守田です(20201203 09:00)
連載「原発から命を守るために」の6回目をお届けします。
● 政府は福島原発事故が最悪化した場合、半径250キロ圏にまで被害が及ぶと推測していた!
原発が事故を起こしたらどれぐらいまで被害が及ぶのでしょうか。この点で参考になるのは2014年に福井地裁樋口英明裁判長(当時)が出した大飯原発運転差止判決です。
この時、樋口裁判長は「原発から半径250キロメートル圏内に共住する原告166名の人格権との関係」で大飯原発の運転を禁止しました。樋口さんは事故が250キロメートルにも及ぶと断定したのでした。
ほとんどの地域が原発から250キロ圏内 東京新聞2014年5月22日
東京新聞2014年5月22日
根拠となったのは2011年3月25日に菅直人総理大臣から「福島原発事故が最悪化した場合をシミュレートせよ」という命を受け、内閣府原子力安全委員会委員長が作成した「近藤シナリオ」でした。
福島4号機燃料プールの放射能が全て出てしまうという想定で、原発から半径170キロ圏内が強制移住、東京を含む250キロ圏内が希望者を含む避難ゾーンになると想定されていました。
あの時政府はこれを私たちに隠しつつ対応策を検討していたのですが、樋口さんはこのシナリオをも根拠に判決を出しました。
毎日新聞 2011年12月24日
● チェルノブイリ原発事故の被曝被害は1000キロ圏を越えた!
ただし250キロも絶対的な数値ではありません。例えばトルコの黒海側のシノップに、三菱重工とフランスのアレバが合同で原発を作ろうとして激しい反対運動にあい、最終的に撤退しました。
強い反対の声が上がった理由の一つは、黒海沿岸部の人々がチェルノブイリ原発事故で激しく被曝し、がん患者などが多いことでした。その地域までチェルノブイリから約1000キロ。いやもっと遠いところまで放射性物質は飛びました。
シノップの位置 毎日新聞2018年8月2日
だから250キロとても「安全ライン」ではありません。それでも日本で原発からせめて半径250キロの円をひいただけで、沖縄や離島と北海道東部をのぞくほぼ全域が入ってしまうことが分かります。
反対に言えば、私たちは私たちの人格権に基づいて、多くの原発の運転を止めることができるのです。
樋口さんはこの点を教えてくれました。この権利を行使して、日本中の原発を止め、次々と廃炉過程へと送りこみましょう。
発言する権利は全自治体、そして全住民にある 東京新聞2015年12月25
#福井地裁 #大飯原発運転差止判決 #被害は半径250キロ圏 #原発再稼働反対 #樋口英明
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