昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

X’mas version 【 ふたりだけのイヴ 】 天国編(二)

2009-12-24 21:25:39 | 小説
人生に対する夢が消えたあの日、冬の荒々しい日本海に向かって、
とめどもない涙を流し我が身を憂えた。

涙さえすぐに凍りつきそうな冷たい風。
一点の希望さえ生まれない冬の海を見つめながら、
“死”という観念に囚われていた。

沖に夜光虫の青白い光を見つけた時、僕の心の不安・おののきは消えた。

と同時に、言いようのない暖かいぬくもりがよみがえった。

思わず、その冬の海に飛び込み、夜光虫の光をこの手の平にのせたいと思った。

そこには、“死”という観念ではなく“生”という真実があった。

“冷えるね・・” 
“そうね・・”

唯これだけの会話。

二人の思いは、十分にお互いに通じる。

一つのショートケーキにナイフを入れ、大きい一切れを彼女に。
そして残りを、僕の皿に。

”さあ、メリー・クリスマス! ”
”メリー・クリスマス!”

最新の画像もっと見る

コメントを投稿