明日に向けて

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明日に向けて(1698)政治をみんなで変えるときが来た!そんな選挙を大いに楽しもう(倉林さんインタビュー3)

2019年06月09日 22時00分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20190609 22:00)

倉林明子さんインタビューの第3回目をお届けします。今回は国会論戦の時の大事なポイントは何かという点にフォーカスしました。


京都の企画「JCP with you」であかたちかこさんと守田で倉林・井上両議員を囲みました 2019年5月26日 

障害者福祉切り捨ての前に立ちはだかって

守田
他にはどんなケースで国民・住民を守ってきたのだろう。

倉林
今期で言うとね。といっても前期からの続きなのだけれど、障害者の施策をめぐる法が相当に改悪されているんだわ。介護保険に合わそうということで。それで「障害者報酬」のことなどを聴き取りしてきたわけね。
障害者サービス提供は公定価格があって報酬単価が決められていてそれが施設や事業所に入る仕組みになっているわけ。病院に診療報酬があるのと同じで事業に対して出ているものなのですよ。「障害者何人あたりこのサービスならなんぼ」という形で。
それが改定されたことによって施設がやっていけなくなっているわけ。(守田注:正式には「障害福祉サービス等報酬」。医療も介護・福祉も市場経済に任さず国がそれぞれの行為への報酬額を決めて繰り返し改定している)。

守田
あ、それよく分かる。予算カットだよね。

倉林
障害・介護・医療のトリプル改悪だったんですよ。2018年から今年は。

守田
僕は経済学者ですでに亡くなられた宇澤弘文先生の研究センターにいたことがあって、先生が「社会的共通資本としての医療」に強い関心を持っておられたので一緒に研究していたのね。
あのころは2年に一回改定される診療報酬をそのたびに読んでいたけど、毎回読みこんでいないと分からなくなってしまう。あれで医療現場がコントロールされているわけだけど、ちゃっちゃか変えられてそのたびに現場が右往左往しているんだよね。

倉林
そう。ちゃっちゃか変えられる。しかもいまね、担当者たちが考えているのは、介護でさんざん予算カットしてきたことに福祉を合わせようということなのね。その矛盾が一番出たのが福祉の施設や事業所だったわけ。
とくに矛盾が集中したのが就労施設。就労支援A型、B型ってあったでしょう?

守田
はいはい。(守田注:就労継続支援A型は、障害や難病のある人が雇用契約を結んで一定の支援がある職場で働くことができる福祉サービス。 就労継続支援B型とは、障害や難病のある人で、年齢や体力などから企業等で雇用契約を結んで働くことが困難な人が、軽作業などの就労訓練を行うことができる福祉サービス)

倉林
A型に営利型企業が参入して、破たんして、障害者を放り出してということが全国で起こって、A型の方はそれで「障害者福祉を利用して悪いことをするものがいる」ということになって対応がなされたのだけれど、逆にB型でまじめにやっているところが食べられなくなっちゃんたんですよ。報酬改定で。

守田
ひどい話だなあ。

倉林
そうなんですよ。まじめにやっているのに施設運営が困難になった。あれは加藤大臣のときに一回質問をやってそのときは障害者の事業所を運営している人たちから本当に喜んでもらえて。

守田
改定を止めてくれたということで?

倉林
いや、何にも止めてないんやで。なんだけど声を、実体を国会に届けてくれたことで喜んでくれた。あとは働き方改革やね。それから年金の改悪。大きい改悪で国会をたくさんの人が包囲してね。 そういう闘いの中で結局悪法は通るじゃないですか。でも終わった後に「本当によく代弁してくれた」「声を届けてくれてありがとう」とかさ。


水道「民営化」との対決など命と人権を守りぬく様々な活動を報告 2019年2月(HPより)

みんなの意見を国会に反映させ議事録に書きこませることがとても大事

守田
たとえ悪法が通ってしまっても、そういう声がちゃんと出せたと言うことで?その場合、条文を削ったりはできるの?一つの法案が通されようとしているときにせめてこの部分は認めないとか。

倉林
それは修正ですね。今、衆院で審議されている「児童虐待防止法」、あれは修文成立ということで合意になったよね。政府が出した法律案があって、野党が対案を出して、すり合わせをやって、野党のものを一部盛り込んで法案がまとまったケースもある。
でも少ないのね。対案とか修正案とか、野党が出すことはあるのだけれど、それで書き換えまでいくというのはなかなか。

守田
なるほどね。数の論理では通されてしまうわけだね。その通されてしまうときに、問題点を明らかにし、当事者の声を反映させ、そのことが少しでもマスコミに流れるようにすることが大事なのかな。

倉林
それもあるけど、やはり国会の議事録に残すと言うことがすごく大切で。次の議論、必ず次の「改正」のときが来るじゃないですか。そのときにどんな議論があったのかがすごく大事なんですよ。
この前もうちの吉良よし子議員が50年前の文部省と共産党のやりとりで「こう答弁しているじゃないか」と議事録を活用してね。

守田
なるほど!そうかあ。すごいなあ。50年前の方と出会ったわけですね。

倉林
そんなこともあるぐらいで、議事録にどんな答弁をしたのかを積んでおくと、その時は通されても、歴史の中で検証することが可能になるわけ。

守田
なるほど!いやいやこういうことをみんなにもっと伝えなければだな!だって今の数の論理では通されちゃうじゃない?多くのものが。

倉林
そう、でもけしてそれだけでは終わらない。先々に生きる議論を積み上げておく。「国会でこんな議論があったのに通したのか」と残すわけね。あるいはこういう問題点について「政府はこういう見解を言っていた」と。
その答弁は踏襲されるんですよ。必ず。だから議事録にどういう議論を残せるのか。何を言わせるか。どこまで問題点を引っ張りだせるか。そこが勝負なの。

守田
すごいね。その中には50年後に生きるものすらあるかもしれない。

倉林
いまは議事録検索ができるようになったからね。どんな議論がなされてきたのかを前よりも調べやすい。今後はもっと活用されるでしょう。


 昨年7月豪雨の際、氾濫寸前の京都の桂川を右京区の共産党府会市会議員とともに視察。こうした調査が論戦の力の源

守田
なるほど本当にここが大事だな。やっぱり国会って外から見ているだけではなかなか分かりにくい。それで「共産党の議員が少し増えたって多数決でやられちゃうんでしょう?」とも思われてもしまうわけね。でもたとえ絶対多数を握られていても・・・。

倉林
反対している国会議員に大きな値打ちがある!

守田
そう。だからそういう議員を一人でも増やすことに、絶対多数をすぐに覆せなくても大きな意義があるわけだね。そのことをもっと広めなくちゃだ。

常に与党になることを意識してきた

守田
なるほどねえ。その場合、答弁に説得力を持たせる点で、京都の共産党の人で倉林さんをよく知る人からこう聞いたのね。
「倉林さんはいつも自分が政権をとったらどうなるのかと考えて発言している。だから反対に説得力がある。いわゆるなんでも反対ではまったくない」と。

倉林
そうですよ!だってね、市会議員時代は幹事長もしていたじゃないですか。それでいつも4年ごとに市長に私たちが信頼する人を推し上げて、政権を獲るつもりでたたかっていたわけですよ。いつでも政権与党にならなくてはと思っていたんですよ。

守田
なるほど。素晴らしい。

倉林
だから行政マンを敵にしてはダメなんですよ。

守田
うーん、そこ。そこですよ。うん。そこそこ(笑)

倉林
いまは市長に言われるから本当は嫌なことでもやっている。ね?でも地方公務員だったらやっぱり市民のためにと思って仕事している。市民に喜んでもらえたら嬉しいんですよ。市民とも直接触れ合うし。
基本的には市民が喜ぶことをしたいんですよ、公務員は。じゃあそのために何ができるのかということで持ち込む。

守田
はいはい。

倉林
だからある意味「あなたの仕事がしやすくなるように応援しているんだ」というスタンスでね。「邪魔をしているのは誰だ」みたいな。

守田
うはははは。すごく良く分かるな。僕が各地の行政の方と原子力災害対策を一緒にやっているときにもそこを大切にするものな。

倉林
だから私、市会議員を辞めてから市役所の幹部のOBの人たちがよく声をかけてくれるんですよ。それも元建設局の方が多いんです。道路建設なんかを担当していた部局でね。
何故かと言うとさんざん議論を重ねて高速道路建設を止めさせたじゃないですか。5本計画があったうち3本は諦めさせた。でもそのときの議論を彼らはきちんと納得してくれていたんですよね。

 
京都の仲間と共に(HPより)

守田
わああ。

倉林
「これは作ったらダメ」「作るのはよくない」とね。そういう議論の中で信頼関係が作れてね。議論の筋を通すこと、道理を踏まえること、そして市民のためにというスタンスを守ることで積み上げてきた信頼関係があるんと違うかな。
だから常に与党になることを意識するというスタンスは私の中に確かにあるな。行政の方たちって明日から仕事を一緒にする仲間じゃないですか。こちらの推す人が市長に通ったら。

守田
その通りです。

倉林
本当のところどういうことをやりたいと思っているのか、どういう考え方で市政に関わりたいのかを心を尽くして話すようにしていたのね。だから「いつ変わっても大丈夫!」という感じでね。

守田
それ本当に大事だよねえ。でも市民運動でも行政交渉となるとしばしば詰問調で責めがちになってしまう。
もちろん時にはそれも必要なのだけれど、でも行政を問い詰めても、多くの場合、前面に出てくる現場の人たちには決定権がない。首長や議会が決めたことをやらざるをえないわけでね。

倉林
わかります。それよくある(笑)。私自身、本当に変わったのはやっぱり本気で私たちが推す市長を登場させよう思ってからよね。それで政権を担う側になった後のことを想像できるようになってからだな。

続く

京都市円山野外音楽堂での集会に参加する倉林さん(HPより)


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