木更津駅西口駅前にある光明寺を訪れる。「切られ与三郎」の墓があるという。
切られ与三郎は歌舞伎「与話情浮名横櫛」の主人公である。歌舞伎の主人公の墓とは珍しい。
もっとも私は歌舞伎にはまったく詳しくない。そういう人がほとんどではないだろうか。
切られ与三郎は知らなくても、その相方であるお富は知っている。高齢者世代には懐かしい春日八郎の歌った「お富さん」で知っているのだ。
テンポ良く歯切れのいい曲である。
”粋な黒塀 見越しの松に 仇(あだ)な姿の洗い髪 死んだはずだよ お富さん 生きていたとは お釈迦様でも 知らぬ仏(ほとけ)の お富さん エッサオー 源冶店(げんやだな)
過ぎた昔を 恨(うら)むじゃないが 風もしみるよ 傷の痕(あと) 久しぶりだな お富さん 今じゃ異名(よびな)も 切られ与三(よさ)よ これで一分(いちぶ)じゃ お富さん エッサオー すまされねぇ」
木更津駅前観光案内所に与三郎・お富の浮世絵がある。
光明寺は観光案内所の対面にある。光明寺入口という看板がある。塀で囲まれているわけではなく、開放的なお寺である。
早速与三郎の墓へ行く。案内板がある。
これが与三郎の墓である。こういう墓は、墓石を削り取られたりすることがあるが、そういう人はいないようである。森の石松の墓とか鼠小僧次郎吉の墓は網を被せられ保護されている。
切られ与三郎のモデルになったのは、中村大吉という人物で、その墓は東金市にある。とすると、ここに葬られているのは誰?
余計な詮索はやめよう。
本堂をお詣りした。日蓮宗の寺院である。