守田です(20230810 16:30)
● 『原爆初動調査 隠された真実』から何を学ぶのか-1,放射線防護学が虚構であることが突き出された!
昨日8月9日は長崎の被爆から78年目の日でした。この日、アメリカ軍は広島に続き長崎でも大量虐殺を行いました。
原爆によって殺されたすべての方に深い哀悼の意を捧げます。サバイバーである被爆者、二世、三世、四世、そして縁者のみなさまに心からお見舞い申し上げます。
この日に向けて、NHKBS1スペシャル『原爆初動調査 隠された真実』を文字起こししてお届けしましたが、今回、ここから何を学びとるべきかを論じたいです。 (文字起こし記事のアドレスを末尾に貼り付けます)
僕が思うのは大事なのは、アメリカが広島・長崎の被爆事実を徹底して隠していたことが暴かれたのですから、米軍の被爆者調査を元にした被曝防護基準の虚構性もまた明らかになったということだと思います。
これまでも指摘してきましたが、米軍は被曝影響を、原爆からの「初期放射線」被曝だけに限り、爆心地から半径2キロ以内とすることで、内部被曝を完全に無視してきました。
今回、明らかになったのは、実際には米軍が西山地区などで内部被曝の影響を調査し、把握しつつ、隠してきたことです。西山地区は爆心地から約3キロ、2回目の記事にあるアメリカ陸軍軍医のコメントが重要です。
「西山地区の人々は原子爆弾の投下から数か月後に、有意な白血球増加がみられた。動物の場合、全身に被ばくした後に白血病が進行する可能性があり、人間がどうなるか特に興味深い。また放射性物質を経口摂取した後の人体から、骨肉腫も確認されている。
西山地区に残る放射性物質の堆積物には、人がさらされ続けると危険を伴う可能性がある。この条件を考えると、原爆の直接の影響を受けていない西山地区の住民は、残留放射線の影響を観察するのに理想的な集団である。」
米軍による西山地区調査の写真 NHK
米軍は西山地区の人々をモルモットにして調査を続けていたのです。そのデータはどこかにあるはず。3回目の記事には西山地区で「ルテニウム」「セリウム」などの核種が同定されていたことすら記されていました。
大事なのはこの犯罪行為が今につながっていること。福島原発事故に際しても、この矮小化されたデータから作られた基準が適用されてきたのです。その虚構が根本から暴かれたことを、もっと大きく広げましょう!
● 2,米軍グローブス少将は米兵をも被曝させていた!それが戦争の本質だ
さらに注目すべきことは、原爆による大虐殺を指揮したグローブス少将が、アメリカ兵すら被曝させつつ、原爆の威力をつかもうとしたことが明らかにされたことです。この点も極めて重要です。
1,2回目の記事に出てきますが、グローブスは原爆大虐殺直後に、英米のジャーナリストが現地に入り「広島では原爆が落ちた30日後にも人が死んでいる。それは『原爆の疫病』としか表現できない」と報道したことに危機を感じていました。
番組はこう説明しています。「当時、アメリカは占領のため、日本に兵士を駐留させようとしていたからです。原爆投下後に自国の兵士が被爆することになれば、議会や世論の反発は避けられない。こうした中で初動調査は行われていたのです。」
米兵たちも被爆の危険性を知らされずに調査に投入された NHKより
さらに1945年11月28日、グローブスがアメリカ議会に呼ばれこう証言していることも紹介されています。
質問者 「残留放射線を調査した記録はありますか?」
グローブス 「はい。ございます。残留放射線は『皆無』です。『皆無』と断言できます」。
質問者 「私から見ると、陸軍省は何度も何度も『放射線による被害はなかった』と強調しています。そこには放射能被害を認めると、倫理的に間違いを犯したことになるという思いが、陸軍省側にあったのではないですか?」
グローブス 「この問題は、ひと握りの日本国民が放射能被害に遭うか、それともその10倍ものアメリカ人の命を救うかという問題であると私は思います。これに関しては私はためらいなくアメリカ人を救う方を選びます。」
アメリカ議会にて NHKより
番組には出てないことですが、グローブスは広島・長崎襲撃に先立つ1945年7月16日に、ニューメキシコで行われた核実験の陣頭指揮もとりました。
このとき拡散した死の灰で、周辺に住むアメリカ市民が手酷く被曝しました。最近になって、死の灰はアメリカ国土の大半を覆い、カナダ・トロントの湖にまで届いていたことが明らかにされています。
グローブスは広島・長崎市民だけでなく、アメリカ市民を被爆させ、アメリカ兵も被爆させたのです。アメリカ議会を騙した上でです。
ここに原爆使用を含む戦争の本質がよく表れています。原爆はアメリカ国民や一般の兵士が選択して使われたのではなく、ごくごく一握りのアメリカ上級国民が決めて使ったのです。民衆すら犠牲にして。
これが戦争の本質です。ごく一握りの人々のため、敵味方に分かれた国の民衆が手酷く殺され傷つけらる。原爆でもそうだったのです。だから二度と「国」を名乗る上級国民に騙され、戦争協力してはいけない。そのことをしっかりつかみましょう。
● 番組で突き出されたことを広めよう!
番組から「これは」という点を抽出するならこの二点が大事だと思いますが、もっとみなさんと感想をかわしたいものです。その点を含めてぜひこの内容を広めて下さい。記事のアドレスを記しておきます。
明日に向けて(2358)アメリカは原爆による被曝実態を隠した。実際の被害はずっと大きかったーNHKBS1スペシャル「原爆初動調査 隠された真実」よりー1
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/0df5777dabfb79d35ff97d210b14137e
明日に向けて(2359)グローブス少将が残留放射線をもみ消し被爆者救護も禁止したーNHKBS1スペシャル「原爆初動調査 隠された真実」よりー2
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/2d04989270bbc5e708613642ca3d836f
明日に向けて(2360)米軍は長崎西山地区の人々を被爆されるままに任せつつ観察し続けたーNHKBS1スペシャル「原爆初動調査 隠された真実」よりー3
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/cccc7cf66d5d38b8722e41c2747eb770
明日に向けて(2361)科学者たちは沈黙し隠ぺいに加担。このため多くの人々が被害を認められず、苦しみ続けてきたーNHKスペシャル「原爆初動調査 隠された真実」よりー4
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/917f4bb98537047bf24d0eca23148580
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