。
いま、政府がそうした政策に転換し、アメリカに自省を促して行けば、絶対に戦争は避けられます。
そのために戦争を起こさせないことを宣言する政府を選ぶ必要があります。少なくともこんなとんでもないことを副総理が語り出す安倍政権を終らせなければなりません。
選挙に向けてこのことを多くの人に訴えて行きましょう。