守田です。(20150801 23:30)
7月24日から27日にかけて広島県尾道市、岡山県瀬戸内市、広島県福山市、岡山県和気町で連続講演してきました。
素晴らしい出会いにたくさん恵まれ、新たな情報も得てくることができましたが、いささか疲れてしまい、その後、静養していて「明日に向けて」の更新ができませんでした。申し訳ありません。
8月に入ったので、心機一転、発信を再開していきたいと思いますのでよろしくお願いします。
さて今宵は【要注意】と題して、明日(8月2日)に福島第一原発の現場で行われる3号機のがれき撤去の情報を配信します。
ポイントになることは核燃料のプールの上にある20トンの装置の3か所にフックをかけての撤去が行われようとしているのですが、失敗した場合に、核燃料の上に落下する可能性があり、危険性が高いということです。
このため東電は、「敷地内の作業員の安全を考慮して」「撤去作業中はほかの作業をすべて中断する」と発表しています。
ちなみに一つの作業の遂行のために他のすべての作業を中止するのは事故直後の混乱期を除いては初めてのことだそうです。それだけ危険性が高い作業であることを注視する必要ありです。
この件に関しては、おしどりまこさん、けんさんが最も詳しく丁寧な報道を行っていますので、以下に紹介します。
この記事によれば、東電自身は万が一、20トンの装置を燃料棒の上に落下させてしまった場合、「敷地境界の被ばく線量は10μSV」と発表しているそうですが、本当にそれだけで済むかどうかまったくわかりません。
3号機SFPの燃料交換機の引き上げは不発弾処理と同じ!?
2015-07-27 OSHIDORI Mako&Ken Portal / おしどりポータルサイト
http://oshidori-makoken.com/?p=1264
【続報】8月2日「万が一のことを考え」福島第一原発敷地内の作業は全て中断予定
2015-07-29 OSHIDORI Mako&Ken Portal / おしどりポータルサイト
http://oshidori-makoken.com/?p=1320
この3号機の燃料プールの問題はいろいろと大きな問題を孕んでいます。
何よりも3号機でおきた爆発が、どうみても水素爆発とは思われないことです。多くの方が、燃料プールで核爆発が起こったのではないかと推測しています。
この点を論じるためにネットから1号機と3号機の爆発を比較した映像を拾いましたのでご紹介します。報道番組の一部を切り取ったものです。
福島原発1、3号機爆発映像
https://www.youtube.com/watch?v=VLJspb_mo-s
1号機の爆発は確かに水素爆発だろうと思われます。東電は原子炉内で発生した水素が建屋の上部に溜まり爆発したとしていますが、その場合、確かに水素と酸素が化合するので水蒸気が発生し、断熱膨張して急速に冷えて湯気にかわり白く見えます。
また爆発の影響は全体にいわば横に向けボワッと広がっています。これらから「水素爆発」という東電の発表に嘘はないだろうという評価がなされています。
しかし3号機は見るからにまったく違う爆発をしています。水素爆発では起こりえないとされている火花が起こった後、上方向にドーンと吹きあげ、たくさんの塊が飛ばされています。煙も黒ずんでいてキノコ雲状にもくもくと発達していきました。
これらから燃料プールの中で小規模な臨界爆発が起こったのではないかと推測されていますが少なくとも水素爆発でなかったことだけは確かです。
にもかかわらずこの爆発は未だに水素爆発だとされ続けています。ここに大きな問題があります。
重要なことはこの爆発が燃料プール内で起こった核爆発であったとして、それが明らかになると、全国にある燃料プールの危険性が際立つこと、可能な限り早く燃料を降ろすべきであることが全面化することです。
これまで述べてきたように、そもそも日本の原発の燃料プールの多くが「リラッキング」で核燃料を詰めてしまっています。その際たるケースが福島第一原発なのでした。そこで核爆発が起こったことが分かればすべての原発はもうとても容認されません。
東電や原子力村はこのことを十分に認識しつつ、3号機の爆発の核心に触れることがない形でがれき撤去を進めようとしているように思えます。
それがすぐに何らかの危険性を示しているとまでは言えないのですが、ともあれ今は、20トンのがれきが無事に撤去され、大事に至らないことを祈りつつ、注視しておく必要があります。
もう一点。福島3号機は東芝製です。東芝は他に2号機、5号機、6号機にも関わっています。正確には純然たる東芝製が3号機と5号機。2号機、6号機は東芝とGEとの連合による製作です。
このことが東芝の経営上の困難の大きな根拠となり、会計不正問題を加速させたことは間違いないですが、さらにここで核爆発があったことが明らかになれば東芝の原発はもうどこでも決定的に売れなくなるでしょう。
そのことは経営悪化にあえぐ東芝を一挙に瓦解させるほどの位置を持っているのではないかと思われます。日本からの原発輸出も極めて困難になるでしょう。
だから3号機の爆発の実相が必死になって隠蔽されているのではないかと僕には思えます。また真実を隠蔽しながらの廃炉作業が何らかの無理を生じさせることにつながってはいるのではないかとも懸念されます。
ともあれこれらのことも視野に置きつつ、がれき撤去作業-燃料棒撤去作業のウォッチを続けていきたいと思います。
資料として残すためにもNHKの記事を示しておきます。
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福島第一原発 3号機プールの巨大がれき撤去へ
NHK NEWSWEB 7月30日 4時02分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150730/k10010171531000.html
東京電力福島第一原子力発電所3号機では爆発で吹き飛んで使用済み燃料プールに落下した重さ20トンの巨大な装置の撤去が急がれていて、東京電力は、これまで準備を進めた結果、来月2日に撤去作業を行う方針を固めました。
しかし、装置が落下すると核燃料が損傷するおそれもあり、慎重に作業を進めることにしています。
福島第一原発3号機の原子炉建屋の最上階にある使用済み燃料プールには今も566体の核燃料が残されたままとなっていますが、爆発によって吹き飛んだ大量のがれきがプールに落下し、核燃料を取り出す大きな支障となっています。
このため東京電力はおととしからがれきの撤去を進めていて、この中でも長さ14メートル、重さ20トンと最も大きい「燃料交換機」と呼ばれる装置について、来月2日に撤去作業を行う方針を固めました。
現場は放射線量が極めて高く人が直接作業できないため、遠隔操作のクレーン2台を使って燃料交換機をつり上げて運び出す計画で、撤去が終われば核燃料の取り出しに向けた大きな一歩となります。
一方で万が一、撤去作業中に燃料交換機が落下すれば核燃料が損傷するおそれがあります。実際、去年8月には重さ400キロある装置を引き上げようとして誤って水中に落としていて、核燃料の損傷はありませんでしたが、撤去作業が4か月中断しています。
このため東京電力は今回の作業に先立ってがれきの状況を詳細に調べて手順を確認するとともに、燃料交換機の形に合わせた専用の工具を開発したり、核燃料の上にクッションを置くなどして準備を進めてきました。
さらに、3号機の燃料プールは外部を覆うものがないため、万が一の際の敷地内の作業員の安全を考慮してもともと廃炉作業が少ない日曜日を選ぶとともに、撤去作業中はほかの作業をすべて中断するなど、細心の注意を払って作業を進める方針です。
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