明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1376)飛行機での宇宙線被曝に気をつけよう!

2017年05月01日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1300~1500)

守田です。(20170501 23:30)

すでにお伝えしているように3月末から4月にかけてトルコに行ってきました。今回はトルコ航空を使う必要があったので、伊丹から成田に飛び、そこからイスタンブールに往復しました。我が家からは関空が近いのですが、最近になってトルコ行きの便が飛ばなくなってしまったのです。トルコへの日本人観光客ががっくり減ってしまったからです。

さて今回、機内にガイガーカウンターを持ち込んで、道中で宇宙線を計測しました。前にもドイツとの往復で測ったことがあったので、だいたいのことは分かっていましたが、今回は発表を考えて少し多めにデータをとりました。なお測定に使用したのはRadex1706です。

飛行機(旅客機)は高々度を飛ぶので宇宙からやってくるさまざまな放射線(宇宙線)の影響を受けます。宇宙線は概して高エネルギーで、その中のものが空気中の物質にあたり二次的にガンマ線なども発せられます。ガイガーカウンターが検知しているのはこれだと思います。

宇宙線は地上にいるときは空気の層がバリアになるのでかなり弱められます。これに対して高度が上がるにつれて空気も薄くなるため、その分、強くなります。だいたい1500メートルあがるごとに線量が倍になると言われています。

航空機がどれくらいの高度を飛ぶのかというと、JALの説明では1万メートルが目安として説明されています。高い所の方が、空気が薄くて機体への抵抗が小さいので燃料が少なくてすむからですが、だからといってそれ以上上がっていくと今度は空気が薄すぎてジェット燃料に十分酸素を混合させられず、燃焼力が弱るので、だいたいこれぐらいの高度に落ち着いているようです。

ただし高いところまで上がってそこから降りてくるのにはそれなりの時間がかかります。このため航路の短い国内線ではあまり高く上がらず、1万メートル以下ぐらいで飛び、反対に長い距離を飛ぶ国際線では11000メートル以上ぐらいを飛ぶ事が多いようです。ただし国際線の高さ、国内線の高さが、それとして決められているわけではなく、あくまでも上昇、下降の都合のようです。

それでどれくらいの値になるか、参考数値としてとらえていただきたいのですが、成田空港からトルコに向かったときの数値を示したいと思います。なおメートルをm、フィートをfと記しています。

国際線

高度7315m(24000f)
0.53μSv/h

富山上空辺り
高度8229m(27000f)
0.87μSv/h

高度8839m(29000f)
1.03μSv/h

高度9448m(31000f)
1.29μSv/h

高度9753m(32000f)
1.54μSv/h

高度9753m(32000f)
1.70μSv/h

中国上空辺り
高度10972m(36000f)
3.46μSv/h

高度11582m(38000f)
3.36μSv/h

高度5638m(18500f)
0.80μSv/h

だいたい11582m(38000f)で巡航していましたが、3.40μ/Sv前後の値でした。前にドイツから日本に戻って来た時は同じぐらいの高度で4.00μ/Svにもなったと記憶しています。

ただしこのガイガーカウンターはきちんと放射線値を測るためには80秒の計測を必要とします。今回はそれほど厳密に測定することができなかったので、概ねこんな感じだと、参考値としてつかんでいただければと思います。

帰りの成田からの国内線では、飛行機がどこを飛行しているのかもできるだけ把握するようにつとめました。以下、成田から伊丹に向かう途上でのデータです。

国内線

鎌倉上空辺り
高度9448m(31000f)
1.16μSv/h

大磯上空辺り
行動9753m(32000f)
1.36μSv/h

小田原上空辺り
高度9753m(32000f)
1.49μSv/h

裾野市上空辺り
高度9753m(32000f)
1.59μSv/h
出発から16分

愛宕山上空辺り
高度9753m(32000f)
1.63μSv/h

寸又峡辺り
高度8534m(28000f)
1.19μSv/h

浜名湖上空辺り
高度8534m(28000f)
0.98μSv/h
成田から25分

知多半島上空辺り
高度8077m(26500f)
1.06μSv/h
成田から29分

名古屋湾上空辺り
高度7467m(24650f)
0.81μSv/h

高度7162m(23500f)
0.74μSv/h

津市上空辺り
高度5943m(19500f)
0.58μSv/h

伊賀市上空辺り
高度4917m(16134f)
0.41μSv/h

成田から伊丹に飛ぶ場合、16分でもう富士山の前に至り、富士山を通過したあたりから降下を開始します。なんというか、あっという間です。

しかし国内線といっても札幌から沖縄まで飛ぶにはもっと高いところまで行くのかもしれません。このため国際線は高く、国内線は低いと決めつけるのは禁物ですが、しかし近距離のフライト、東京—大阪間ぐらいなら、高いところに至るのはわずかな時間だと考えて良いと思います。

あと飛行する緯度によっても違いがあるようです。地球の北と南の端、極点に近づくほどより宇宙線を浴びやすく、赤道付近の方が低いと記されています。

 

さて問題はこうした宇宙線の身体への害はあるのかどうかです。僕は間違いなくあると思っています。

今回、ガイガーカウンターで宇宙線を測りましたが、これは宇宙線が大気にあたった結果、二次的に生じたガンマ線を検知しているわけで、測れない他の放射線の影響もあるはずです。ですから「11500メートルは3.5μ/Sv」と言ってしまうことには危険性があるように思います。どこを飛ぶのかによる違いもありますが、それよりも大切なのは、あくまでこの数値は、この高度のガンマ線がこの値だったということを示しているだけで、この数値で宇宙線のすべてが把握されたことにはならないという点です。ただしそれ以上、詳しいことは僕もまだ良く把握できていません。

それでも国際線に乗った際に生じる「ジェットラグ・時差ぼけ」などの身体へのダメージの一部は被曝影響だと僕は強く思うのですが、これを裏付ける文献を探して、なんとNASAが問題にしていることが分かりました。以下の記事をご覧下さい。

 

『パイロットの放射線被ばく問題、浮上。NASA(米航空宇宙局)回避策提案』

http://tokyoexpress.info/2013/11/07/『パイロットの放射線被ばく問題、浮上%E3%80%82nasa米航/

少し引用します。

「ジェット機時代のパイロットの放射線被曝問題については『1990年代後半、EUでも取り上げられ2000年5月から実態調査が行われた』(BBC放送)。英国の有力な医学雑誌『ランセット』でもこの問題に警鐘を鳴らした。

白人パイロットだと飛行時間が5,000時間を超えると白血病の発症との因果関係がみられるという。皮膚がんに罹患する頻度が高いとも言われる。

FAA(米連邦航空局)がパイロットを原子力発電所で勤務する職員より年間被曝量は多いと見ており、『パイロットの職種を放射線作業従事者と扱う』(NASAニュース)が何よりの証拠だ。」

成田からイスタンブールの往復で約25時間飛びますから、これを200回重ねると白血病の発症との因果関係がみられることになります。はっきりとした関係があるわけです。

 

また僕自身、こうしたことを裏付ける証言を、先日、群馬県で講演した際に聞くことができました。

その前提として知ってまず知っていただきたいことがあります。日本の医師たちは概して放射線被曝への管理が甘く、内科医などしょっちゅうレントゲンを撮るので自らも被曝しているのですが、そのため顕著な影響が出ています。これは心臓の血管にカテーテルというワイヤーを通して、血管の弱っているところに補強材(ステント)を入れる手術を繰り返し行っていた医師から聞いたことですが、こんな証言が得られました。

「被曝の重なりで仲間の医師が白血病になったとか、そこまで深刻な話は聞いたことがありません。しかし確実に影響だと思われるものがあります。子どもが女の子しかできなくなるのです。そのため仲間が男の子を授かった場合、「もっと仕事しろ」とか「浴び足りないぞ」などと言われるのです」。

驚くべきことですが僕は同様の話を二人の医師から直接に聞きました。

これを前提に航空機内の宇宙線被曝に話を戻しますが、僕は群馬県での講演の中で、医師達から聞いたこの話をしたのですね。すると講演後に、ある航空会社で長い間、キャビンアテンダントをされてきた女性が寄って来て「守田さん。パイロットや客室乗務員も同じですよ」と教えてくださったのです。驚きましたが、さもありなんと思いました。

もっとも僕は、医師やパイロット、CAの被曝について、きちんとしたデータを持っているわけではありません。聞いた話しだけですので、どなたかより詳しいことを知っておられたら教えてください。

ともあれNASAの提案に加えて、実際に自分が聞いたこうした話から、僕は航空機内における宇宙線による被曝影響を危険なものとして捉えています。

 

それでは5000時間以上乗るパイロットに影響が見られるのは確かだとして、たまに利用する私たちの場合はどうなのでしょう。

ここでご紹介しておきたいのは、世界の放射線防護活動に絶大な影響を与えている国際放射線防護委員会(ICRP)が言っていることです。僕は、ICRPは内部被曝の固有のメカニズムを無視することで、被曝影響を非常に小さく見積もっていることなどさまざまな限界を抱えており、その体系への強い批判を行って来ていますが、そのICRPですら言っていることとして強調しておきたいのは次の点なのです。

「疫学から導出されている全ての推定値がそうであるように、名目リスク係数は特定の個人には適用されない」。(ICRP2007年勧告)

どういうことかというと、通例、語られているどれくらいの線量がどれくらいの人体への影響を及ぼすのかということは、いわば「平均的個人」に対して推定されていることで、現実の個人を指してはいないのだということです。被曝の感受性について、個人間に大きな差異があるためです。

この点を踏まえた場合、僕には航空機内の被曝で、無視できないダメージを受けられる方がおられると考えています。ただし自分の放射線感受性が高いか低いかも判別しようがありませんから、飛行機に乗るときは、誰でも被曝防護をされた方が良いと思います。

どうするのかというと、僕自身は大気汚染などから身体を守ってくれるあるアロマオイルを飛行前、飛行中に使用しています。とはいってもこれは西洋医学的な裏付けないものなので、このオイルに「被曝の影響を抑制する効能がある」と使うことをお勧めすれば薬事法に触れることにもなります。このためこの話は、あくまで僕が「なんか良い感じがすると思って使っている」程度でご紹介しておきます。

ではもっと一般的に勧められることとしては何があるのかというと、やはり身体の力をアップさせておき、被曝のダメージに耐えることにつきると思います。旅行前に体調をあげておくこと。帰って来てからもしっかり休んでダメージから回復しようとする身体の味方をしてあげることが大事だと思います。

さらに頻繁に飛行機に乗られる方、業務につかれている方の場合は、被曝の度合いを調べる電離放射線検診を受けられることをお勧めします。白血球の減少具合などから被曝影響を測ります。この検診自身に防護作用はないですが、身体に起こっていることをつかむには有効です。そしてその結果、深刻な状態が察知できたら、できるだけ飛行機に乗らないようにされた方が良いと思います。

これらについては電離放射線検診を行ってくださる医師とご相談ください。

 

ともあれみなさん。航空機を使う時には宇宙線による被曝にお気をつけ下さい。長い航路ほど被曝量は多くなります。

ただしこれを読んで「じゃあ、今度の東京—大阪間の旅は新幹線にしよう」と思われた方に一言。新幹線は東北や関東で走っている以外は放射線の影響はそれほどありませんが、しかし電磁波がすごいです。とくに窓際が高く、内側に少し身体をずらすだけで数値がぐっと下がります。これもまた僕が電磁派メータを持って車内計測して分かったことです。このため新幹線に乗る場合は、通路側の席に座られることをお勧めします。そうすると誰かが窓際に座るのでなんとも言えないのですが。

本来、これらは航空会社やJRなどが注意喚起すべきことですが、まったくなされていないので記事にしました。

みんなで、現代テクノロジーの負の側面から、身体を、命を守っていきましょう!

 

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2 コメント

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被曝、、 (えこ)
2017-05-03 11:26:50
取り急ぎ (Yahoo!ニュース 他より)

4/29午後 浪江町で森林火災
5/1 現在 強風により放射性物質飛散中。
とのことなのですが、、。
返信する
Unknown (梅谷)
2017-05-05 01:42:26
記事の配信ありがとうございます。
本記事(1376)に誤記入と思われる部分がありましたので、コメントを投稿させていただきました。
・「前提として知ってまず」
 →「前提としてまず」


「明日に向けて(1377)「南海トラフ地震と原発」のタイトルで徳島県各地でお話しします!(14〜16日)」にも、
・「新規性基準」
 →「新規制基準」
・「そものもも」
 →「そのものも」
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