(四)
「どうなさったの? 何を緊張してらっしゃるの」
「あっ、すみません」
“麗子さんのような美しい方が、隣に座られたので”
と浮かびはするのだが、喉がひりついて声にならなかった。
「ほほほ、変な方。ほほほ、ほんとに楽しいわ」
コロコロと、鈴のような笑い声が店の中に響いた。
一斉に、皆の視線が集まる。彼の緊張は更に高まり、思わず俯いてしまった。
「ねっ、お食事に行きましょう」
テーブルの上に置かれた飲み物には目もくれず、麗子は立ち上がった。
慌てて彼も立ち上がった。
“ガタッ、ガタッ!”
危うく、カップを落としかけた。
“しまった!『鈍くさい』と、思われてしまう”
瞬時、彼の脳裏をかすめた。しかし麗子は素知らぬ顔で店を出ている。
慌てて彼は、必死に追いかけた。
闇の中に、麗子はスポットライトを浴びて立っていた。
店からの明かりで舗道は明るいのに、彼にはそう感じられた。
行き交う人全てが、麗子を振り返っていくー彼にはそう思えた。
「どうなさったの? 何を緊張してらっしゃるの」
「あっ、すみません」
“麗子さんのような美しい方が、隣に座られたので”
と浮かびはするのだが、喉がひりついて声にならなかった。
「ほほほ、変な方。ほほほ、ほんとに楽しいわ」
コロコロと、鈴のような笑い声が店の中に響いた。
一斉に、皆の視線が集まる。彼の緊張は更に高まり、思わず俯いてしまった。
「ねっ、お食事に行きましょう」
テーブルの上に置かれた飲み物には目もくれず、麗子は立ち上がった。
慌てて彼も立ち上がった。
“ガタッ、ガタッ!”
危うく、カップを落としかけた。
“しまった!『鈍くさい』と、思われてしまう”
瞬時、彼の脳裏をかすめた。しかし麗子は素知らぬ顔で店を出ている。
慌てて彼は、必死に追いかけた。
闇の中に、麗子はスポットライトを浴びて立っていた。
店からの明かりで舗道は明るいのに、彼にはそう感じられた。
行き交う人全てが、麗子を振り返っていくー彼にはそう思えた。
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