明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1954)東京経済界トップが柏崎刈羽原発の再稼働に「強い期待感」を示すーあまりに無責任

2020年12月18日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1901~2100)

守田です(1218 23:30)

経済界トップが原発を視察-強い憤りを感じました!

コロナ禍にありながら、止まっている原発を動かそうと経済界が無責任きわまりない動きを示しています。
12月14日に東京商工会議所の三村明夫会頭はじめ13名他が、柏崎刈羽原発を視察しました。
東電が来年4月にも7号機を再稼働しようとしているのを受けてのことで、「これだったら安心だな」などと述べ、再稼働へ強い期待感を口にしたそうです。

強い憤りを感じました。何よりこの方たちは、この国の民衆を守る気がまったくない。
いや産業界だって守る気がない。当然にも持つべき倫理観を喪失しています。
そもそも東日本が壊滅しかけた福島第一原発の事故から何も学び取ろうとしていない。


東京経済界のトップが柏崎刈羽原発を視察 再稼働に“強い期待感”示す 新潟ニュースNST 20201214
https://youtu.be/zGnCFokAyYg


経済界はモラルが崩壊している

最近、こうした産業界のモラル崩壊が極度に進んでいるのではないでしょうか。
端的に自分たちが生きている間だけ、法外な儲けを手にできればいいとしか考えていない。子々孫々のことなど考えていないのです。
それで長い将来を見通した時に、利益などほとんどなく、不利益や危険性ばかりを未来世代に押し付けることを平気で続けている。

福島第一原発が、いまだに線量が高すぎて炉内に入ることすらできず、事故原因の確かな分析もできていないのに、再稼働を求めていることもそうです。
そもそも三村会頭は「我々のスタンスは昔から柏崎刈羽を含めた原子力発電は日本経済にとって絶対に必要だと固い信念」などと述べています。
今回も視察をして安全と感じたからではなくて、もともと「昔から絶対に必要だと固い信念」を持っているので「これだったら安心だな」などと述べたにすぎないのは明白です。


三村明夫会頭の発言はモラルを欠いている


柏崎刈羽原発は巨大地震に襲われた過去を持っている

この原発がとくに危険なのは、巨大地震がたびたび起こる「ひずみ集中帯」の上に位置していることです。
実際に2007年7月16日に起きた新潟中越沖地震(M6.8  最大震度6強)の直撃を受け、3号機変圧器が黒煙を上げて燃えたことをはじめ、さまざまな被害が出ました。
重要なのは設計時の想定を大きく上回る加速度が各所で計測されたことです。

具体的には3号機タービン建屋1階で2058ガル(想定834ガル)、地下3階で581ガル(想定239ガル)、3号機原子炉建屋基礎で384ガル(想定193ガル)です。
このためこの時、東電は会田洋・柏崎市長より、消防法に基づく緊急使用停止命令を受けて運転を止めました。
この後、各炉は長い間、再稼働できませんでした。7号機がやっと動いたのは2年5か月後の2009年12月28日、1号機が2010年8月4日、5号機が2011年2月18日。ダメージの深さが現れています。

2007年の中越沖地震で3号機変圧器から黒煙が 朝日新聞より


● 免震重要棟が耐震性が不足して使えない??

このような地震の巣の上にある原発を絶対に動かしてはなりませんが、それでも同原発を稼働させたい東電は、中越沖地震の教訓から作った「免震重要棟」を緊急時の指揮所に使うとしてきました。
ところが2014年ごろにこの免震重要棟が震度7の地震に耐えられないことが発覚、これを黙り続けていたものの隠しきれなくて2017年2月に、重大事故時の免震重要棟の使用の断念を公表しました。
これに変わるものとして5号機建屋内設置された、もっと手狭な「緊急時対策所」が使用されることになりましたが、この建物は免震構造ではありません。

耐震構造だけでは、地震に建物は耐えられるけど、中は揺れてしまい、構造物が壊れたり、そこで指揮をとることができなくなってしまうもの。そもそも東電は「福島原子力事故調査報告書」(2012年6月20日)でこう述べているのです。
「免震重要棟は、緊急時対応のために設置した免震構造の施設で、震度7クラスに耐える設計としており、通信設備、TV会議システム、自家発電設備や高性能のHEPAフィルタ付きの換気装置などを装備し現地事故対応の拠点となったが、仮に本施設がなければ福島第一原子力発電所の対応は、継続不可能であった。」・・・それがないままに柏崎刈羽原発を再稼働するという。まったくもって酷い話です。

なおこれらについては、「柏崎刈羽原発運転差し止め訴訟」の「原告準備書面(53)緊急時対策所の欠陥と被告の主張の信用性」に詳しいです。ご参照ください。
http://www.shomin-law.com/katudoukashiwazakikariwasashitomejunbishomen53.html


免震重要棟が使えないことを報じるANNニュース2017年2月 規制委員会田中委員長(当時)は東電は非常に重症と述べたが・・・


柏崎刈羽原発を動かしてはならない

このように柏崎刈羽原発は地震の巣の上にありながら、免震重要棟ももたずに再稼働されようとしています。
またこの他にも、免震重要棟の代替施設となった5号機建屋内緊急対策所が、そもそも6,7号機の中央制御室から200メートルしか離れておらず、重大事故時の放射線防護の点などでもまったく耐久性を欠いていること。
あるいは基準地震動の設定も極めて甘く、ひずみ集中帯で頻発している地震に十分に絶えられる耐震性があるとはとても言えないことなどもあげられます。

さらにそもそもこの原発はとても長く停止しており、その点でも再稼働に大きなリスクを抱えています。
それやこれや安全性の面で、問題山積の原発です。それを「これだったら安全だな」などと言う三村東京商工会議所会頭は、経済人として持つべきモラルを著しく欠いているといわざるを得ません。
「地震の巣の上にあり、免震重要棟も持たない柏崎刈羽を動かすな」の声を強めましょう!


原子力規制を監視する市民の会のブログから

#柏崎刈羽原発 #東京商工会議所 #免震重要棟 #緊急時対策所 #新潟中越沖地震

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