守田です。(20111013 12:00)
昨日、ストロンチウムが横浜で検出されたことを紹介し、その際、プルト
ニウムについて、今は45キロより遠くでは「ない」とされているが、これ
も遠くまで飛散している可能性があることについて言及しました。すると
矢ヶ崎克馬さんがわざわざ電話してきてくださって、この点について解説
して下さいました。
矢ヶ崎さんが強調されたのは、プルトニウムが重いので飛ばないというの
がまったくの嘘だということです。「どうしてこういうデタラメが言われる
のかと思っています」とも。核心点は、原発事故で放射性物質が飛散する
とき、なにもそれぞれの核種が単体で飛ぶわけではないことです。
幾つかの核種がまじりあって、塵や埃の形になり、それで飛散していく。
その場合、その塊になった塵の総量としての重さが、風の強さとも相まっ
て、飛ぶ距離を決めることになっていくわけです。重い核種から落ちて
いくのではなく、重い塊から落ちていく。
プルトニウムも他の核種と一緒になって塵や埃を形成するわけですから、
その総量が比較的軽ければ、遠くに運ばれてしまうのです。このように
塵や埃が幾つかの核種から構成されることは、チェルノブイリ事故など
でも見られたことだそうです。
・・・非常にすっきりとしました。
僕自身は、例えプルトニウムの比重が他の物質より上回っていようと、
論理上、微粒子ならば飛びうるのではないか。重いから飛ばないというの
はまやかしではないかとずっと思っていました。そのために繰り返し、
プルトニウム飛散の可能性を指摘してきました。
単純な話ですが、綿と鉄では鉄の方が比重は圧倒的に上ですが、1キロ
グラムの綿と、1グラムの鉄では、前者の方が圧倒的に重いわけです。だから
微粒子になった場合、その粒の大きさによって、重い・軽いが決まるわけで、
比重と飛散の可能性をリンクさせるのはまやかしだと感じていたのです。
また誰よりもプルトニウムの危険性を訴えてきた故高木仁三郎さんが、
著書『プルトニウムの恐怖』の中で、プルトニウムは飛散しやすいと述べ
ていたことも、ずっと頭の中に残っていました。当該個所を引用します。
「プルトニウムが体内に入る経路は、一般には呼吸を通じるか、口から飲み
込んだり食べたりするものにまじってとりこむかである。プルトニウムは、
直径1ミクロン(1000分の1ミリメートル)前後の小さな酸化プルトニウムの
かたまりとなって空中に漂いやすい。プルトニウムを用いた大気圏内核実験
の際にも、核分裂をしなかったプルトニウムは、酸化プルトニウムの微粒子
となって空中にばらまかれる。」(『プルトニウムの恐怖』岩波新書p110)
ここでは高木さんは、プルトニウムが単体であっても、空中に漂いやすい
点を指摘しています。これはアメリカで実際にあったプルトニウム製造工場
でのプルトニウム漏れ事故などをも踏まえた記述ですが、矢ヶ崎さんの
指摘に端的なごとく、原発事故の場合は、プルトニウムは他の、より軽い
核種と塵や埃を形成して運ばれるのですから、この場合の方がより飛散
しやいと言えます。そして現に80キロ圏内のわずか100か所の調査で、
45キロ地点から「発見」されたのです。
このときストロンウムは79キロ地点で発見された。だから僕は確実にその
外にもあるはずだと書きましたが、それから数日後に250キロ地点での
「発見」が報じられました。プルトニウムはどうなのか。推して知るべき
ことだと思います。ぜひとも各地で測ることが必要です。プルトニウムは
精度の高い機器でないと検出できないので、行政などに圧力をかけていく
必要があります。
同時に、これまでプルトニウムは絶対に飛散しない、住民への影響はないと
豪語してきた方たちに、最低でも謝罪を要求していくべきだと思います。
その筆頭にあげられるのは、中川恵一東大病院放射線科准教授です。
中川准教授は、3月29日にテレビに出演して、「一般市民、私たちの生活
にはどのような影響がありますか」という質問に次のように答えました。
「これはありません。まずですね、この物質は非常に重いのですね。です
からヨウ素のように飛散していくことがありません。作業者の方には影響が
あるかもしれないので、気をつけて欲しいのですが、みなさんご心配だと
思いますけれど、私が生まれた50年前、プルトニウムの量は今の1000倍
だったのですよ。原水爆核実験のせいです。今は多少増えたと言っても
かなり減っているのですね。だから心配はありません」
この回答を含む内容が、映像で見られますので、ぜひご参照ください。
中川准教授は、プルトニウムが非常に危険な物質であると指摘されている
ことにふれ、吸い込んだときの肺がんの可能性を述べていますが、食べたり
飲んだりした場合は、排泄されるから大丈夫だとも述べています。
http://www.news24.jp/articles/2011/03/29/07179697.html
中川恵一准教授のプルトニウム解説は、飯舘村からの検出という事実に
よって完全に覆されたのですから、まずは誤りを認めて真摯に謝罪すべき
です。中川准教授は「東大病院放射線科」という、一般には信頼されやすい
肩書のもとに発言しているのですから、その責任はより重いです。
同時に中川准教授による50年前にプルトニウムの量は今の1000倍だったと
いう発言がかなりデタラメであることも指摘しておきたいと思います。
中川准教授もこ番組の中で触れていることですが、核実験で使われたプルト
ニウム239の半減期は24000年です。半分になるのにそれだけかかる。それが
なぜ50年で1000分の1になるのでしょうか。
これは放射性物質の崩壊と放射線の照射という、放射線学の基礎中の基礎を
無視した発言です。意図的にデタラメを言ったのか、あるいは東大病院
放射線科の准教授が、放射線に関する基礎すら理解していないことをあら
わしています。
また食べたり飲んだりしたものは身体の外に出ていくので大丈夫だという
のも誤りです。この点についても高木さんの著書の引用を行っておきます。
「いっぽう、消化器系を通してとりこまれたプルトニウムは、むしろ可溶性
のものが問題となる。胃腸壁を通して吸収されやすく、吸収されたプルト
ニウムは主として骨に集まりやすい。これは骨のガン、とくに白血病の原因
となる。もちろん、とりこまれた部位に応じて核種のガンを誘発しうるが、
肺ガンと骨のガン(白血病)が、プルトニウムの最も恐ろしい影響である」
(『同書』p111)
中川准教授の講演会に行かれる機会のある方は、ぜひともこうした発言
への謝罪を求めるといいのではないかと思いますが、私たちは少なくとも
中川准教授の誠意ある謝罪を耳にするまでは、東大病院放射線科を全く信頼
しないことにしましょう。これは一准教授の発言の問題ではありません。
大学病院総体の問題です。明らかにとんでもない間違いを東大病院の名で
国民・住民に発信してしまったのですから、大学病院側が、謝罪と訂正を
行うべきなのです。
以上、私たちは「プルトニウムは重いから飛ばない」というウソに、もう
二度と騙されず、各地で積極的なプルトニウムの計測を始めましょう。あ
るいはそのための動きを開始しましょう。先にも述べたように、専門の
高度な機器が必要なので、そのために関係機関を動かす必要があります。
東大アイソトープ研究センターの児玉教授に、全国から検体を送って
調べていただくのもいいかもしれませんね。
ともあれこの点でもイニシアチブを取るべきは私たち市民です。いまここに
ある危機を明るみに出すことでこそ、私たちの危機回避の可能性は増します。
プルトニウムは大変危険性の高い物質ですが、けしてそれに打ちひしがれず、
腹をくくり、開き直り、覚悟を決めて、危険物質の回避のために動きましょう。
昨日、ストロンチウムが横浜で検出されたことを紹介し、その際、プルト
ニウムについて、今は45キロより遠くでは「ない」とされているが、これ
も遠くまで飛散している可能性があることについて言及しました。すると
矢ヶ崎克馬さんがわざわざ電話してきてくださって、この点について解説
して下さいました。
矢ヶ崎さんが強調されたのは、プルトニウムが重いので飛ばないというの
がまったくの嘘だということです。「どうしてこういうデタラメが言われる
のかと思っています」とも。核心点は、原発事故で放射性物質が飛散する
とき、なにもそれぞれの核種が単体で飛ぶわけではないことです。
幾つかの核種がまじりあって、塵や埃の形になり、それで飛散していく。
その場合、その塊になった塵の総量としての重さが、風の強さとも相まっ
て、飛ぶ距離を決めることになっていくわけです。重い核種から落ちて
いくのではなく、重い塊から落ちていく。
プルトニウムも他の核種と一緒になって塵や埃を形成するわけですから、
その総量が比較的軽ければ、遠くに運ばれてしまうのです。このように
塵や埃が幾つかの核種から構成されることは、チェルノブイリ事故など
でも見られたことだそうです。
・・・非常にすっきりとしました。
僕自身は、例えプルトニウムの比重が他の物質より上回っていようと、
論理上、微粒子ならば飛びうるのではないか。重いから飛ばないというの
はまやかしではないかとずっと思っていました。そのために繰り返し、
プルトニウム飛散の可能性を指摘してきました。
単純な話ですが、綿と鉄では鉄の方が比重は圧倒的に上ですが、1キロ
グラムの綿と、1グラムの鉄では、前者の方が圧倒的に重いわけです。だから
微粒子になった場合、その粒の大きさによって、重い・軽いが決まるわけで、
比重と飛散の可能性をリンクさせるのはまやかしだと感じていたのです。
また誰よりもプルトニウムの危険性を訴えてきた故高木仁三郎さんが、
著書『プルトニウムの恐怖』の中で、プルトニウムは飛散しやすいと述べ
ていたことも、ずっと頭の中に残っていました。当該個所を引用します。
「プルトニウムが体内に入る経路は、一般には呼吸を通じるか、口から飲み
込んだり食べたりするものにまじってとりこむかである。プルトニウムは、
直径1ミクロン(1000分の1ミリメートル)前後の小さな酸化プルトニウムの
かたまりとなって空中に漂いやすい。プルトニウムを用いた大気圏内核実験
の際にも、核分裂をしなかったプルトニウムは、酸化プルトニウムの微粒子
となって空中にばらまかれる。」(『プルトニウムの恐怖』岩波新書p110)
ここでは高木さんは、プルトニウムが単体であっても、空中に漂いやすい
点を指摘しています。これはアメリカで実際にあったプルトニウム製造工場
でのプルトニウム漏れ事故などをも踏まえた記述ですが、矢ヶ崎さんの
指摘に端的なごとく、原発事故の場合は、プルトニウムは他の、より軽い
核種と塵や埃を形成して運ばれるのですから、この場合の方がより飛散
しやいと言えます。そして現に80キロ圏内のわずか100か所の調査で、
45キロ地点から「発見」されたのです。
このときストロンウムは79キロ地点で発見された。だから僕は確実にその
外にもあるはずだと書きましたが、それから数日後に250キロ地点での
「発見」が報じられました。プルトニウムはどうなのか。推して知るべき
ことだと思います。ぜひとも各地で測ることが必要です。プルトニウムは
精度の高い機器でないと検出できないので、行政などに圧力をかけていく
必要があります。
同時に、これまでプルトニウムは絶対に飛散しない、住民への影響はないと
豪語してきた方たちに、最低でも謝罪を要求していくべきだと思います。
その筆頭にあげられるのは、中川恵一東大病院放射線科准教授です。
中川准教授は、3月29日にテレビに出演して、「一般市民、私たちの生活
にはどのような影響がありますか」という質問に次のように答えました。
「これはありません。まずですね、この物質は非常に重いのですね。です
からヨウ素のように飛散していくことがありません。作業者の方には影響が
あるかもしれないので、気をつけて欲しいのですが、みなさんご心配だと
思いますけれど、私が生まれた50年前、プルトニウムの量は今の1000倍
だったのですよ。原水爆核実験のせいです。今は多少増えたと言っても
かなり減っているのですね。だから心配はありません」
この回答を含む内容が、映像で見られますので、ぜひご参照ください。
中川准教授は、プルトニウムが非常に危険な物質であると指摘されている
ことにふれ、吸い込んだときの肺がんの可能性を述べていますが、食べたり
飲んだりした場合は、排泄されるから大丈夫だとも述べています。
http://www.news24.jp/articles/2011/03/29/07179697.html
中川恵一准教授のプルトニウム解説は、飯舘村からの検出という事実に
よって完全に覆されたのですから、まずは誤りを認めて真摯に謝罪すべき
です。中川准教授は「東大病院放射線科」という、一般には信頼されやすい
肩書のもとに発言しているのですから、その責任はより重いです。
同時に中川准教授による50年前にプルトニウムの量は今の1000倍だったと
いう発言がかなりデタラメであることも指摘しておきたいと思います。
中川准教授もこ番組の中で触れていることですが、核実験で使われたプルト
ニウム239の半減期は24000年です。半分になるのにそれだけかかる。それが
なぜ50年で1000分の1になるのでしょうか。
これは放射性物質の崩壊と放射線の照射という、放射線学の基礎中の基礎を
無視した発言です。意図的にデタラメを言ったのか、あるいは東大病院
放射線科の准教授が、放射線に関する基礎すら理解していないことをあら
わしています。
また食べたり飲んだりしたものは身体の外に出ていくので大丈夫だという
のも誤りです。この点についても高木さんの著書の引用を行っておきます。
「いっぽう、消化器系を通してとりこまれたプルトニウムは、むしろ可溶性
のものが問題となる。胃腸壁を通して吸収されやすく、吸収されたプルト
ニウムは主として骨に集まりやすい。これは骨のガン、とくに白血病の原因
となる。もちろん、とりこまれた部位に応じて核種のガンを誘発しうるが、
肺ガンと骨のガン(白血病)が、プルトニウムの最も恐ろしい影響である」
(『同書』p111)
中川准教授の講演会に行かれる機会のある方は、ぜひともこうした発言
への謝罪を求めるといいのではないかと思いますが、私たちは少なくとも
中川准教授の誠意ある謝罪を耳にするまでは、東大病院放射線科を全く信頼
しないことにしましょう。これは一准教授の発言の問題ではありません。
大学病院総体の問題です。明らかにとんでもない間違いを東大病院の名で
国民・住民に発信してしまったのですから、大学病院側が、謝罪と訂正を
行うべきなのです。
以上、私たちは「プルトニウムは重いから飛ばない」というウソに、もう
二度と騙されず、各地で積極的なプルトニウムの計測を始めましょう。あ
るいはそのための動きを開始しましょう。先にも述べたように、専門の
高度な機器が必要なので、そのために関係機関を動かす必要があります。
東大アイソトープ研究センターの児玉教授に、全国から検体を送って
調べていただくのもいいかもしれませんね。
ともあれこの点でもイニシアチブを取るべきは私たち市民です。いまここに
ある危機を明るみに出すことでこそ、私たちの危機回避の可能性は増します。
プルトニウムは大変危険性の高い物質ですが、けしてそれに打ちひしがれず、
腹をくくり、開き直り、覚悟を決めて、危険物質の回避のために動きましょう。
政府や自治体の対応に関わる報道は「どの程度までの汚染地域を除染するか」ということ程度しか私の耳には入っていませんでした.記事から、ひとまず年間の空間線量を1mSV(つまり毎時0.1μSV程度)に抑える努力が如何に困難かを知りました.前途が多難であることは承知の上で、トライ・エラーの中から適切な方法を模索する皆様の労苦に頭がさがります.また、この様な具体的な取り組みを周知することをは、空間的に隔たった方々の智慧も結集する上でもとても大切なことだと思います.
私は神奈川に暮らしています.付近の線量そのものは少ないですが、幼子が二人おりますので、地震の発生当初に断続的に続いた余震、原発の混乱、そして、食べ物や飲み水の汚染のこと等を気にせざるを得ず、この様な意味では、首都圏に暮らしていても被災者であるとも感じています.また、震災当初は子供達の寝顔をみる度に、何故この様な大変な時代に生を受けてしまったのだろうかと悲しい気持ちになりました。しかし、子供達、しいては日本の未来を再興するのは私たちの努力によるしか無いと感じます。震災後3ヶ月程だってからようやくその様に考えられる様になってきました.しかし結局、今夏は節電程度しかできず、余震も収束したかに見える時期に宮古の復旧作業にボランティアとして参加をするだけにとどまりました.
程度の差こそあれ、私たちも今なお大変不安な生活をおくっていますから被災地の方々と思いをともにしています.
私はもう40歳をすぎていますので、様々な事態が収束し、新しい世の中が現れるまで、おそらくその余生のすべてが必要になるであろうとも感じています。長丁場の中で今しかできないこと や 日常的かつ恒常的に取り組むべきこと等、沢山の為すべき事、自分が手伝える事があると思います。
今は動きが悪くて大変申し訳なく、だがしかし、すこしでも望ましい未来の為に私もがんばらないと と 感じています。その為にも情報が必要です。お忙しいと思いますが、これからも除染の進捗や創意工夫等、原発関連の情報をご紹介ください。
こうした記事に投稿することもはじめてで、長文かつ乱筆ですが書かずにいられませんでした。読みにくい部分があればご容赦ください。