(二)
しかしそれでも諦めない小夜子だ。
診察時間外であることを確認している小夜子だ。
「先生、無理を承知なんです。それじゃ、こうしますわ。
私、ひとり言を言います。違っている時だけ、首を横に振ってください」
有無を言わせぬ強い口調で、小夜子がにじり寄った。
医師にとっては迷惑な話ではあるが、上の方に武蔵から多額の金員が渡っている。
そして医師自身も、幾許かのおこぼれに預かっている。
「最大限の便宜を図るように」との厳命もある。
渋々ながらも、小夜子の提案に乗ることになった。
「竹田の話では、快方に向かっているとか」
医師が首を振る。
「悪いんですね、相当に」
反応を見せない。眉間にしわを寄せている。
「一年、ですか?」
思い切って余命に踏み込んだ。
ギョッとした表情を見せつつも、目を落として首を振る。
「六ヶ月?」
また、首を振る。
「ま、まさか…三、ヶ月?」
しかしそれでも諦めない小夜子だ。
診察時間外であることを確認している小夜子だ。
「先生、無理を承知なんです。それじゃ、こうしますわ。
私、ひとり言を言います。違っている時だけ、首を横に振ってください」
有無を言わせぬ強い口調で、小夜子がにじり寄った。
医師にとっては迷惑な話ではあるが、上の方に武蔵から多額の金員が渡っている。
そして医師自身も、幾許かのおこぼれに預かっている。
「最大限の便宜を図るように」との厳命もある。
渋々ながらも、小夜子の提案に乗ることになった。
「竹田の話では、快方に向かっているとか」
医師が首を振る。
「悪いんですね、相当に」
反応を見せない。眉間にしわを寄せている。
「一年、ですか?」
思い切って余命に踏み込んだ。
ギョッとした表情を見せつつも、目を落として首を振る。
「六ヶ月?」
また、首を振る。
「ま、まさか…三、ヶ月?」
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