明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1444)パリで作り出せた素晴しい連帯をさらに広げたい!

2017年11月06日 12時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です(20171106 12:30 パリ時間)

11月2日〜4日の反核世界社会フォーラムが終りました。
その後、一日はゆっくり休ませていただいて、今日はこれからパリ市内にでかけて、フォーラム参加のために来られている崎山比早子さんの講演会に参加してきます。パリ在住の日本人の方も多く集まるそうで楽しみです。
その後、夕方にパリを発ってエピナルに向かいます。フランス人夫妻が同行してくださいます。
 
さて今回のフォーラム、とても素晴しかったです。とくに僕が感動したのは2日目の夕方のセッションでした。
各国で起こっている問題の当事者からの発言で、フランスの原発労働者と、チェルノブイリと福島の収束作業にあたったウクライナ人と日本人。また原発を押し付けられてきたインドから、これから押し付けられようとしているトルコから。そしてウラン鉱山の問題でアメリカとニジェールからそれぞれ発言がありました。
 
実は僕はこのセッションの前にちょっとフラストレーションも感じていました。全体会のあとに3つの会場に分かれてたくさんのワークショップが行なわれたのですが、僕が参加したところはいずれも「核兵器」「核戦争」「核廃棄物」などなどの言葉、さらに詳しいテクニカルタームが多くて、まあそれは当然でもあるのだけれどなかなか「人」が出て来ないように感じていたのです。
 
それで僕はこう語りました。
「私の父は広島原爆のサバイバーの一人です。核の問題を語る時、確かに核兵器はとても危険だし、核戦争は恐ろしすぎます。それらについて話すことはとても大事なことです。でも核の問題にはもう1つ大事な問題が有ります。ヒバクシャが日々、増えていることです。なぜなら世界にたくさんのウラン鉱山があるからであり、核兵器工場があるからであり、原発があるからです。もちろんチェルノブイリや福島の事故もありました。
だから核の問題を考える時にどうかヒバクシャの側に立ち、ヒバクシャの視点から考えていただきたいのです。広島や長崎のヒバクシャのことだけではありません。世界中のヒバクシャの視点に立ってです。
さらにこれは僕の観点ですが、核実験なども考えたときに、私たちはいまやすべてヒバクシャです。そのことを忘れずに、もっとも犠牲になっている人から考えていただきたいです。ありがとうございました。」
 
ところが2日目の夕方のセッションはまさにそうした立場の人からの発言が相次いだのでとても感動したのです。
トルコから発言してくれたのは、いつも素晴しいチームワークで一緒に動いているプナールさんです。またアメリカから発言したのは、ニューメキシコのディネランド(アメリカ政府にはナバホと呼ばれている)から来たレオナ・モーガンさんでした。彼女とはこの夏のドイツ・デーベルンでの反核サマーキャンプで一緒になり、以来、スカイプ会議などを共にしてきた中までもあります。
インドからの発言も同じ仲間であるクマール・スンダラスさんとともに来た若い学生さんからのものでとても良かったです。
 
フランスの元原発労働者のフィリップさんの発言も素晴しかった。フランスは実は労働組合の多くが、仕事の確保のために原発に賛成しています。またそもそも核政策に逆らうことは国家的威厳に逆らうことだとも長い間言われて来ており、だから反原発を貫くのは容易ではないのです。でもフィリップさんは「もうこれ以上、労働者を被曝させてはならないのだ。だから原発はもうやめなければならないのだ」と叫ばれました。孤立を恐れず、彼はこの声を上げ続けているのだそうです。
 
同じことを日本から参加した池田実さんも語られました。池田さんは元郵政労働者。福島原発事故のときは多くの仲間とともに放射能が降る中の配達をさせられたそうです。その後、福島のために何かをしたいと、自ら除染作業員になり、さらに福島原発の中の労働者となって働かれました。
その中で労働者達の置かれている酷い実態をつぶさに体験して来られて、告発されました。
フィリップさんからの発言とともにとても胸を打ちました。
 
ニジェールからの方もウラン鉱山の問題を語られました。人々は何も知らされずに働かされた。そのためウラン鉱を手で直接持つようなこともあったそうです。
こうしたことについては、レオナともこの夏にドイツ・デーベルンのキャンプで話し合いました。そのとき彼女は、ニューメキシコの彼女達の聖地に掘られたウラン鉱山の問題のことを「ニュークリア・コロナイゼーション」と語ったのすが、今回も「同じだ」と痛感しました。
ちなみにアメリカ各地のウラン鉱山から掘られたウランが広島、長崎に投下された原爆に使われたわけですが、その前に採掘や核実験が行なわれ、ヒバクシャは生まれていたのです。核実験は7月16日にニューメキシコのアラモゴード砂漠で行なわれました。
 
これらの事柄を見た時に、核の問題はレイシズム、ディスクリミネーション、コロニアリズム、人種差別や植民地主義と密接にくっついていることが分かります。だからこそもっとも犠牲になってきた人々の視座に立ち、今でも毎日、被害者が増えている現実をしっかりみすえて、一刻も早くヒバクシャが増えることをとめるために奮闘することが最も大事なのです。
このセッションではこの僕が最も大事だと思う点が非常に鮮明に打ち出されていてとても感動しました。
 
もちろん他の地域でも様々な奮闘があります。その1つで感動したのはイベリア半島から来た人たち。ボルトガルとスペインからの人々のチームでした。そこにペルーから参加した女性も加わっていました。
ポルトガルはすべての原発計画をとめてきたのだそうです。でもスペインは幾つかを建ててしまった。その多くが両国の国境を流れる川のほとりにあります。だからこそ両国の人々はかたく連帯して今日まで歩んで来たのです。
 
この方たちと一緒にカフェに入ったときに僕のこれまで積み上げて来た体験がとても役にたちました。
僕の周りにはスペイン語が達者な友人が多い。「日本ラテンアメリカ協力ネットワーク(レコム)」というグループを作り、グァテマラの女性たちの運動を支援するなどさまざまな活動を繰り広げて来ているからです。僕もメンバーに加えていただいています。レコムについては以下をご覧下さい。
 
日本ラテンアメリカ協力ネットワーク(レコム)
だからほんのちょっと僕もスペイン語を知っている。「ベンセレーモス」とか「ノーパサラン」とか。
勝利しよう!奴らを通すな!などです。
 
いやそれだけではありません。僕は第二次世界大戦前にフランコ独裁と戦ったスペイン市民運動にも深い関心を持って来ていました。しかもそれはけして過去のことになっていない。抵抗の拠点になったのはカタルーニャ地方。だから戦後、スペインでは徹底したこの地域への抑圧が行なわれて来たのでした。いまやそれが崩れようとしていて独立の機運が高まっています。
もちろんそれは新自由主義のもとで拡大している矛盾のせいでもあってより複雑な歴史があるのですが、ともあれ僕がそうしたことを語ったことに、このチームの方たちがとても喜んでくれたのです。
 
そして僕が日本から持参した福島から大阪への避難者、森松明希子さんの英文の体験記を見せると即座に「スペイン語に翻訳しようか?その方が世界中に広がるよ!」と言ってくださいました。なんとありがたいこと!
 
さらに僕は京都のお母さん達がつくったピースフラッグも持って来ていたのですでにたくさんの方にプレゼントしました。たくさんの方と一緒に写真を撮ってFacebookにアップしたのでぜひご覧下さい。
 
大げさすぎることを100%自覚した上で語りますが、なんだかここまでの今回の旅で泣きたくなるぐらいたくさんの新たな深いつながりが持てました。まるで昔からの友だちのような関係が作れました。
なぜなのか。すごくよく分かります。世界が同じ問題で苦しんでいるからです!核の問題だけでない。人種差別や植民地主義、そして新自由主義の矛盾に人々が世界中で喘いでいるのです。
でもただ喘いでいるだけではない。それぞれの場で人々が立ち上がり、未来を切り開こうと賢明な努力を続けている。だから仲間が必要なのです。みんなが精一杯に手を伸ばしているのです。だから手を握り合うことは実はとても簡単なことです!
 
今回のつながりをさらに広げるために僕はこれから旅の後半に入ります。
今夜、エピナルという都市にうつり、明日はエピナルで、明後日はコルマールでお話しし、さらに9日にドイツに移動して10日にオーバーハウゼンでお話しします。11日にドイツのIBBというNGOのミーティングに出て、それからもう一度パリに戻り帰国します。なお頑張ります!ぜひご支援をお願いします。
 
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