昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(七十六) 元気になっちゃった

2013-12-29 19:40:11 | 小説
(四)

「小夜子さん、小夜子さん。あたしね、あたしね、こんなに元気になっちゃった。
ほらね、ほらね、こうやってピョンピョンができるようになっちゃった。

どうしよう、どうしよう。ね、ね、どうしたらいい?」
と小夜子の肩をしっかりと掴んで、何度も何度も飛び跳ねた。

「いいわよ、いいわよ。一緒にピョンピョンしましょ。
お姉さんと一緒にこんなことができるなんて、ほんと夢みたい」

「おかげよ、小夜子さんのおかげ。
ありがとう、ありがとう。

いくら感謝しても感謝しきれないわ。
小夜子さんが励ましてくれたから、あたし、あたし、ここまでこれ…」

両の目から溢れ出る大粒の涙が、勝子の声を押し流してしまった。

「ちがうわ、ちがうわ。みんな、お姉さんの頑張りよ。
あたしは、ほんの少しお手伝いしただから。

母への孝行ができなかったあたしだけど、おかげで真似事をさせてもらえたんだもの。
あたしこそ、感謝させてほしいわ」


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