守田です(20190627 23:30)
● 「かが」への乗船がハイライトだった日米首脳会談
今回は日本がこれから105機も購入しようとしているF35戦闘機について論じたいと思います。これが5月末に行われたトランプ来日のもとでの日米首脳会談でも非常に大きな位置を持っていたと思われるからです。
どういうことか。あの首脳会談、ゴルフから始まり、大相撲観戦、居酒屋、として翌日の天皇との会談、首脳会談、朝鮮の拉致被害者家族の面会と続き、最後の三日目にトランプ・安倍両首脳が揃って自衛艦「かが」に乗船と続きました。
この中で一番のハイライトは実はこの最後の「かが」への乗船だったのではないかと僕には思えます。
それがゴルフ・相撲・居酒屋でかなりごまかされてしまったのではないか。さらには翌日に新天皇との会談が行われ、一層、和やかムードが演出されてしまいました。
このようにものすごく政治利用されてしまうから、いやそもそもアメリカによってそのために存続させられたのでもあるから、僕は天皇制に反対なのですが、ともあれこの一連の過程で日米の親密ムードが醸成されてしまいました。
そしてその上で「かが」に二人が乗り込むとなんとそこには米兵と自衛官がずらりと整列して待っていた。あたかもトランプ・安倍両首脳が、両軍の司令官かのように登場しました。
しかも重要なことがここで語られました。ヘリコプター搭載艦である「かが」は「いずも」とともに改修中です。なんのためかというと垂直着陸ができるF35B搭載可能な空母に変えるためです。
垂直着陸のときに垂直にジェット噴射が行われるので甲板を高熱に耐えるようにしているのですが、それでこの艦船は対地攻撃可能になります。専守防衛が完全に踏みにじられます。
トランプはこの「かが」の上で、安倍首相によるF35の105機の追加購入をほめあげ、さらに「かが」改修に触れて「日米両国は様々な脅威からより広い領域を守ることができる」とも訓示しました。自衛隊を米攻撃力に組み込む宣言だと言えます。
「かが」が改修されることで「日米両国が」より広い領域を守れると強調するトランプ大統領 日経新聞web上動画より
● F35Bを持つと自衛隊における戦闘機の位置づけが変わる!(専守防衛でなくなる)
F35Bの「かが」「いずも」への搭載はどうしてこれまでと決定的に異なるのか。この点について日本共産党の井上哲士参議院議員が国会できちんと正していたことを知りました。昨年11月29日です。井上さんはまず米軍がこう述べていることを指摘しています。
「F35Bは、戦域における強襲及び航空戦闘能力、作戦上の柔軟性並びに戦術上の優位性における著しい強化になる、常に安定と安全を向上させる海上優勢を可能としつつ国際水域から地上作戦を支援する」。明らかに海から陸地を攻撃する能力を持っています。
実際に米軍は昨年9月に初めてF35Bが実戦投入し、アフガニスタンで対地攻撃を行ったことを9月27日に発表したことも井上さんは指摘しています。
このF35Bを保持し空母と共に運用することは、航空自衛隊の戦闘機の位置づけの大転換をもたらすことになるのです。さらに井上さんの指摘を引用します。
「航空自衛隊の戦闘機は、日本の防空を任務として日常的にスクランブルに従事をさせております。航空自衛隊のホームページを見ますと、保有する戦闘機について、進入してくる敵を直接撃破する任務を担当するとして、現有する四機種を紹介をしているわけですね。ところが、戦闘機をこの「いずも」のような甲板を持つ艦艇と組み合わせて海のどこからでも作戦ができるようにすると、こうなりますと、もはや防空では説明が付かないと思うんですね。」
そうなのです。防空ではなくなるのです。もはや日本の空を守るのではないのです。米軍と共に世界中のどこでも行って対地攻撃を行えるようになってしまう。そんなものを持てば必ずいつか使う日、使わされる日が来てしまう!
一番、懸念されるのはアフガニスタンや中東などで米軍と共にかの地の人々を攻撃することです。自衛隊がはじめて他国の人々を殺すことになる。そんなこと絶対にさせてはならない。
しかもそうなるといまは日本を平和国家だと思っている世界中の人々の認識を変えさせ、怒り、恨み、攻撃欲を持つ人々を作りかねない。「専守防衛」どころかかえってこの国への攻撃の口実すら作ってしまう。ものすごく危険な大転換です。
外交防衛委員会(F-35B戦闘機導入検討、護衛艦「いずも」の空母化検討とイージス・アショア導入について) 井上哲士 国会質問議事録より 2018年11月29日(木)
http://www.inoue-satoshi.com/parliament/2018/11/f-35b.html
国会質疑動画 F35B研究自体が問題 6:00より
https://www.youtube.com/watch?v=TgxsjQ_Sgdk
小さな空母から離発着できるF35B戦闘機 東京新聞20181129より
続く
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます