昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第一部~(五)の九

2011-04-30 18:03:36 | 小説
「あのお。
わたしに、どんなことでしょうか・・」
幸恵は、
小夜子の前におずおずと進み出た。
思いもかけぬ声掛けに、
信じられぬ思いの幸恵だった。
「あのね、
お兄さまの正三さんに、
この手紙を渡していただきたいの。
恋文じゃありませんからね。
他の方に誤解されては困るわ。
ちょっと、
お願いしたいことがありますの。
でね、
そのお返事を明日にもいただきたいの。
頼めるかしら?
幸恵さん。」
「は、はい。
兄に渡して、
明日ご返事させます。
わたしからで、
よろしいでしょうか。」
直立不動で、
返事をする幸恵だった。
「もちろんよ。
あなたから、
お兄さまのお返事を聞きたいわ。」
「わかりました、
失礼します。」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿