明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(2456)敦賀原発再稼働不合格は当たり前すぎるけれど遅すぎ 規制委のあり方はあまりに不十分

2024年09月03日 23時30分00秒 | 明日に向けて(2401~2600)

守田です(20240903 23:30)

私たちはまたも原発を廃炉に追い詰めつつある!

8月28日、原子力規制員会は「原子炉建屋の真下の断層が将来動く可能性が否定できない」ことを理由に、再稼働の前提となる審査に不合格の判断を示しました。
再稼働が認められなかったこと自体は良いこと。この決定を導き出したのは、粘り強く原発の危険性を訴え、再稼働に反対してきた私たち民衆の力です。またも私たちは原発を廃炉に追い詰めつつあります。

でもこれで原子力規制委員会が「規制当局として機能している」と思ったら大間違い。
ここで油断してはなりません。今回はこの点を深掘りします。


不合格判断を報じるNHKの記事より 20240828


再稼働を認めないのは当たり前だけど判断があまりに遅すぎ

今回の判断、原発の真下に活断層があったと認識されたのですから、動かしてはならないのは当たり前すぎます。ただし実はこれ、あまりにも遅すぎる判断です。
そもそも日本政府が「活断層の上の原発を認めない」と言い出したのは1995年の阪神大震災の後。当時の通産省資源エネルギー庁のパンフに「建設用地を決める際には、徹底した地質調査を行い、地震の原因となる活断層を避けています」と書かれました。

ところが敦賀原発の敷地の下には浦底断層が走っていて、2号機着工2年前の1980年に、学術界が「活断層の可能性」を指摘。さらに政府の地震調査研究推進本部も、2004年に浦底断層を活断層に登録しました。
この断層、2号機の建屋の250m横を走っています。ところが日本原電は、2008年までこれを活断層と認めなかったばかりか、認めた後も原発の稼働を強行してきました。ところが政府はまったくこれを規制しませんでした。

これは明らかに政府方針と矛盾しています。すると当時の規制当局の原子力保安院幹部は、国会で、活断層の上に作らないとは「直上には重要な施設の建設を避けるという意味」だと言いつくろいました。稼働を強行する日本原電を擁護したのです。
もちろんこれはとんでもない過ちです。敷地の地下ないし近くに活断層が通っていて、大きな地震が起これば、原子炉にだって多大な影響が及ぶのは当たり前。その点で敦賀原発はもっと早く停めるべきだったのです。


浦底断層をはじめ断層だらけの敦賀原発サイト(朝日新聞20230419より)

リファレンスとして朝日新聞の記事(2023年4月19日)をご紹介しておきます。
震災前から繰り返す原電への「ダメ出し」 なぜ活断層の真横に原発が
https://digital.asahi.com/articles/ASR4L6QL2R4GPLZU003.html


日本原電があまりに規制委をなめすぎたため再稼働を認めるわけにいかなかっただけ

ではなぜ今回、この遅すぎた判断が出されたのでしょうか。
背景にあるのは、原発敷地内に活断層が走っていようが原発の稼働を認めてきた規制当局を、日本原電が「なめすぎた」ため、規制委がこれ以上、同社の横暴を見過ごせなくなったことです。

というのは日本原電は浦底断層を活断層と認めながら、原子炉直下ではないからと運転を強行してきましたが、福島原発事故後の2012年9月に発足した原子力規制委員会が、同年に浦底断層ではなく2号機直下の断層も活断層の可能性があると指摘しました。
しかし日本原電はこれを無視。2015年に再稼働に向けた審査を規制委に申請しました。

ところが提出された審査資料が誤記だらけの酷いものでした。日本原電は2019年8月に誤記が931カ所あったと報告しましたが、10月には1139カ所と訂正。(最終的に1300カ所超に)
それだけでも酷いのに、2020年2月のより深刻なことが発覚しました。日本原電が提出した審査資料の中の、敷地内の地質データ、活断層か否かの判断にも関わるものを、勝手に書き換えたり削除して、再提出していたのです。

あまりのことに規制委は審査を中断しましたが、ここには日本原電が、再稼働の許可など安易に得られると考えていたことが透けて見えます。同時にそこには日本の規制当局が、あまりに不十分で、なめられて当然であることも浮かび上がっています。
今回、日本原電のデータ書き換えまでにまでおよんだこの審査を容認したら、規制委の存在自身が揺らいでしまう。だから規制委は再稼働を認めるわけにいかなかったことを見てとっておくことが大事です。

しかしこの決定、敷地の下に活断層の浦底断層がありながら原発を止めなかったことは振り返っていません。今回の決定では原子炉の真下に活断層が認められなければ動かしていいことになる。真横に活断層があってもです。そんなのおかし過ぎる。
かつて保安院が日本原電を救うために放った言いつくろいは生きているのです。規制委の規制はあまりに不十分。そもそも老朽原発などみんな再稼働を容認しています。やはり大事なのは私たち民衆の力、再稼働反対行動です。頑張りましょう。


敦賀原発2号機の審査をめぐる経緯(東京新聞20230405より)

続く

#敦賀原発 #再稼働不合格 #日本原電 #2号機 #浦底断層 #活断層 #規制委 #原子力規制委員会 #原発再稼働反対 #地震調査研究推進本部

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