明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1673)貧しい人が希望を持てる社会を作らんと!(白坂ゆうこさんインタビューその2)

2019年04月04日 17時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190404 13:00)

統一地方選候補者インタビュー、今回は白坂ゆうこさんに聞く2回目です。ぜひお読み下さい。

● 貧しい人、苦しい人をほっておけない

白坂
でもやっぱりね、福山さんの選挙の時にね、生活保護で自死された親子の話があったじゃないですか。(守田注 生活保護を打ち切られた男性が母親を介護しきれなくなって母親と話し合って「殺害」。殺人罪で服役しのちに出獄したものの本人が自死してしまった話。もうこんなに悲しいことがあってはならないと福山さんが涙ながらに訴えた)。 それが本当に私のところに「雇ってくれ」と来はる人の話と全部つながっていくんですね。それで福ちゃんの選挙で今熊野でタウンミーティングをしたときに、やっぱりうちで働かせてくれと言ってきた人と同じような話をたくさん聞いたんです。 それだけ生活が大変な人が多いんです。普通に生きていくだけでも大変な人たちがたくさんいることを知れば知るだけ、私は「自分がもっと何かできるんじゃないの」とずっと思ってた。潜在的なところでの私の一番の出馬の動機はそこやと思うんです。

守田
すごく感動しているんですけれども。素晴らしい。

白坂
そうですか(笑)

守田
福ちゃんのときもいきなりあれでやられたものね。「ああ、これでもうこの人を絶対に支持しよう」と思って。

応援に駆け付けた福山和人さん、浜矩子さんと(白坂さんFacebookより)

白坂
それで今回の選挙戦、私は仕事もぜんぶやりながらやろうと思てフル回転してたんです。でもさすがに無理が溜まってそれで眩暈がして。階段から落ちて手を折って。

守田
ありゃあ。そうやったんや。

白坂
おかげでいまは、私は会社とノームは何も仕事ができなくなって、こっちに集中できるようになったんです(笑)

守田
怪我の功名やね。

白坂
だけど思ったのは、家族や周りの人が助けてくれたんやけど、これ、一人暮らしのお年寄りの人やったらどうしはんねんやろってね。

守田
ほんまやね。

白坂
なってみな分からんことっていっぱいあるなと思いました。

守田
経験してみないと分からんことがいっぱいあるからね。利き腕でしょう?不自由だよね。

白坂
なんもできへんし。でもいろんなことをいま勉強させていただいているなと。


折れた腕をかばいつつ左手でマイクを(白坂さんFacebookより)

● 世の中への信頼感が自分の支えになっている

守田
苦労というより、教訓として語れることはあります?

白坂
これは候補者に限ったことではないけど、私、ポジティブな性格なんですよ(笑) あまり何事も悪いように考えない性格なんです。そんな私でもふらっとビルから飛び降りようとか、それぐらいしんどかったんですね。 そやけど基本はやっぱりネアカというか、何かこの世を信頼しているというか。人も自分も含めて何かを信頼してるんやろなと。

守田
信頼というところにめっちゃ共感するなあ。 でもものすごく疲れていて、それでも「これをやらなあかん」というときに、ホームに電車が入ってくるとふと「ここで飛び込んだら楽やろな」と思うわけよね。

白坂
そうそうそういう感じ。 でもそういう信頼の気持ちがずっと私を支えてくれていたんやと思う。

守田
苦労されるなかで信頼されることのありがたさとかそれも知ってきはったんやね。

白坂
そうですねえ。分かります。
いまやはり、細かい政策とか考えてきて、結局はそやけどね、やっぱり貧困なんやなと思うねんね。みんな貧困やねん、貧しいねん、結局。だから最低賃金もあげなあかんし福祉も充実せなあかん。 でもとりあえずみんな本当に大変な状況なんやから、みんなもっと要求を出していいと思うねん。なんでみんな「なんとか食べていけてるし」とかいうことであとは「自己責任」となってね。

守田
自己責任論でみんなずいぶんやられてるよね。

白坂
そう。やられてると思う。

守田
生活保護とかね。まずこの言葉自身があかんけど、その受給資格を持っている人の2割ぐらいしか受けてない。人に頼ったらあかんと言われて。 しかし人生、子どもの頃や年老いてからは頼らないといけないのは常識なんやし、人が人に頼ることは当たり前のことなわけやんね。だから憲法で保障された権利はいろいろとあるんやけれど、みんなその行使をためらってしまっている。

仲間と共に(白坂さんFacebookより)

● 岩盤のような封建的意識があるけれどリスペクトで越えていける

白坂
そうそう。私は「日本にはまだ民主主義がちゃんと育ってへんな」と思うことがあんねんね。封建制のような考えが岩盤のようにはびこっているなと町の人と話していたら思うねん。

守田
それはどんな意味?

白坂
そやなあ。例えば町内とか自治会とか、それが一番身近な政治やけど、そういうのって町の有力者とか地元の旧家の人とか、そういう人がやってるわけよね。おかしいでしょう。その発想から変わらんといけんと思うし。 たぶん私が市議会に出たときも「どこの誰やねん」と言われるんとちゃうかな。でも「どこの誰でもええやろ」と言いたいよね。町内会とか身近なコミュニティの中での政治がね、ぜんぜん自分たちの手につかめてないし。そこをつかまないとほんまの草の根なんてないですよ。そこんところをもっと見ていかなあかんと思うねん。そういう意識を持っている人たちが本当にビックリするぐらい多い。 でも私はね、いま保守の人たちからもけっこう支持されてるんですよ(笑)

守田
なんで?

白坂
たぶんね、そういう人たちも住環境や自分たちの暮らしを良くしたいと思う気持ちは同じなんですよ。みんな有権者です。

守田
そうです!!

白坂
みんな生活者です。だから私はそういう人たちともどんどん喋ってるし、共感しているし。

守田
素晴らしい!

白坂
それでそういう中で自民党のポスターと私のポスターを並べてはってくれたりとか。

守田
わあ。良いなあ。

白坂
そんな「異常事態」が起こっていて。生活者として手をつなくというのは同じことやし。

守田
それはたぶんね、白坂さんが身に着けているものとして、人をすごくリスペクトしはるんやと思うんですね。

白坂
そうやな。自分以外みんなリスペクトですよ。私。

守田
さっき「私のいいところをみんなが見てくれようとしている」と言ってはりましたよね。「私に魅力があるからみんなが私を見ている」というのではなくて、相手の能動性としてそれを捉えている。そうやっていつもちゃんと相手を見てきはったから、逆に相手も「この人はちゃんと自分を見てくれる」と思えるんちゃうかな。そう思うんですよね。

白坂
ああ。お互いさまかもしれないですね。

守田
僕は篠山市で原子力災害対策検討委員会で活動してきたけれど、めっちゃいい経験で。保守の人たちもたくさんいて一緒にやってるからなんよね。市長も保守の方たちに推薦されている人で。 それで保守の人たちの思いや考え、積み上げてきたことを学ばせてもらうことができた。リスペクトできることがたくさんあった。そしてそこを踏まえたら、多くの方たちが反対に僕を尊重してくれて。

白坂
そうですよね。私自身はぜんぜん保守じゃないですけどでも人の大切にしているものをちゃんと見ないとね。何が必要なのかということは見えてこないと思うのですよ。その人がなんでそれを大切に思っているのか。その人が大事にしたいのは何かと、その価値観をまず認めること。それをしないと本当にその人に対して提案なんてできないですよ。それはね、企業経営として当たり前ですよ。

守田
なるほど!

白坂
顧客対応とか取引とか売り込みとかね。

● 共闘関係を豊かに広げていくために

守田
この白坂選挙は一番新しい形だと思うのですね。共産党の支持があり、社民党の支持があり、新社会党の支持があり。いわゆる「新左翼」の人々の支持もある。その上、保守の人たちからも応援を集めている。 でも僕も新しいことにチャレンジしているんですよ。

白坂
そうなんや。それはどうな風に?

守田
今回の選挙で、僕は共産党の応援を市民の側がどう能動的にできるか、いろいろなことを試みているんですよ。 共産党はすでに多くのものを積み上げてきているから、選挙になるとカチっとした行動ができる。反対に言うと、外からはどうしてもすでに出来上がったものをお手伝いする形にしかならない面がある。
それに対して無所属でたちあがった人を応援する場合は、自分たちでいろんなことを決めて行動していく楽しさがある。もちろん「あれもない、これもない」という大変さとセットだけれど、でもこの楽しさは大事なものだと思うのですよ。 それをすでに選挙においてさまざまなノウハウを持っている共産党の応援の中で、いや応援というよりもっと自分の選挙として担う場合にどうすればいいのか。
実はインタビューもそれで始めたんですよ。共産党がやってないことをやろう、候補者の個性をみんなの前に引き出させてもらおうと思って。僕は前から共産党の人たちはもっとそれぞれの個性を出した方がいいと思っていたんですよ。

白坂
そうやね。党派選挙、とくに共産党の選挙の面白くないところは、みんな横並びに見えるんやね。同じ政策を言う。共産党の政策なんやから当たり前なんやけど、そうしたら失礼やけど「わざわざあんたから聞かんでもええわ」ともなってしまう。
それがとても強いように思うんよね。でも若い議員さんでもずいぶん工夫して自分なりのやり方を試みようとしてはる。そういう方もいますしね。なんかそれを見ていると期待できるなあと思うのですよね。
それに経験を積んだ方の中にもすごく柔軟な人たちがいて、その人らがどんどん中心になってきてはる。そういうところから変わりはりつつあるのかなとも思いますね。

守田
僕がそうやってなんとか共産党の選挙を市民が能動的に担う回路を切り開こうとすることに対して「京都では共産党の議員が増えてもオール与党でなにもかも否決されてしまう。だからなんとしても無所属議員を作る可能性を追求しないと」という方もいます。その思いもよく分かるのですよね。
それで今回の連続インタビューの中で井坂さんと話していたら、その点を日本共産党京都市議団が第一党の立場になることで越えていきたいと言われてました。「第一党からは民主主義の常識から言えば議長も出せる。それだけ民意が集まっていることがはっきりしたらそうそうすべてを否決することなどできなくなる」と言うのです。なるほどなあと思いましたね。

僕の戦略は災害対策をみんなで進めることなのですよ。だって災害対策には右も左もないからです。それで北区や左京区で共産党の方と一緒に災害対策の企画を開いているのですけれども、そのときに「ぜひ共産党から保守の方たち、とくに消防団の方たちなど災害対策を担っている方たちに声掛けして欲しい。ダメもとで良いから」と言っているのですよね。そうしたらこれまで共産党などの企画に一度も来たことのなかった地域の方が参加してくれるようにもなった。それだけ北山がひどいことになっているからでもあるのですけれどね。

白坂
私も年末に東山区の消防団分団を全部回ったんやけどね。どこも保守の方たちばかりで。でも分団長さんとかみなさん本当に真剣に考えてはってね。いろいろと意見が合うのですよ。それでツーショットを撮ってもらったりね。

守田
いいですねえ(笑)。まずはそこからですよ。すぐに支持してくれなくても、「ああ、この人はちゃんと考えてはんねんな」と思ってもらえたら次の可能性が開ける。

白坂
そのときは共産党の方と一緒にまわったんやけども、私は無所属でそれはすごくやりやすいなと思ってね。無所属やからこそ、代々、自民党支持の方からも応援してもらえるのですよ。 もちろん私は共産党にシンパシイも強く感じているけれども、それでも共産党がもたれている偏見をなくすためには市民の力が必要やと思うのね。それに私自身、組織がすごく苦手やし。

守田
でも組織を作ってはりますやん。会社を作って。だから組織のことはよう知ってはる。

白坂
それはそうやね。でも私は組織に入って組織のために動くとかは苦手なタイプやと思ってます。そういうことはできないかな。

それでこの間、訪ねていったところは代々の保守で安倍さんのポスターも貼ってあって。「うちは代々の保守や」とおじいちゃんが言わはんねんけども「せやけど今回は市議はあんたに絶対に入れる」と言ってくれはったんです。

守田
おおおお。すげえ!

白坂
すごいやろ(笑) 
他の方でもあえて自民党のポスターと私のポスターを並べて貼ってくれてたりするんですよ。

守田
面白い!むっちゃ面白いですね。

白坂
やっぱりね、何かを大事にしたいと奥底で思っているところに触れればどんな人とでもつながっていけるし、そこんとこをみて、すべてを再編していく形ができたら面白いなと思うんですよ。

守田
そういう時代なんちゃうかな。

                          にぎやかな街頭行動(白坂さんFacebookより)

続く

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明日に向けて(1672)貧しい人が希望を持てる社会を作らんと!(白坂ゆうこさんインタビューその1)

2019年04月04日 07時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190404 07:30)

統一地方選前半戦がいよいよ終盤に差し掛かっています。そんな中でインタビューシリーズを続けているのでここからは1日に連続した投稿を行わせてください。流量が増えてしまってすみません・・・。

さてこの統一地方選に向けて候補者インタビューシリーズ、今回は京都市東山区で立候補している白坂ゆうこさんにお話をうかがいました。白坂さんは昨年、福山和人さんをみんなで推して奮闘した京都府知事選でつながった仲間たちに出馬を依頼され、共産党の

支援を受けつつ無所属で立たれました。関西無所属ネットワークにも参加して頑張っています。以下、白坂さんの話をお聞きください。

白坂さんの事務所でツーショット

***

守田
すでに京都市議選も後半戦に入っていますが、選挙ではどうしても政策などを主要に話す必要があるから、パーソナルな人となりなどが出しにくい面もあります。それでこの場ではどちらかと言えばそちらを語っていただきたいと思います。まずは何よりなぜ立ちはったのか教えてください。

● 貧しい人を思い、悩んで、悩んで、立候補を決めた!

白坂
立ちあがるまですごく悩みました。仕事しているし、しかも昼夜のダブルワークをしているから。仕事は会社経営と飲食店(ノーム)の経営です。ノームの方は個人経営なんやけど、会社の方は経営責任もあるしね。なかなか手を抜けないので悩みました。

守田
なんでそれでも立とうと思ったのですか。

白坂
普通の市民が被選挙権を持っていながらなかなか行使できない現実があるじゃないですが。それは私のような理由だと思うのですよ。あるいは子どもがいるとか、親の介護をしているとか、立つのを許さないプライベートな事情があって、選挙に出馬できる人はそこで限られてくる。だったら普通の人が候補者になるためには何をクリアしていかなあかんのかということを自分が身をもって試してみなと思ったのですね。

守田
おおお。

白坂 私は福山和人さんの京都府知事選の応援に入ったのですね。しかも福山さんが候補者として決まる前に、他の方にも「出て下さい」とお願いにいったりもしていたのですよ。「誰か良い人いいひんかな」という話をしていたわけですけれど、「自分はその立場にな

らない」と思っていたから気軽に考えて、「なんで出てくれはらへんのやろう」とか「やってくれはったらええのに」とか無責任に言っていたわけですよ。 そういうことも自分に問うたんやけど、それでも「能力的に政治家の仕事をこなしていけるんやろうか」「そもそもそれまでの候補者活動も耐えられるのかなあ」と思いましたね。ぜんぜん未知数で分からなかったし。ちょうど家族の体調不良なども重なっていた

し、その辺が悩んだことですね。 でもいろいろな活動をしたり会社をやったりしてきたわけやけど、そんなときはみんなで役割分担をしてきたわけですよね。私は社長をやったりしていて。それならそういう役割分担の一つとして「候補者をやってみない?」と周りから言われたと捉えてみようと思ったわけです。

守田
要請を受けて出馬にいたったのですね。

白坂
そうです。「つなぐ京都」(守田注 福山選挙のときに起ちあがった市民と野党の共闘による福山支持母体)や「ユナイト京都」の仲間とかに要請されて。

守田
ビックリしましたか?

白坂
それまでも「選挙に出たらいいのに」とかいうことは冗談半分に言われていたのですよ。だけど「話があるんやけど」ときちんと言ってきて真剣に向かい合ったのは初めてやったから、「これは現実として考えなあかんのやな」と感じました。 本当にいろいろなことを考えました。私のような中小零細企業には、大企業では働けないような年を取った方とかいろいろな方がいてはるんです。年金だけやったら生活がしんどいし少しだけ働かせてとか、母子家庭で子どもの奨学金の返済のため土日もちょっと

だけ働きたいとか、いろんな事情がある方がこられていました。いまも不登校で学歴は中卒やけどほとんど学校にいってなくて、字も満足にかけない方とかをできるだけ雇っているのです。

守田
素晴らしい。

白坂
だけれどそんなに儲かってなくてね。それでも雇っていたのです。赤字経営でも自分の身銭を切って会社をまわしてね。それでやっと少し黒字になったけど最低賃金ぎりぎりぐらいしか払えへんねんね。「ワーキングプア製造機」みたいになっているわけ。そんなふうになりたくないけど。でもいまも私の給料もでないぐらいの状況から、ようやっと給料が出るかなぐらいになった状況やしね。 それでも困っている人がたくさんいてて、「最低賃金でもなんでもいいから雇って」と言ってきはる、それでようやく黒字になったから。でも大したことはできない。ちょっと儲けがあったときとかはみんなで分けてボーナスで出して全部使っちゃってるわけやけど。とりあえずみんなの生活費をちょっとでも増やそうという感じで。

立候補の話が来た時に「私あとどれぐらい働けるやろうかな」と考えたんです。せいぜい10年かな。5年か10年か。そしたらあたしはこの困っている人たちにどれだけのことがこの間にできるんやろうと思ってんね。 私は「世の中の仕組み変えないと本当にダメよね」ともう前からずっと思ってきたんです。でも自分が仕組みを変えるための候補者にまで踏み出す勇気はなかった。だからずっと候補者を応援するだけやった。 でももっと積極的に、そういう困っている人たちがどうにかなれるように、立候補して政治家になることをめざして、それで世の中が一歩でも二歩でも前に進めたら、私があと5年、10年会社をやるよりもいいかもしれないと思たんです。

守田
おおお。素晴らしい。

白坂
会社もそういう活動も、私はみんなコミュニティやと思ってるんですよ。だからそういう中で自分がコミュニティの一員としてみんなのためにできるだけのことをするとそれだけのことなのですけれども。

夜桜と共に。素敵な街宣(白坂さんFacebookページより)

● 大変やけど私は幸せもの

守田
それでやってみてどうですか?さきほど「身をもってやってみる、試してみる」って言われましたよね。まだ渦中ですけれどもどうですか。やってみて。

白坂
もうねえ、通っても落ちても、「候補者になって分かったこと」という本を書かへんかと関西無所属ネットワークのみんなに言っているんです。自分たちがやったことで分かったことが、これから市民が政治に参加するときの一つの資料になるかもしれないから。

守田
そんなんぜひ協力させてください!

白坂
お願いします(笑)
これまで市民が候補者になって、それで成功した時の体験談は語られているとは思うんやけど、市民が政治に参加した時、しんどかったこととか、そうならな分かれへんかったこととか、そういうことがいっぱいあるし、みんなに知らせたいなと思って。

守田
それってとても共感するんですよね。僕は前回の京都市長選のあとにみんなで「ウチら困ってんねん@京都」というグループを立ち上げて、京都市政を変えるために活動を重ねてきているんやけれども、そこで選挙後に「ぶっちゃけ選挙話」という企画を何回かやってきたんですよ。候補者だった人たちを呼んで思いのたけを話してもらって。ときにはクローズドでオフレコにしてね。 候補者は支持してくれた人のことをなかなか悪くは言えないですよね。自分が立ちあがった時の経済的事情や苦境などもなかなか表に出せない。でもそういうことをぼかした形でも伝えていかないと選挙の苦労がみんなに共有化されない。それでそんな企画を試みたのです。 候補が抱えた辛さとか特有の孤独感もあると思う。とくに何もないところから起ちあがった市民が何を苦労したかの経験を蓄積することはとても大事だと思うのですよ。

白坂
私もね、会社の人がどう思うか不安やったんですよ。「自分たちを見捨てるのか」とか思わないかと。実際に初めはそんな雰囲気も感じました。 でもみんな分かろうとしてくれてたし、いまはみんなは私の選対や選挙応援には入ってないけれど、私がいない間、なんとか切り盛りすることで私を応援しようとしてくれていることがすごく伝わって来るんです。ノームもそうやし。だから私は候補者になって、

「大変でしょう」と言われるし、そりゃ大変は大変やけど、でも「すごく幸せ」と思ってます。

守田
それはどういう幸せ?

白坂
こんな経験、誰でもができる経験じゃないでしょう。得難い経験をさせてもらっている。みんなが、とくに選対の人たちや支援者の人たちが私を肯定的に捉えようとすごく思ってくださるとかね。とてもありがたいなと思う。 「ちやほや」ではなくて、私と言う存在を大切にしようとして下さっているのです。それが伝わってくるので、しんどいけれど「私は幸せもんや」と思ってます。

守田
そう捉えられることにも、白坂さんのこれまでの苦労が反映しているのでは?「ちやほやではなくて自分を肯定的に捉えようとしてくれている」と捉えるその捉え方に。

街宣の一コマ。白坂さんはいつも明るい(白坂さんFacebookページより)

● 何度か地獄を見たけれど一生懸命にやっていたら必ず助けてもらえる

白坂
そうやねえ(笑) 会社が大変やったときは本当に地獄でしたし。

守田
地獄・・・・・

白坂
地獄でしたよ。たぶんね、中小零細企業の経営者は10年もやってたらね、1回や2回は地獄を見てますわ。

守田
どういう感じなのですか。その地獄は。

白坂
私は会社の後を継いだ時が急だったのですよ。母親が脳梗塞で倒れて。その前に父親が亡くなっていて。両親が中心になってやっていた会社だったのですけれど。私は会社の一部には関わっていましたけど、全体の経営には関わってなかったのです。普通は片腕になっている専務などがいるはずなのですけれども、その人も肺がんで亡くなって。 私は両腕のないだるまのような感覚が自分の中にありました。それで業績を開けてみたら累積赤字やったんですよ。古い百貨店商売をやってましたから、いくつもの店舗を持っていたのですけれども、百貨店ってこのところずっと業績が右下がりですよね。それでどの店舗も赤字。黒字にしようとテコ入れしても、打ち上げ花火みたいなことはできるけど結局は続かないし借金返せへん。借金はそれほどしてなかったのですけれども、とにかく借金を返してたら赤字がどんどん増えるだけ。

そういう中で辞める人もいて。私も「あと1年後の段階で辞めたら退職金は払えないからいまなら」といって辞めてもらった人もいるし。ほんまにそんな状況で、それでほとんど人を入れ替えることになったんですよ。結果的に。 でもそれがかえって良くて。何十年も半世紀以上もやっている会社なので、古い体質が変えられへんでね。私はインターネットに切り替えをしようと思って。百貨店に頼っているだけでは持たないと思って。でもみんなネットなんかでけへんねん。 そういう中でほとんど誰もいなくなって、売り場の方に少し残すばかりで、本社の方は私と二人ぐらいで私が経理から労務から営業から仕入れから全部やってたんです。

守田
わあ。すごいなあ。

白坂
それでも赤字で。それを全部、私の貯金を崩して埋めて。もう今度は家を取られるかなぐらいの状況で。ほんまに何度か首をつりたいとか飛び込みたいとか思いますよ。別にうつでもなくてもう逃げたいというか。にっちもさっちもいかへんというか。それでそういうことを何度か経験してます。
でもなんとかそんなときに、ノームにある大企業におったSE(守田注 システムエンジニアのこと)の子がお客で来ててね。その子は仕事のことで悩んで休職中やったんですよ。それで私の話を聞いて「僕、働かせてもらえへん」って。 「給料最低賃金しか払われへん。SEの給料なんか無理よ」と言うたんやけど「かまへん」て言うてくれて。それにいまいてる経理の人も友だちやけど「給料別にいい。払えるだけでいいから、私、今の職場を辞めて行ってあげるわよ」と言ってくれて。 みんながそうやって助けれてくれてね。ほんまにありがたいです。そうやって3年、4年かけてやっと黒字に転じたんですよ。

守田
それが何年ぐらい前のことですか。

白坂
それが3年ほど前かな。

守田
それじゃあ、好転したばっかりやったんや。ちょっと前まで地獄を見てはった。

白坂
うん。

守田
そうですか。うーん。

白坂
そういう中でも私が平気で仕事をできん人を雇ったりするから、みんな、イライラしてたやろなと思うけれど(笑) でもそういうのんが私はなんか、人ってね、ほんまに捨て身で一生懸命にやっていたら必ず助けてもらえるというのが人生で何回かあったので。捨て身で一生懸命にやらんとダメですけどね。

守田
それは僕も良く分かります。

白坂
あるでしょう。そういうの。

守田
「人事を尽くして天命を待つ」・・・。そうしたらほってはおかれないというか。

白坂
なんかそういうのはあったし、でも過ぎてみるとけっこう私も「喉元過ぎれば熱さ忘れる」なんやけど(笑)

今日も町を走る「つなぐ東山」の白坂ゆうこ号(白坂さんFacebookページより)

続く

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