守田です(20171108 09:00 アルザス時間)
パリの反核世界社会フォーラムが終り、アルザス地方のエピナルと言う都市に移ってきて、昨夜、記者会見に出た後に講演をおこないました。今回のアルザスへの訪問には日本語通訳がおらず、英語―フランス語の通訳の方がついてくださいました。記者会見も同じ。質問のフランス語が英訳され、僕が英語で答えてフランス語に訳される。記者会見はたっぷり1時間半。講演は僕の話が1時間、質疑応答と討論が1時間半でした。僕にとってはまるでサーカスでした!
でも手元に英文の講演用原稿がある。またこれまで発言のために考えた英文が頭の中に残っている。これがとても大きい。それらを駆使してなんとかかんとかやりきることができました!とく地元の方たちがとても喜んでくださったのでうまくいったのだと思ってます。
いまは朝食をいただいたところ。これから今夜の講演地であるコルマールに移動します。
さてその前にわずかな時間をぬって、小選挙区制の変革についての考察を続けたいと思います。
先日、終ったばかりの総選挙でまたしても私たちは、民意とはかけ離れた議席配分の結果に直面してしまいました。
これをいかに変革していくのかが問われていますが、そのためには制度のこと自身をもっと知らなくてはいけないと考えて、小選挙区制について、京都精華大学の細川弘明さんが教えてくださったことを転載させていただきました。以下の記事です。とても参考になるのでまだの方はご覧下さい。
明日に向けて(1441)ひどいのは小選挙区制ではなく世界で最悪最低の日本の小選挙区制だった!!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/753496109c01ca7ff53086ec082b3ae7
細川さんからのこのメールは、もともと僕がフランスに旅立つ前にいただいたもので、フランスやドイツの人々に「小選挙区制のせいでこんなにひどいことになっていると言っても、制度そのものが違うから、それでは意味が伝わらないですよ」とアドバイスして下さったものでした。これが昨日の記者会見でとても役に立った!それほど詳しい説明はできませんでしたが、「とうして選挙があんな結果になるのか」という問いへの答えになんとか満足いただけたようでした。
ところでこの細川さんの見解を掲載して以降、2人の方から返信をいただきました。とても興味深い内容だったので、ご本人の了解を得て転載させていただくことにしました。ぜひみんなで小選挙区制についての考察を深めていきたいと思います。
まずはフランスのことにとても詳しい方からの感想を転載します。
最近、ネットを通じて知り合った中尾和美さんです。フランス語がとても堪能な方です。
実はいま僕が泊めていただいているピエールさんは、中尾和美さんが紹介して下さった方なのです。というか初めに彼女が僕の静岡で行なった講演のパワポをピエールさんにフランス語訳して送って下さったのですね。その後に、僕から今回の旅でできればフランスのどこかで講演できる可能性はないかと頼んだところ、中尾さんがピエールさんに頼んでくださり、エピナルとコルマールでの講演が決まったのでした。
今朝もピエールさんとお連れ合いのフェビアンヌさんと和美さんの話になり、「彼女はとてもジェントルな人だ」と嬉しそうに話されていました!
さてその中尾さんが指摘されているのは、「ヨーロッパと言ってもひとくくりにはできないのでは。各国の違いに注目しなくてはいけないのでは」というしごくもっともな点です。また僕が紹介したのはヨーロッパではなくてオーストラリアのことでしたから、僕の紹介の仕方そのものに配慮が欠けていた面もありました。なんかオーストラリアの方にもヨーロッパの方にもみなさんにもごめんなさいです。
確かに今回の訪問を通じて「反核」ということについても、ドイツとフランスにはとても大きな違いがあることが見えてきました。フランスにとって「核」の問題は国家の威厳とくっついていて、それに反対することは国家の威厳にたてつくことになり、難しい面があるのだそうなのです。これはまた第二次世界大戦の戦勝国としてのメンタリティでもあるようです。しかもフランスは一旦ドイツに占領された屈辱の中から戦況をひっくり返したので、なおさら「威厳」に重みがあるのでしょう。
ただしそのフランスでもいま僕がいるアルザス地方は、占領していたドイツ軍にアメリカ軍が空襲などの猛攻撃をかけ、周辺の民家もろとも吹き飛ばしたところで、「この辺はアメリカにやられてしまった家の方が多いんだ」とも聴きました。
「フランス」の中でさえ、ひとくくりにはできないことがいっぱいあるのですね。もちろん日本を考えればそれもまたよく分かることです。ともあれもっと各国それぞれの状況と努力に着目し、学びを深めなくてはならないと痛感しています。
以上から中尾さんのメールを転載します。ぜひお読みください。
*****
守田敏也さま
こんにちは
今頃パリに到着されたでしょうころでしょうか。パリの天気はいかがでしょうか。実りある滞在になることをお祈りしています。
お忙しい中、「明日に向けて」をたくさん配信してくださり、ありがとうございます。とても勉強になります。
今回、小選挙制度について、気がついたことを一つ書きます。
確かに、日本の小選挙区制度は、死に票が多く、問題があります。しかし、守田さんが書かれている優先順位の選挙というのが果たしてヨーロッパでどこまで一般的なのか、ヨーロッパではないオーストラリアの例を挙げられているので、やや腑に落ちない気がしました。ちなみに、フランスの下院選挙は、候補者に優先順位をつけるような形では投票はせず、小選挙区で一人の候補を選びます(一応、フランス大使館のリンクを貼っておきます)。ただ、通常2回投票を行い、1回目の投票で票数の多かったものが決戦投票に残り、2回目では候補が絞られますので、この間の大統領選のように、第一回でトップで勝った極右候補が2回目では負けるということにもなります。選ぶ機会が二回与えられるので、確かに死に票は少なくなると思います。ちなみに上院は一般の国民は投票せず、市民の代表者のような方々による選挙です。
https://jp.ambafrance.org/article11517
ヨーロッパで色々な方と原発、選挙など、お話されることと思います。ドイツとフランス、隣国ですが、かなり違う点もあるのではないかという気もします。ヨーロッパというのは多様で、なかなかひとくくりで語りにくいところがあるのではないかと思っています。おそらくオーストラリアともかなり違うのではないかという気がしています。
ピエールと奥様のファビエンヌにもよろしくお伝えください。とてもいい方達です。彼らの家も素晴らしいところにあります。絶景です。
どうぞ良い滞在を、帰国後の報告を期待しています。
中尾和美
こんにちは
今頃パリに到着されたでしょうころでしょうか。パリの天気はいかがでしょうか。実りある滞在になることをお祈りしています。
お忙しい中、「明日に向けて」をたくさん配信してくださり、ありがとうございます。とても勉強になります。
今回、小選挙制度について、気がついたことを一つ書きます。
確かに、日本の小選挙区制度は、死に票が多く、問題があります。しかし、守田さんが書かれている優先順位の選挙というのが果たしてヨーロッパでどこまで一般的なのか、ヨーロッパではないオーストラリアの例を挙げられているので、やや腑に落ちない気がしました。ちなみに、フランスの下院選挙は、候補者に優先順位をつけるような形では投票はせず、小選挙区で一人の候補を選びます(一応、フランス大使館のリンクを貼っておきます)。ただ、通常2回投票を行い、1回目の投票で票数の多かったものが決戦投票に残り、2回目では候補が絞られますので、この間の大統領選のように、第一回でトップで勝った極右候補が2回目では負けるということにもなります。選ぶ機会が二回与えられるので、確かに死に票は少なくなると思います。ちなみに上院は一般の国民は投票せず、市民の代表者のような方々による選挙です。
https://jp.ambafrance.org/article11517
ヨーロッパで色々な方と原発、選挙など、お話されることと思います。ドイツとフランス、隣国ですが、かなり違う点もあるのではないかという気もします。ヨーロッパというのは多様で、なかなかひとくくりで語りにくいところがあるのではないかと思っています。おそらくオーストラリアともかなり違うのではないかという気がしています。
ピエールと奥様のファビエンヌにもよろしくお伝えください。とてもいい方達です。彼らの家も素晴らしいところにあります。絶景です。
どうぞ良い滞在を、帰国後の報告を期待しています。
中尾和美