昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (五) 中学

2014-10-31 08:22:42 | 小説
中学に入学後は、さすがに小夜子の添い寝を拒んだ。 「大丈夫だよ、もう。僕、中学生だよ。一人で寝られるから」 「どうして? お母さんが嫌いになったの? お母さん淋しいわ」 そんな会話が暫くの間続いた。彼としても母親の添い寝が疎ましくなったのではない。 友達に知られることが恥ずかしかったのだ。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (五) 早朝の寒風摩擦

2014-10-30 08:27:34 | 小説
「このままでは世間の荒波に飲み込まれてしまう。何とか荒波に立ち向かう気概を持たせねば」 と考えあぐねていた。 貧弱な体を鍛えようと、早朝の寒風摩擦を強いてみたりもした。 しかし母親の強い抵抗に合い、ものの三日と続かなかった。 親離れをさせようと彼に部屋を与え、“夜の就寝を一人で!”と厳命もした。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (五) バイトの方が、活きた講義だ!

2014-10-28 08:44:57 | 小説
”これが最高学府の講義なのか” 彼の失望は大きかった。次第に勉学に対する情熱が薄れ、彼はアルバイトに熱中するようになっていた。 ”デパートでのバイトの方が、余程に活きた講義だ!” そんな思いがよぎるようになっていた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (四) 予期せぬ事に…

2014-10-25 08:48:55 | 小説
空から白いものが、チラリホラリと落ちてきた。 「あらっ、雪よ! もう春でしょうに」 「ホントだ、風花だね。〇〇山から下りてきたんだ」 貴子の腕が彼から離れ、その綿帽子のような雪を両手で受け止めた。 「ねえ、ステキね。すぐに溶けちゃうけど。ねえ、見て見て!」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (四) たけしに預けてみたい

2014-10-24 08:29:49 | 小説
”こんなに笑ったのは、ホントに久しぶりだわ” 彼の存在が、貴子の心にしっかりと広がり始めた。 痛い、痛い! と大げさに騒ぐ彼の腕に、貴子はそっと腕を絡ませた。 気恥ずかしさもあったが、”たけしに全てを預けてみたい”と思い始めたのだ。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (四)  それ以来、貴子の男性不信が始まった

2014-10-22 08:48:26 | 小説
当時の貴子は未だ十八歳であることを考えれば、無理からぬことではあった。同窓生の中には既に経験済みの者も居はしたが、ほんの一握りだった。その後次第にその男からの誘いがなくなり、貴子から連絡を取っても生返事が返ってくるようになった。そして別の女性との交際を知った。 . . . 本文を読む

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