守田です(20220406 10:15)
京都府知事選に挑戦しているかじかわ憲さんインタビュー4回目です。
かじかわ憲はいつも憲法と共にある 出馬記者会見にて
―コロナの中で保健所など公共の役割が鮮明になった―
守田
コロナから保健所の役割が見えたというお話でしたけど
かじかわ
そうなんです。保健所は地域にあって、地域の医療機関や自治体や福祉施設のあり方を統括して、地域で何が起こっていて何が必要なのかを判断し、もちろん必要な検査も進める感染症対策の最前線のコーディネーターなんです。それを国と府がどんどん潰してしまった。
再建するにはそのコーディネーターをどこに置くのかの論議をしなくてはいけなくて、まずは23カ所はすべて復活させないといけない。いま8か所ですからね。京都市内は1か所です。ひどい話です。
守田 司令塔を壊してしまったわけですよね
かじかわ
そうそう。そこをなおして最前線のそれをきちっと作っておけば、次に何をすればいいかは保健所が出せるんですよ。だって地域ごとに事情は違うもの。その地域ごとの判断のプロの集団ですよ、保健所は。私の政策にもその点を盛り込みました。
さらにやっぱり公契約条例にも光を当てたいんです。
保健所をかじかわ憲とともに作り直さねば
―公契約条例の持つ意味―
守田
どんな点に特に光をどう当てたいですか。
かじかわ
あれは京都の中小企業の社長さんたちのところをまわって、みんなが「分かった」と言ってくださった政策なんです。みんな辛い思いをしているんですよ。京都府や京都市から発注を受ける側やから、それに対して文句が言えないんです。
どんなに値段を叩かれて評価をされても、それに合うような見積もりをだすしかない。でもそれで予算が少なく収まったら次の年はもっと叩かれるんです。そしてその犠牲が。みんな労働者に行っていたんです。
それを京都府、発注者の側の責任で、グレードを決めて、ちゃんとした賃金が出せる、良い契約に切り替えるという制度なのですよ。
「そんな制度がありますよ」って、社長さんたちに紹介に回ったことがあります。中村和雄さんが出られた時の市長選挙の時でした。
あのときに公契約条例の説明で印刷業者さんを周りました。ほとんどすべて、200カ所かな。そしたら「京都の市民新聞を京都市が九州で刷っている」という告発の電話がかかってきたりした。「京都の業者は干されてるぞ」という電話でした。
社長さんたちは、「京都市が自分の責任できちんとした発注をしてくれたら付き合います」とみんな言うのです。
でもそんなこと言わずに、高い目線で値を叩いてくるから、「京都ではもう仕事はとれへんから大阪との境に工場を置きだしている」と言いました。だから久世の方にいったら新しい印刷工場があるんです。
ようは大阪の仕事をとりに行った方がいいものがある。京都の仕事をとりにいっても割りに合わない。とったら赤字でも公の仕事についていればくいっぱぐれはない。でも労働者にまともな賃金を払えない。
「払ってやりたい」とある社長さんが言うんです。それで「公契約条例作りますからね」と約束して周ったというのがあってね。中村さんとの付き合いの中でも一番大きなことでした。
守田
2012年の京都市長選の時でしたね。僕も参加させていただきました。
かじかわ
それで京都市は中村さんへの対抗から「公契約基本条例」というのを作った。でも名前を真似しただけで、中に魂をぜんぜん入れてないからね。雇用とか、賃金の最低ルールがない。
本当はあれは「良い契約をしますよ条例」なんですよ。「発注者側がちゃんと払います条例」なんですね。企業を支援して、まともな賃金を払えるように行政が支援しようという話なんです。これはもうすぐにもできるんじゃない?
今度の私の政策にはそういう中身を全部入れています。京印工という京都の印刷業者の組織があって、そこの工場を全部、周らせてもらったときにすごい印象を受けました。
京都の商工会、商工会議所を2020年に全部回ったときにもインパクトを受けました。だからね、今の知事がいい加減なことを言うと、現場の人の顔が全部浮かんでくるんです。「そんなことはないよ。現場は」と。
守田
すごいなあ
事務所開きで挨拶するかじかわ憲さん 守田撮影
ー京都府には、本来もっとたくさんの役割があるー
かじかわ
ある印刷会社さんは、細かい色目を出せる技術を持っているんです。ここの労働組合の労働者と話をさせてもらったら、あ、京都総評ではないんですけれど、この会社は京都の仏教の複写品を作る時の技術を持っているのだそうです。
世界に通用する技術なんだそうです。京都の老舗はそういう技術をたくさんもっているんですよ。印刷業は京都の伝統の地場産業の一つです。小さな業者が山ほどあるんです。繊維もそうですけどね。それをつなぐいろんな業者がその周りに広がっている。
碍子(がいし)にしたって、その京都の技術で会社を建てたのが京セラでしょう?京都の焼き物の伝統です。そのように京都の伝統産業が今あるいろいろな大企業も作ってもいるんです。
だから大企業は京都の町を見下ろしたらあかんのです。そこが自分の出身地なんやから。その伝統技術で育ててもらったんやから。
でもいま、西陣で使われている機械の部品が壊れたら、もうそれを作る工場がなくなっている。危機的ですよ。
舞鶴の交流会にて かじかわ憲はどこでもいつでも人の話を聞きます
太秦の映画村の大道具やらを作ったりしている労働者、あそこにうちの組合があって、そこの労働者が「これを文化と言うな。産業なんだ」と言うんです。
映画作り。大道具、小道具作り。十二単は東京で着せることのできる人がいないから、撮影するときは京都に持ってくるんです。多くのかつらだって京都でやっているじゃないかと。
でも今は大変で、雇用調整助成金で首をつないでますけどね。『水戸黄門』とか『大岡越前』とかの時代劇の、毎週放送のものが無くなってしまったのが大きいんですね。
それらが映画産業という地場産業として京都にあったんやけど、でもこれは、もうちょっと曲がり角を曲がってしまったかな。
守田
なるほど。「文化ではなく産業なんだ」と聞くと、はっとしますね。
かじかわ
京都市中だけではなくて、宇治茶も大変です。コロナで二番茶が出せなくなった。これまでは霜が降ってお茶がダメになるとか、生産地の都合で出荷できないということはあったけれど、消費地の方の需要がストップしてしまい、「出したいけど出せない」という経験はしたことがなかった。
あらためて京都市内が消費地で、その周りに産地があることが浮き上がってきた。これをうまくコーディネートするのは京都府しかないんです。でもそれがぜんぜん適切に動いていない。
由良川の周りが水没した時も、実はけっこうお茶がやられたんです。なにも宇治で宇治茶を作っているわけじゃない。京都の中にすそ野が大きく広がっている。それを宇治で集めて焙煎などして宇治茶になっているわけです。そういう流れがあります。
それをうまくコーディネートしていくためには、地域の産業の担い手の方に手伝ってもらわなければいけないのに、かつてそのために持っていた研究施設も、京都府が潰してきてしまった。
京都植物園だけではないんです。京都府が持っていた直営の研究所がもっといっぱいあった。畜産もそうだし、林業もそうだし、お茶もそうだし、そういうものを一つ一つ再建していかなあかんね。
京都府には良い役割がもっといっぱいあった。中小企業政策もそうです。
守田
しかしほんまによう京都府の細かいことを知っていますね。聞けば聞くだけびっくりするなあ。
かじかわ
好きなんよ。現場を見るのが。だからルポライターをする方の気持ちもなんだか良く分かる。現場で五感でものごとをつかむことが好きで。
守田
それはもう本当にその通りです。例えばそこに行くまで、そこの地名は自分の中で単なる記号なんですけど、いくといきなり鮮やかな色彩や匂いを伴うものになるんですよね。
ーかじかわ憲は車好きー
かじかわ
そうそう。行くと五感が働く。「あ、ここは道路の付け方が違う」とかそんなんが分かったりする。
そうだ。その五感の話や道路の話をするとね。私がプロフィールに書いてないことがあるんです。実は車が好きなんです。矛盾しているけど。
守田
何が矛盾なんですか。
かじかわ
いや、この環境問題が深刻なご時世に車が好きだなんて。でも昔から機械が好きで車のボンネットに頭を突っ込むのが好きだったんです。
だから人生の仕事を全部終わったら、ローバミニかなんかを買って、人生の最後に乗りたいなと思ってるんです。その時は娘が付きおうてくれそうなんですが。
守田
わあ、いいなあ。
かじかわ
そういう車好きが役に立って、阪神大震災のときは2トンロング車で現場に入りました。
守田
僕も4トンロング車で自動車部品を運送していたことがあって。そのころは、けっこう、フォークリフトの扱いもうまかったんですよ。
かじかわ
ええええ。それはすごいなあ。
でもプロフィールを書くときは「自動車」と書きかけて筆が止まってしまってね。
守田
いや、機械のことをきちんと理解していて、大事に使うことを知っていることはとても大事ですよ。
かじかわ
そうそう。地下に新幹線なんか通さなくても、ディーゼルでもコトコトとしっかり走ってくれる電車がきちんと動いてくれたらそれでいいんですよ。そういうものを大切にしないと。
守田
そうそう。それもまた環境を大事にすることそのものですよ。機械をなくすことが環境を守ることではないのだから。今度は「自動車が好き」って胸を張っていってください(笑)
かじかわ
そうやね(笑)
かじかわ憲は車は好きでももちろん原発には大反対
ー府政を豊かに作りかえるために頑張ろうー
守田
それにしても今日は本当にいろいろなことを話していただけました。人と人をつないできたこと、労働者の、人々の団結、連帯に恋い焦がれて、かじかわさんがここまで歩いてこられたことが、本当によく分かりました。ありがとうございました。
かじかわ
僕もいろいろなことを思い出させてもらいました。そうやな。人をつないで、みんなでわあって歩むのが僕の原点やな。
守田
ぜひ知事になって京都府にその歩みを広げたいですね。頑張りましょう。
かじかわ
頑張ります!
かじかわ憲インタビュー 終わり
ぜひみなさんの力で、かじかわ京都府知事を誕生させましょう!
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